体型管理にご用事①
「ほんとうは自分の手で籠手を作ろうと考えてたんだけど」と、アルトのとなりを歩きながらセリスは口にした。
「まあ父さんに任せたほうが安心だよ。強度に問題がおきたらまずいし」
「それもそうね」
価格も「息子の友人割り引き」ということで、割安な価格で引き受けてくれたのだった。
そうして発注をすませた二人は、今度はメアレーズの家に向かっていた。
「彼女の家に行くのはひさしぶりかも」
「ぼくもあまり行かないけど。二人もうちに来ることはほとんどないよね」
「そういえば私たちって、たいてい外で遊んでいるわね」
彼女の横で「そうだね」と口にしながら笑っていたが、家の中ですることがないのと。多くの場合セリスが仕切って剣の稽古だの、野営の訓練だのと言い出して、町の外にある森──町の近くは自警団の庇護下にある──で食べられる野草やキノコを採りに行ったりすることが多かったのだ。
彼女はそれこそ幼少のころから友人を巻き込んで、傭兵になる訓練をしてきたわけだ。
それにくらべアルトやメアやベイオンは、子どものころから大人になったときのことを考えて、訓練や勉強に励んでいたかというと、そうではなかった。
ベイオンは漠然と商人になると思っていたようだが、彼はそれを最近まで甘く考えていたのを痛感させられている最中だった。
アルトもある意味彼と同様で、自分は鍛冶屋になるのかな? などと思っていたくらいで、自分の未来像などまるで想像がついていなかったのである。
それがいつのまにか傭兵を目指すことになっていた。
友人の強力なあと押しがあったとはいえ、あまりに付和雷同にすぎるところが少年にはあった。
彼の場合、神の加護という強力な手札があったにもかかわらず、それを活かしきれていないというところからも、彼がまだまだ未熟な少年にすぎないのだということの表れだと言えた。
メアレーズの家に来ると、セリスはドアをたたいて声をかけた。
「セリスです。メアさんはいますか」
そう言いながら、あたりを見回しはじめた彼女。
「どうしたの?」
「この匂い……」
「え? ああ、そうだね。なんだか甘い焼き菓子の匂いがする」
すると家の中から足音が聴こえてきた。記憶にあるものよりもなんだかその足音が重い気がして、セリスは眉を寄せた。
「は──い」
そう言ってドアを開けたメアは、手に焼き菓子をもって現れたのだった。




