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第三十二章

疑いは、打撃のようには来なかった。


もっと質が悪かった。


ある朝、目が覚めてから、ただ頭の中に残り続けた、あの静かな考えとして来た。


――俺は、正しすぎないか。


彼はすぐにはそれを声にしなかった。口にすれば、ひどく嫌な響きになると分かっていたからだ。まるで、自分の正しさに酔っている人間みたいに。だが、考えの芯はまさにそこにあった。部分的に間違えていないか、という話ではない。もっと厄介な、もっと粘つく感覚だった。世界が、最後にはあまりにも素直に、自分の見ていた筋へ落ち着いていく気がする。そこが怖かった。


ここ数か月、あまりに多くのことが、彼の見立て通りに動いた。


女の教育は必要だった。


そして実際に、それは力になった。


ホウセイは、最初は取るに足らないと見ていたものまで、結局真似し始めた。


ヴェイルは、親密さについてかなり露骨なことまで彼に聞き、実際に変わった。


エドランも、どれだけ内側で抵抗していようと、結局は同じところへ来た。


学校への襲撃、見せしめの処刑、そのあとの抵抗勢力の整理――どれも代償は大きかったが、最後には彼の読んだ構図へ収まっていった。痛みはある。失われたものもある。だが、それでも全体は彼の見た方向へ進み続ける。


それが、だんだん不快になってきた。


生は、そんなに従順であるべきではない。


こんなに血が流れて、こんなに恐怖があって、こんなに偶然が噛んでいる世界が、ひとつの論理へあまりにも綺麗に落ちていくのは、どこかおかしい。


もし現実が、あまりにも自然に自分の筋へ沿っていくなら、それは二つに一つだ。自分が本当に周りより深く見ているか。あるいは、自分が何か致命的に見落としていて、世界がまだその請求書を突きつけていないだけか。もっと悪いのは、正しさそのものが気持ちよくなり始めて、自分がそれを握るのではなく、逆にそれに握られ始めることだった。


朝、彼はそのことを考えていた。細い窓辺に立ち、湿った石がいつも少しだけ冷たい匂いを持つあの場所で。下の庭ではもう人が動き始めていた。どこかで荷車の扉が鳴り、下のほうからは台所の煙の匂いが上がってくる。


背後の部屋では、まだ家の空気が半分眠っていた。


リラは、穏やかに呼吸していた。


カイラは、眠っていてもなお、いつでも飛び起きて世界の喉笛に噛みつけそうな体勢でいた。


アヤノは三人の中でいちばん静かに眠る。ただ、ときどき指先だけが動く。その程度で、まだ夢の中が完全に平らではないのだと分かる。


彼は外を見ながら、同じ考えをもう一度なぞっていた。


――俺は、正しすぎないか。


世界が、あまりにも自然に、自分の手の中へ滑り込んでくる。


そのせいで、正しさはもう心地よいものではなく、疑いの種になっていた。


だが、それで生活が止まるわけではない。


むしろ逆だ。生は容赦なく、身体と家と熱のほうへ戻ってくる。窓辺でいつまでも自分の思想を噛んでいられるほど、人は暇ではない。隣の部屋ではもう誰かが服を探し、誰かが水を欲しがり、誰かがパンを切ろうとしている。


最初に起きたのは、もちろんカイラだった。


まだ目も開ききらないうちから、全身で大きく伸びをして、すぐに彼の視線を捕まえた。


「また背中で考えてる」


寝起きの掠れた声で、彼女はそう言った。


「新しい才能か?」


「古いやつ。あんたの顔が分かりやすすぎるだけ」


彼は少しだけ笑った。


カイラは起き上がった。髪が肩へ崩れ、寝間着の襟がずれて、そこにあるのは相変わらず、真っ直ぐで、遠慮のない身体だった。彼女はもう、彼に対して繊細な優しさを求めてはいない。欲しい時には欲しい形を、はっきり求める。そのことを、一度きちんと体で受け取ってからはなおさらだ。


彼もまた、それを放っておかなかった。


計画としてではない。


ほとんど本能に近い感覚で。


カイラを抱く時、彼ははっきり支配の輪郭を持たせる。いつも同じではない。だが、彼女の身体が何を欲しがっているかは、もうかなり分かるようになっていた。慰めではない。遠慮でもない。もっと粗く、もっと疑いなく、自分の分として奪われる感覚。彼女はそれを欲する。そして、その欲し方に彼はちゃんと答える。


アヤノは別だった。


彼女との近さは、やわらかくなるのではなく、別の神経へ入っていく。これまでのすべてのあとで、彼女の中にはまだ強い生への欲がある。だがそれは、昔のような混乱を含まない。彼女に必要なのは、支配を押しつけることではなく、火を入れることだ。抑え込まれている乾いた芯を、情熱として割らせること。そこまで行くと、アヤノはほとんど恐ろしいほど濃くなる。騒がしくもなく、だらしなくもない。ただ、正確で、深く、飢えている。ひとつひとつの応答が、まだ世界から奪い返している最中のものみたいに。


リラには、彼は自然にやさしくなる。


弱いからではない。


いま彼女の身体が、それだけでもう十分に多くのものを抱えているからだ。リラには、ぶつけるような近さではなく、静かな深さが似合う。彼女の身体が変わっていくことを、変わったからこそ欲しいのだと伝えるような触れ方。リラはそれに、彼が思うよりずっと全面で返してくる。派手ではない。だが、満ちていて、落ち着いていて、時には彼に「女がそばにいる」ということの意味をいちばんよく思い出させる。


