会食後に
会食後にアルトは友だちとも家族とも別れて一人で商業ギルドに向かった。
加護に関するある疑念について確認するためだった。
そのことに思い当たったとき、少年は心がざわつき、吐き気を覚えるほど動揺した。
(もしそんなことになったら……!)
その想像は彼を打ちのめした。
早く確認しなければならないと、彼は自分自身が思うよりも速く、ほとんど駆け足になって商業ギルドまで移動した。
ドアを開けてギルドの中に入ると、受付には誰もおらず、少年はいそいそと個室に近づいて行き、鑑定士のいた部屋を目指した。
個室の前には神殿で見た子供が待っていて、中から「つぎの人」と鑑定士が呼ぶ声が聴こえた。
個室から子供が出てきて、外で待っていた子供と話し、待っていた子供を部屋の中に押して行く。
「よかった……」
どうやら鑑定士の力を奪ったわけではなさそうだ。
アルトは自分の授かった加護が、他人の加護を奪う能力でなかったことに心の底から安堵した。
もし他人の加護の力を奪うものだとしたら、いつかは自分が関係したものだと気づかれ、最悪の場合町からも追放され、人里離れた場所で独りで生活しなければならなくなっていたかもしれない。
少年はそこまで想像して恐ろしくなったのだ。
だが、少年がした最悪の想像は杞憂だった。
もし他人の加護を奪うようなものだったら、彼は独りで生きていかなければならなくなっていたかもしれない。
「よかったよぉ……」
思わず口調がメアと同じになってしまうほど、彼は脱力して壁にもたれかかった。
よろよろとした足取りでギルドを出て行くと、少年はつぎの可能性について考えはじめた。
それは「どのようにしたときに、他人の加護の力を獲得できるのか」という問題だった。
「鑑定の能力を使えるようになったのは、やっぱり鑑定士と接触したからだろうし、ということは……」
鑑定士の手が触れたときのことを少年は思い出していた。
(触れただけで相手の加護の能力を使えるようになるのかな)
少年はさっそく加護の研究をしたいと考えながら、自分の家に戻って行くのだった。




