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第四十章

その問いを口にしたのは、すぐではなかった。


可能かどうかを疑っていたからではない。


むしろ逆だった。あまりに汚れた考えに、あまりに簡単な答えが返ってくるのを、少し先延ばしにしていただけだ。


ラヴァルン上層部との最後の会談は、出立の朝に予定されていた。その前夜、彼らは使節館の奥にある細い部屋に集まっていた。彼と、二人の助言役と、年嵩の外交官――人間というものにとっくに失望し終えているような目をした、乾いた男――それに、名目上は安全の責任者だが、実際には国家が口にしない仕事を引き受ける側の人間が一人。


窓の外では、細かい雨が降っていた。


激しくはない。


だが、執拗だった。


そのせいで街全体が、昼間よりさらに一段灰色に沈んで見えた。卓の上の灯りは揺れず、書類は整っている。見た目だけなら、明日の手順や退出の順番を確認する、ごく普通の夜の相談だった。


彼は、ほとんど事務的な口調で訊いた。


「我々が発ったあとで、この上層部が順に死ぬようにしながら、直接の疑いも、すぐの追跡も呼ばない形にできますか」


誰も息を呑まなかった。


誰も、意味が分からないふりをしなかった。


年長の外交官が彼を見て、平然と答えた。


「できます」


彼はその顔を一拍長く見た。


「そこまで簡単か」


「技術の話なら、はい」と外交官は言った。「緩い毒で十分です。初期症状が突発の内臓疾患や熱、あるいは血の巡りの破綻に見えるものを使う。発症までに時間差を持たせれば、こちらはすでに退路に入っている。しかも一斉ではなく、数日にわたってばらばらに死ねば、向こうはまず内側を疑います」


エドランの側の男が付け足した。


「今のラヴァルンなら、なおさらです。あの国はもう、自壊の匂いを自分でまとっている。要の三人か四人が落ちれば、互いに互いを疑い始めるのが先でしょう」


彼は黙った。


雨は相変わらず、窓の外で細く降っていた。


「危険は」


彼が訊くと、外交官は答えた。


「常にあります。ですが、何もせずに帰る危険を上回るとは思いません。あの連中は、説得できる顔ではない。組み込める顔でもない。残せば、いずれ他人の血でその鈍さの代価を払わせる類です」


言い方は、驚くほど平坦だった。


押しつけもない。


正当化もない。


ただ、公式だけが置かれている。


そのことが、かえってひどく不快だった。


彼は、その時点で、自分がすでに決めていたのだと理解した。問いは、選ぶためではなかった。ただ、どの程度きれいに汚せるかを確認したかっただけだ。


「分かりました」と彼は言った。「やってください」


その一言のあと、部屋の空気がわずかに変わった。


外見上は何も変わらない。雨は降り、灯は燃え、紙はそこにある。


だが、彼はもう知っていた。明日、自分は、これから殺すことを知っている相手と同じ卓につく。


アヤノには何も言わなかった。


信じていないからではない。


むしろ、信じているからこそだ。


前もってその重さを彼女の手に乗せたくなかった。最後の会談の席で、どの杯が誰にとっての最後になるかを知ったまま座らせたくなかった。自分の決定の泥を、これ以上深く彼女の足元へ流し込みたくなかった。


最後の会談は、案の定、ほとんど実りがなかった。


同じ顔。


同じ鈍い自信。


同じ言葉。


臨時措置。秩序維持。誇張された噂。国家の安定。


彼はもう、内容を聞いていなかった。


会話が無意味だからではない。


相手が、もはや会話の相手ではなくなっていたからだ。


彼らは、すでに死ぬことが決まっていながら、なお自分たちの正しさを信じて杯を取る人間だった。


毒は、あまりにも普通に出された。


見せ場などない。


隠し合図もない。


こういう仕事を、仕事としてだけやる人間の手つきだった。


彼自身は混ぜもしないし、渡しもしないし、触れもしない。


ただ、その瞬間を見た。


杯が満たされるのを。


一人目の将軍が、いつものように、それを自分のものとして先に飲むのを。


二人目――あの、空っぽな目をした男が、味にわずかに顔をしかめ、それでも話しながら飲みきるのを。


三人目――年長で、もしかすると他より半歩だけましだったかもしれない男が、少しゆっくり口をつけるのを。


その時、一瞬だけ、愚かな考えが頭をよぎった。


この男なら、まだ。


だが、違う。


まだ何かがあるなら、もっと前に見つけていた。


見つけられなかったということ自体が、もう答えだった。


アヤノは隣で、いつもの通りに座っていた。


必要な時に話し、必要なだけ見ていた。


それがかえって、隠していることを重くした。


彼女が疑っているからではない。


逆だ。


彼女が何も疑わず、いつものようにこの無意味なやりとりに参加していることが、彼の沈黙を余計に汚して見せた。


会談が終わって長い廊下へ出た時、高い窓からはもう湿った風が入ってきていた。アヤノが訊いた。


「少しは、ましになった?」


彼はそちらを見た。


「何が」


「全部、はっきりしたから」


彼女は政治の話をしていた。


それはすぐに分かった。


だから彼は、嘘ではないが全部でもない答えを返した。


「いや」


アヤノは頷いた。


予想通りだと言いたげに。


「私も」


翌朝、彼らは発った。


ためらわずに。


余計なやりとりもなく。


ラヴァルンは、最後まであの奇妙な顔のまま彼らを見送った。兵は立ち、道は整い、命令は通り、街はまだ国家の体裁を保っている。だが、その皮膚の下では何かがもう腐っている。そのことを、見ようとしない者だけが「安定」と呼んでいる。


