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5校連合チームで挑む甲子園 〜160cm台の怪物二刀流、全国を震わせる〜  作者: ウエス 端
準決勝

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第63話 遅れて始める

「そこやっ!! わっしゃい!!」


 ズバンッ!!


「ストライク! カウント0−2!」


 これで2番バッターの頭崎(かしらざき)を追い込んだ。とにかくアウトを一つ取って雰囲気を落ち着かせよう。


 6回表の浪速筋(なにわすじ)高校の攻撃において、先頭バッターのハリーにセンター前ヒットを許してしまいノーアウトでランナー一塁。


 打った際に痛めたのか左手をずっと気にしていたハリーはろくにリードをとれず、こっちとしてはバッターに専念できたのだが。


 そろそろ治まったようだ……厄介だな。ずんぐりと大きな体格に似合わず足が速いハリーには盗塁やエンドランを警戒せねばならない。


 そして余裕ができたのか、打席の頭崎に向かってなんか叫びはじめた。


「待たせてスマン! こっちの足でピッチャーにプレッシャーかけんと打てん頭崎くん! で、どないなんじゃ調子はぁ!?」


「じゃかあしいっ! どないもこないもあるかいや!! お前はとにかくワシが打ってから黙って走っとけばええんや!」


 なんなんだコイツら。本格的に仲が悪いのか。


 しかしなんかひっかかる。1回表ではエンドランを仕掛けてきて結果的に3塁まで行かれたのだ。


 だから油断はできない。1塁への警戒と牽制をきっちり行っておく。


 その上で。


「ボール! カウント1−2!」


 1球外角のボールゾーンへと外したが、反応は無い。


 どうしよう。もう1球様子を……でもせっかくさっさと追い込んだのにカウントを悪くしたくない。その方がストライクを取りに行ったところを狙われる。


 それに頭崎のスイングスピードはオレのストレートについて来れてない。


 ならば……しょーたも前みたいなパスボールの心配は無いと思うし、考えすぎずに仕留めてしまおう。


「早う来いや! ワシのストレートがホンモノでお前のは偽の170キロやと、球場の大観衆とテレビの視聴者にハッキリ見せたらんとのう!」


 うっせーな! 言われなくてもすぐ投げて仕留めてやるよ。


 というわけで次に投げるボールは決まっている。


 内角高めにノビてホップするストレートで空振り三振に仕留める!


「うりゃあああっ!!」


「何が何でも当てたる! わっしゃいいいっ!!」


 チッッ!


 ズバンッ!!


「ストライク! バッターアウト!」


「おっしゃあああ! 頭崎を空振り三振に! 同じ171キロでもノビが違う!」

「ねえ、なんかバットにかすっとったんちゃう? ファウルやないの?」

「アレはファウルチップっていうカス当たりで、直接そのままミットに入ったらストライク扱い。だから三振で合ってる、残念やけど」


 観客たちの反応は相変わらず面白い。もちろんその通り。


 しょーたは今回、頭崎の力強いアッパースイングに惑わされず、しかもかすったのをキチンと捕球してくれた


「オージロウ! 見たか今の、ちゃんと捕ってやったぞ! ほら見ろって、ミットに収めたボールを!」


「ああ、見てるよしょーた。ありがとうな!」


 しょーたは普段はおちゃらけたところがあるけど、キャッチャーマスクをかぶればあまりはしゃいだりしない。


 それでもあの喜びよう……あのパスボールがよほど悔しかったんだな。バッターも同じ頭崎だし。


 そんな感じでオレもほっこりしてたんだけど。


「しょーた! 何やってんだ! さっさとこっちにボール投げろ!」


 はあっ!?


 ショートの大岡の怒号で我に返ると……確かにハリーが2塁へ突っ込んできてる!


「今ごろ気づいても、もう遅いんじゃい! 2塁はもらった! かぁーーつ!!」


 まさかのディレイドスチール……オレの投球モーションに合わせてじゃなくて、捕球後の隙を突いて気配を消しながら走り始めたんだ。


 っていうか、ハリーと頭崎にしてやられた。例えファウルチップでも、しょーたはホッとして油断するのを見越してたに違いない。


「クソッ! 間に合え!!」


 しょーたが慌てて2塁へ……だけど!


「しょーた! どこ投げてんだあ!?」


 なんと、送球が暴投に……ハリーはすかさずスライディングから立ち上がって3塁へ。


 ヤバい、オレも3塁のカバーに行かねーと。


「確かにしょーたは暴投したけどよぉ、今度はハリーの大暴走にしてやらあ! おらあっ!!」


 センターの阿戸さんがなんとかボールに追いついて、矢のような送球を3塁へ。間に合ってくれ……!


「無駄じゃいっ! この足はお前らごときに止められん!」


 ズザーっと滑り込むハリーの足と送球が届いたのがほぼ同じ……果たして。


「……セーフ!」


「エエぞハリー! 一転して一死三塁のチャンスに早変わりや!」

「そんな〜、三振に仕留めて喜んでたのに〜!」


 あー、今度はスタンドの盛り上がりが逆になってしまった。


「おい! やっぱりニセモンやったのう、お前の171キロ……ワシのストレートやったらファウルチップも許さんわい! カカカッ!」


 クソッ、頭崎のヤロー。うっせーんだよ。


 そしてこれから迎えるのは3番バッターで『クラッチヒッター』の串島(くしじま)。


 もちろんオレのストレートに自信はあるけど……嫌な流れで嫌なヤツに回っちまったぜ。



<あとがき>

いつも読んでいただいてありがとうございます

次回更新は7月24日(金)の予定です

よろしくお願いします

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