技能表示(ステータス)の認識
自分しか見ることができないステータスです。他人に見せることもできません。
また「鑑定」で人の加護や能力を把握することはできません。それができる特別な加護の技能が必要になります。
洗礼の儀式の翌日から、少年は自分の加護と真剣に向き合うことを決めた。
そのためにまず、いくつの加護を複製できるのかを調べることにした。
加護の力に触れようとベッドの上で目を閉じ、自身の内面に向かうつもりで集中したが、加護の力に触れることはできなかった。
(そうだ、あの銀の短刀を偽物だと見抜いたときに、頭の中に文字が浮かんできた)
何かを鑑定しながらなら、そうした加護の力に触れられるんじゃないかと考えた少年は、机の上に置かれた筆記用の木炭を手にした。それを鑑定してみると頭の中に文字が浮かび、対象の説明が読み取れた。
──木材を蒸し焼きにした物。燃料。炭。画材としても使用される──
(よし──。こうしたものを見せている加護のもととなっている部分は……)
なんとかその加護の本質に迫ろうと努力してみたが、加護はするりとそこから消えてしまうのだった。
そうしたことを何度か試しているうちに、わずかだが加護に関する情報を(なんとなく)読み取ることができるようになった。
頭の中にたくさんの文字と数字が浮かび上がり、それらが無秩序にふわふわと浮いていて、そこから欲しい情報を得るのは大変な精神的疲労を感じたが、アルトはなんとか加護の複製回数について調べつづけた。──しかし、回数制限があるようなものは見つからなかった。
「回数とかはないのかな」
そんなことを口にすると、部屋の外から母親が朝食のしたくができたと少年を呼ぶ声が聴こえ、アルトは部屋を出て行った。
朝食を食べ終えたアルトは自室に戻ると、再び考え込んでいた。加護の性質を確認する作業は、鑑定の能力や魔法との関連で結びつく感覚でなんとなく触れられる感覚はあったが、どうしても確かなものとして認識することができずにいた。
(紙に書くような感じでやってみよう)
少年は頭の中に浮かぶイメージと闘っていた。
バラバラに浮かぶ文字や記号や数字から一定の意味を抜き出そうとして、ようやく「鑑定」の能力についての言葉を見つけた。
それを図表に加えようとしたとき、周囲にあった言葉や数字がさっと離れていき、頭の中に鑑定の言葉が残された。
そこには「鑑定」と「魔法加工」と「筋力強化」といった言葉が並んでいた。
「成功だ!」
各能力の横には記号や数字が並んでいた。
鑑定について調べてみると、その文字の横に丸い形状の記号があり、数字が記号の横に配置されていた。
(わからない記号と……、五十分の二?)
五十という数字が何を意味しているのか考えているとノックの音がして、アルトは閉じていた目を開けた。
「は──い」
「セリスちゃんが来てるわよ」
母親がその名を口にすると、少年はすぐに腰掛けていた椅子から立ち上がり、身だしなみを整えてから部屋を出て行った。
すっかり加護についての新たな認識方法を得たことも忘れて。