帰路のほうが、行きより重かった。


彼は、向こうへ向かう時のように視界を変えに行く人間ではなかった。知識を持って帰る人間だった。


それも、ひどく単純な知識を。


自分は、この人間たちを死なせることを選んだ。


戦場ではない。


目の前の刃を止めるためでもない。


家を守るためでもない。


単に、いないほうがましだと判断して、命じた。


その認識は、峠を越えても、冷たい火のそばで夜を過ごしても、風の強い斜面を下っても、ついてきた。アヤノは隣にいて、道のことや、速度のことや、次の宿までの距離を短く訊いた。彼もそれに答えた。


言ってしまいたかった。


同時に、言いたくもなかった。


言えば、この重さを少し分けることになる。


だが、同時に、もう終わってしまった命令の責任に、彼女を後から巻き込むことにもなる。それが許されるのか、彼にはまだ分からなかった。


夜になると、彼は布の下で目を閉じ、風の音を聞きながら別のことも考えていた。


魔法は、狂ったのではない。


そこが、日に日に明瞭になっていた。


「世界そのものが揺らいでいる」と思えば、どれだけ楽だっただろう。だが、違う。変質した基盤。山からの圧。軍権の集中。都合よく強まる鈍さ。あまりに多くのものに、方向があった。


乱れではなく、意志だ。


少なくとも、何らかの意志が入っている。


一人の人間かは分からない。


ひとつの組織かも分からない。


だが、誰かが手を入れている。


それが、もはや直感ではなくなり始めていた。


ならば追うべきは、症状ではない。


中心だ。


あるいは節だ。


これだけのずれを生みながら、まだ全貌を見せない、その起点だ。


ようやく峠を越え、空気が変わった時、彼はそれをほとんど身体で感じた。石の匂いはまだある。だが、もう чужい石ではない。湿りを帯び、重さを持ち、少しずつ「戻る場所」の気配を混ぜ始めている。


そこで彼は、自分の中の疲れが、安堵というより飢えに変わっていることに気づいた。


権力ではない。


静寂でもない。


生活だ。


熱だ。


家だ。


戸をくぐり、外套を外し、馴染んだ器があり、いつもの匂いがあり、馴染んだ女たちがいて、誰かの声がして、誰かの指が卓に触れている。そういうものが欲しかった。


世界を地図や判断ではなく、もう一度、体温と声と食べ物と、誰かの視線の中で受け取りたかった。


家は、静けさではなく、生の気配で迎えた。


もう灯りが入っている。台所のどこかでは、何かが油を含んで小さく鳴っている。パンと焼いた肉の匂いが、入口のあたりまで流れてきている。


そしてカイラは、じっと待っているなどできなかったらしい。荷を受け取る者たちより先に、ほとんど迎えへ出てきた。


そこで全部が起きた。


大げさな前触れなどなかった。


ただ彼は、彼女を見た。


本当に見た。


いつものように、苛立ちと生気を抱えて、待たされたことに腹を立て、今にも何か噛みついてきそうなカイラではなく。


少しだけ顔色が違う。


動き方に、わずかな慎重さがある。


腹と胸のあたりに、新しい重みの予感がある。


それは、疲れでも、その日の機嫌でも説明のつかないものだった。


カイラは何か言いかけた。案の定、いつもの調子で。


「やっと帰ってきた。どうせ向こうでまず説得して、次に葬って、帰る前にもう一回説得でもしてきたんでしょ――」


だが、彼はもう言葉を聞いていなかった。


頭より先に、身体の中で何かが噛み合った。


カイラはそこで言葉を切った。


彼を見た。


それから、なぜかアヤノのほうも見た。


そして、自分より先に、彼が気づいたことを悟った。


「ちょっと」と彼女は言った。ほとんど苛立ったみたいに。「その顔やめてよ。今にも私が爆発するみたいな」


彼は一歩近づいた。


「お前、孕んでるな」


それは、もう問いではなかった。


カイラは歯のあいだから息を抜いた。


「……たぶんね」


その一瞬、部屋の中が静かになった。


怖れたからではない。


全員が、同時に過去を数え始めたからだ。


彼もすぐに辿り着いた。


あの夜だ。


あの、彼女の中にようやく飢えではない満ちが生まれた、あのきつい夜。


カイラは、彼の顔にそこまで読んでいるのを見て、乾いた笑いを浮かべた。


「うん。たぶんあの時。あんた、あの夜はずいぶん容赦なかったからね」


そこで初めて、本当に彼の中へ来た。


ただの驚きではない。


ただの喜びでもない。


帰り道じゅう、自分の命令と、他人の死と、自分の冷たさの輪郭を持っていた男が、今は自分の家の中に立ち、次の生がここから始まっていることを知っている。その転じ方の激しさが、ほとんど身体に来た。


アヤノが最初に寄った。


カイラを、競う相手としてでも、厄介事としてでもなく、ただひどく真剣に見た。


リラが立ち上がるのは少し遅かった。だが、その顔には彼が一度恐れていたような痛みの歪みはなかった。代わりに、ひどく静かな、ひどく深い認識だけがあった。


「代わり」ではない。


「もう一度」だと分かっている人の顔だった。


カイラは、自分でもまだ、笑いたいのか、全員を噛みたいのか分からない顔をしていた。


「変な顔しないでよ」と彼女は言った。「私だってまだ、ちゃんと慣れてないんだから」


だが、その声は、もう少しだけ違っていた。


やわらかくなったのではない。


もっと満ちていた。


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