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5校連合チームで挑む甲子園 〜160cm台の怪物二刀流、全国を震わせる〜  作者: ウエス 端
決勝

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79/89

第78話 規格外

「うわあっ! バットが弾き飛ばされそうじゃっど!」


 真自由学園との決勝戦は1回表、相手の攻撃中なのだが。


 先頭バッターの『当たり屋』金盛(かなもり)をデッドボールで塁に出してしまい、そのショックが覚めやらぬ中、2番バッター福到(ふくとう)に送りバントを決められてしまった。


 バットコントロールに優れた好打者というデータだったが、初回からやってくるとは……昔ながらの高校野球をやってるのか。


 それとも後続打者によほど自信があるのか。


 そして左打席に入ってきたのは190センチはあろうかというガッチリした男。


「金盛と福到に続け〜! ナギータ!」

「でけえの一発、頼んだぞ!!」


 コイツも声援が凄いな。そして相手スタンドのブラスバンドの曲がここで変わった。なんか聞いたことある曲なんだけど、なんだっけ……。


「きたきた〜! ピンクソレルZ(ゼータ)の一番好きな曲じゃけえ……これ聴くと力が湧いてくるんじゃ!」


 ああ、女子4人組のアイドルユニットだっけ。そういうのに疎いオレでも知ってる人気グループだ。


 好きな曲を聴いて明らかに上機嫌のコイツの名は悠岐屋(ゆうきや)、下が確か凪太(なぎた)だったかな。だからナギータか。


 そして雰囲気が変わった……まるでこっちを射抜くような鋭い眼差しに。


 面白いじゃん。こういうバッターがまだいるってことにワクワクしている自分に気がついた。


 ここは力勝負でねじ伏せてやるぜ、絶対に。


 セットポジションから軸足に力を溜めつつ、素早く踏み出して……スリークォーターの角度で左腕を振り下ろす!


「うりゃあああっ!!」


「外角低め、じゃけえええっ!!」


 ズバンッ!!


「ストライク!」


「また速くなったぞあのピッチャー! 167キロだ!」

「でもナギータのフルスイング、見てて気持ちいい〜!」


 少しずつ肩が温まってきて球速が出だした。それにしても振り遅れとはいえ、とんでもねえスイング……こっちまで風が飛んできそうだ。


 次は……そっちはちょっと。それで行こう。


 それじゃ2球目も外角低めで振らせてやる!


「うりゃあああっ!!」


「じゃけえええっ!!」


 バコンッ!!


「ファウル! カウント0−2!」


 当ててきやがったか……一見すると力任せのフルスイングだけど、バットコントロールもなかなか上手いと見た。


 だけど次で、ノビのある外角高めで終わらせる!


 つもりだったが。


 バコンッ!!


「ファウル!」


 クソッ。球速は上がってきてるのに、三振を取りに行ったボールまで当てられるなんて。


 しかも段々とタイミングが合ってきてる。スイングしながら調整してくるタイプか。


 そもそも外角ばかりじゃそうなるよな。


 ならば……次はそっちで行こう。万が一の場合でもダメージが少ないように。


 次はいよいよ大台に乗りそうだし、これで十分に仕留められるはず。


 というわけで最後の決め球は、内角低めだ!


「うりゃあああっ!!」


「今までより更に速いが、コースは甘い……じゃけえええっ!!」


 バッコーーンッ!!


 これまで当てられたか。170キロは出てたと思うけど……デッドボールをやっちまったせいか、内角はやっぱり投げにくい。コースが甘くなった。


 だけどヤツは明らかに振り遅れだ。


 あんなに後ろへ重心を残したまま仰け反るように振り切ったって、まともな打球は飛んで行かねーよ。


 打球はフラフラと左中間へ。センターの阿戸さんの守備範囲だ。


 阿戸さんの足が止まった……いや、目測を誤ったのかまた後ろに駆け出す。


 そのうちフェンスが近づいてきて……まさか!


 ガコッッ!! とフェンスに打球がぶつかった音がこっちまで聞こえてきた。


 ヤバい。これじゃ2塁ランナーが。


「うひょ〜! 早速1点取ったぞいや!」


 金盛がガッツポーズしながら余裕でホームイン。そしてナギータは2塁……いや、3塁へ行こうとしてる!


「セーフ!」


「出た〜! ナギータの『仰け反り広角打法』! もうちょっとでスタンド言ってたのにな〜!」

「それにしてもあのガタイで足も速い! 3塁打にしちまった!」


 なんだよその打法……コースが甘かったとはいえ、あんな体勢でフェンスまで持ってくなんて。


 とんでもねえ規格外のパワーだ。でも次はそうはいかねえから……と、点を取られたのにワクワクしている自分にちょっと引いてる。


 それはともかく、次のバッターに集中しないと。これ以上の失点は防がねば。


 次はいよいよ1年生コンビの1人、喜与間(きよま)の登場だ。ナギータを差し置いての4番……どんなヤツなのか楽しみで仕方がない。



<あとがき>

読んでいただいてありがとうございます

次回更新は9月11日(金)の予定です

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