セリスたちの活躍と子供たち
昼食をとったあと、訓練場に幅広剣をもって行ったアルトは、セリスとメアに叔父からもらった剣を見せた。
メアは「よかったねぇ〜」と笑っていたが、セリスは眉をひそめている。
「いい物だというのはわかるのだけど、なんであなたは剣を背負っているの?」
「だって……、腰のベルトにつけると、ズボンが下がっていっちゃうんだ」
ベルトがゆるいせいで剣の重さでズボンがずり落ちてしまうために、少年は革のベルトを肩から胴体に巻きつけるようにして、剣を背負っていたのだ。
「ズボンとベルトを新調したほうがよさそうね」と笑いながら言うセリス。
背負った剣を抜こうとすると、まだその動作に慣れていない少年は悪戦苦闘する。その様子を見てセリスがまた笑った。
訓練場の控え室に入ると、ひとりの少女が声をかけてきた。その少女は訓練生の中でもうわさ好きで知られる女の子だった。
「すごいね、あなたたち。もう黒蟲を討伐したって聞いたよ。セリスが強いのは知ってたけど、アルトくんもメアも活躍したんだって?」
「ええ、私たち三人で倒したのよ」
セリスはあくまで三人で倒した、というところを強調するように言う。そこには今後も三人で活動をつづけていくんだという気持ちが表れていた。
「アンデムはあまり話してくれなかったんで、なんでかなって思ってたんだけど、あいつ更生措置を受けるんだって。今日からしばらくはギルドの掃除や奉仕活動をするらしいよ。ばかだね〜」
少女はどうやらセリスが光刃剣を使ったことまでは耳にしなかったらしい。
教官はくわしい説明はしないとしても、あの場にいたアンデムが話さないのは、自分の恥をさらすことになるからだった。
傲慢な少年は今後もその考え方を変えないだろう。自分の非を認めず、他人を尊重しようとはしないまま、彼は年齢を重ねることになる。
それがアンデムの中にある才能を殺すことになるとも知らずに。
「え、なになに。どうしたの?」
外に通じる通路から子供たちが控え室に入って来て、うわさ好きの少女の会話に加わろうとする。
集まってきた男の子も女の子も、セリスたちが黒蟲を倒したということは耳にしていなかったようだ。
セリスはその輪の中には加わらずに、父親からもらった短剣を腰に帯びると、アルトにも幅広剣をもって行くように告げて、訓練場のほうへと歩いて行った。




