鑑定士に会おう
「自分が授かった加護について知りたいなら、鑑定人を尋ねるといい」
セリスの父親が少年少女たちに言った。
「加護の鑑定ができる鑑定士は商業ギルド(組合)にいるはずだ。洗礼式のある日には神殿のある町に鑑定士を配備するよう要請してあるからね」
それを聞いたセリスは、アルトに「行ってみましょう」と勧めた。
「私も自分の加護のことをくわしく知りたいし」
「わたしも〜」
「わかったよ、ぼくも行くよ」
こうして三人は商業ギルドに向かった。
アルトの両親も彼らについて行こうとしたが、少年がそれを嫌がった。誰にも自分の加護について話したくなかった。たとえこの二人の幼なじみが相手でもだ。
鑑定士には知られてしまうが、それはしかたがない。
中央通りにある商業ギルドに向かうと、そこはいつもどおり賑わっていた。
少年少女が好んで訪れる場所ではないが、アルトやメアが川遊びで手に入れた宝石の原石などを売ったり。麻で作った布や、菜種油などの生産品を持ち込むこともある場所だった。
「わたしはおかあさんとよく来るよぉ。編み籠を作ったりするの得意だしねぇ」
「メアは器用だもんね」
「私もメアに作ってもらった革財布を使っているわよ」
「ぼくも」
「えへへ〜」
そのような感じでギルドの前にやって来た三人。
入り口のドアを開けると、ギルドの中に入って行く。
商業ギルドにはカウンターがあり、職員が忙しなく動き回っている。入り口近くにあるサロンにはテーブル席がいくつか置かれ、そこで商談をしている商人たちの姿があった。
三人がカウンターに近づくと、それに気づいた受付嬢が椅子に腰かけたまま、ちらりと彼らに視線を送った。
「何かご用ですか」
「私たち洗礼を受けてきたんです。加護について調べられる鑑定士に見てほしいんですが」
セリスが丁寧に説明すると、受付嬢は相手がただの平民の子供ではないと踏んで急によそよそしくなり、少々お待ちくださいと言ってカウンターから離れて行った。
しばらくすると受付嬢が一人の男をつれて戻って来た。
三十代くらいの男で、白髪頭の、冴えない顔立ちをした男だった。
「加護の鑑定ね、はいはい。一人ずつ並んでね」
「加護の鑑定はあちらでお願いします」
受付嬢はやや辛辣な感じで鑑定士に告げた。どうやら町に来たばかりの鑑定士を煙たがっているらしい。
男は気にした様子もなく、指示されたとおり個室に三人をつれて行き、部屋の前にメアとアルトを待たせようとしたが、二人の少年少女も部屋の中に入って来てしまう。
「私はかまいませんよ」とセリスが言うので、狭い部屋の中に鑑定士と向かい合う格好で三人の子供たちが並ぶことになったのだった。




