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バレてはいけない「技能複製(スキルコピー)」持ちの生き様(仮)  作者: 荒野ヒロ
幼なじみの誓い

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国家や迷宮について

 幼なじみらとの稽古を終えて帰宅したアルトは、両親に将来のことについて話す決断をした。

 調理場で煮込み料理を作っていた母親がリビングのほうに来たときを見計らって、少年は父親に話しかけた。


「お父さん、お母さん。ぼくは傭兵ギルドに入ろうと思う」

「そうか」

「それで、十四歳になったら町を出て、各地を旅しようと思うんだ」

「そうか」

「いいの?」

「ああ」

 ちらりと母親を見ると、彼女はにこやかな笑みを浮かべてうなずいた。


 なんだか話がうまく進みすぎているな、などと思った少年は、その疑問を口にしようとした。──すると父のロベルトがその理由を説明しはじめた。


「実は今日、神官のホッブスが訪ねて来たんだ。それで話を聞いてみると、なんでも夢のお告げで、幸運の神の加護を授かった少年に旅をさせるよう告げられたんだと」

「ええ……?」

 その話を聞いたアルトは今朝見た夢のことを思い出したが、やはりその内容までは思い出せなかった。


「まあ、神官のお告げはともかく。おまえが傭兵ギルドに入るのはかまわんし、世界を回ってみるのもいいだろう。だが、無事に帰って来いよ」

「うん。ありがとう。お父さん、お母さん」

 両親はどこか心配そうな表情もしていたが、やはり子供をこの町だけにとどめておくのはむずかしいと考えているのだ。

 町の産業の中心であった畜産は、土地を所有する地権者が独占する状態にあり。もうひとつの鉄工業もかげりを見せはじめていた。



 彼らが暮らしている「ディルシア国」は比較的平穏な状態が続いてる国だった。

 ディルシアの北にある「アッシュフェルド国」。西の「デシール国」。南の「ダナン国」そのどれとも友好的な交流を築いている。──もちろん昔はそれなりにいざこざを抱えることもあったと聞くが、現在は関係が修復されているのだ。


 メイカムの町から出稼ぎに中央へ向かう者も多く、傭兵となって黒獣の多く出没する地域をめぐったり、いくつか存在する迷宮にもぐって宝物ほうもつを探したりする探索者になる者も多くいた。


 迷宮には二種類あると考えられている。


 ひとつは精霊や神霊の力に満ちた「神域迷宮」であり、この迷宮にも危険な生物は出現するが、宝物も定期的に出現する神秘的な迷宮となっている。


 もうひとつは「侵蝕迷宮」と呼ばれるもので、こちらは黒魔の力に満ちた迷宮になっている。

 こちらの迷宮でも宝物は見つかるが、危険な黒魔が多く出現し、深くもぐるほどに強力な黒魔や黒獣が出現するのだ。

 そうした敵から得た素材や武具は貴重だが、倒すと消滅する個体も多いので、必ず武器や素材が手に入るわけではないのだった。


 神域迷宮や侵蝕迷宮はディルシアにもあるが、傭兵の下位等級(クラス)である石質階級は入れない規定になっている。



 傭兵ギルドには階級があり、軟玉翡翠ひすい瑪瑙めのうなどの輝石や宝玉といった「石」が使われる下級。「銅」「鉄」「銀」「金」「白金」が中級から上級の等級になる。銅と鉄を中級とし、銀と金が上級とされている。白金は最上位とされているが、国によっては当該等級の傭兵は存在しないと言われている。


 これらの材質で造られた等級章は指輪の形に加工されており、それを魔法の力を使う魔道具で認識するのだ。傭兵ギルドにはこうした機材があり、各指輪に記録された情報を読み出すことができる。

 指輪には倒した敵などを読み取る魔法がかけられていて、こなした依頼なども記録されるのだ。



 商業ギルドと傭兵ギルドは、大陸にある大きな国とその属領国で共通の規定が設けられ、国の垣根を越えた活動を行っている。組織の目的はあくまで市民の、大勢の人々のために存在するという大義があり、国家間の対立などには介入しないといった暗黙の了解がある。

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