彼は三人を退屈させなかった。


孤独にもさせなかった。


何かの規則を作ったわけではない。


むしろ逆だった。こういうことに規則が通用するとは、ますます思わなくなっていた。ただ、少しずつ分かるようになってきたのだ。カイラが、怒っているようでいて本当は欠けている時。アヤノが、本や鍛錬の中へ長く潜りすぎている時。リラが、いつもよりやわらかく静かな時は、たいてい疲れを隠している時だということ。


そして、そのほうが、政治の半分よりもよほど難しかった。


ヴェイルの変化は、エドランよりずっと早かった。


たぶん、彼には“親密さそのものを喜ぶ能力”が最初からあったのだろう。いまや彼は、自分の女にかなりはっきり魅せられていた。もちろん、自分ではそんな言い方はしない。だが、見れば分かった。話の途中で一瞬だけ黙る時の顔。何か、明らかに場違いなくらい温かいものを思い出した時の、あの目の止まり方。女という一般論ではなく、もう一人の特定の相手を前提に喋っている時の、声のわずかな変化。


ある日、ヴェイルは書類を持ってきて、卓へ並べたあと、ふいに言った。


「昨日、肩を噛まれた」


彼は顔を上げた。


「おめでとう、とでも言えばいいのか」


ヴェイルは一瞬、片手で顔を覆った。


「お前は本当に、時々殴りたくなる」


「何だ。女に噛まれて幸せそうな男を、適切に祝福できなくて悪かったな」


「そこだよ」


だが、それでも笑った。


そして、その笑いにはもう、前みたいな防御がほとんどなかった。ただ純粋に、少し若く見えるくらいの愉しさがあった。女が男を、義務や遠慮ではなく、欲望の側から噛みに来る。彼にとって、それはかなり大きな発見だったのだろう。


エドランは、もっと時間がかかった。


ずっと。


ヴェイルが感謝と驚きのほうから変わっていったなら、エドランは自分自身の抵抗をひとつずつ越えていかねばならなかった。誰も完全には信じないという癖。若い頃から、近さより先に支配だけを叩き込まれてきた身体。女と関係を持つことは知っていても、女と相互に生きることは知らない、その長い慣れ。


だが、それでも進んではいた。


不格好に。


自分自身を噛みながら。


ある晩、エドランは遅い時間に彼のところへ来た。いつものように人や資金や家筋の話から始めるのかと思ったら、いきなり言った。


「これは、俺を弱くすると思うか」


彼はすぐには意味が分からなかった。


「何が」


「女を、ただ囲う対象としてじゃなく、体だけじゃないところでもそばに置こうと考え始めることだ」


それは、これまでのエドランの言葉より一歩深いところまで来ていた。


「いや」と彼は言った。「弱くはしない。ただ、複雑にはする。人間は、複雑になる時に、前より力を失ったような嫌な感触を覚える」


エドランは黙った。


「目が変わる」と彼は言った。しばらくしてから。「部屋に入る時、最初から王としてだけではなくなると、あいつの目が変わる。それが、気に入っているのか、ただ自分が優位でいられなくなるのが落ち着かないのか、自分でもまだ分からん」


「たぶん両方だ」


「最悪の答えだな」


「正しいぞ」


エドランは鼻で笑ったが、否定はしなかった。


国のほうでは、その間にも彼の統治がとうとう“反応”ではなく“秩序”へ変わっていった。もはや抵抗を一つずつ叩くのではない。服従そのものを配列する段階だ。力で従わない者は、得で従う。得で従わない者は、恐怖で従う。恐怖でも従わない者は、脅しで従う。何を使ってでも、最終的には従う側へ入れる。そして、その仕組みが回り始めていた。


ちょうどその時、世界はまた、彼の予想とは別の方向から動いた。


最初は報告だった。


疎らで、退屈なくらい小さな。


山脈の向こう側から。


ラヴァルンの方角から。


ラヴァルンは、地図の上では隣国だが、実感としてはほとんど別世界だった。ヴァルガルドとラヴァルンのあいだには山脈があり、その山脈が外交よりよほど強く国境の役割を果たしていた。交易もほぼない。政治的なやりとりもほとんどない。たまに狩人や巡回が山の手前で顔を合わせる程度。敵でも味方でもなく、ただ「向こう側」というだけの国。


ところが、その向こうから獣や魔物が、前よりずっと多く下りてくるようになっていた。


最初は「少し多い」程度だった。


だが、すぐに「明らかに多すぎる」へ変わった。


山狼。いつもより大きく、いつもより荒い。


記録の上では曖昧に「岩場の怪物」とまとめられてしまうような連中。


山裾の集落や荷車への襲撃が、点ではなく帯のように並び始めた。


まだ破局ではない。


だが、偶然とも言えない。


エドランは大きな卓の上に地図を広げ、山の線を指で叩いた。


「ラヴァルンだ」と彼は言った。「あるいは、ラヴァルンの側で起きている何かだ」


彼は地図へ身を乗り出した。


印は、山裾に沿って妙に整然と並んでいる。狩りの不運がいくつか続いただけにしては、きれいすぎた。


「向こうで何か起きてるのか」


「起きているか、まだ向こう自身がそれを問題だと理解していないかだ」


エドランはそう言った。


彼はしばらく地図を見て、それから言った。


「これは圧になる」


「なる」


エドランは頷いた。


彼はそこで、もうひとつのことも同時に見た。


機会だ。


しかも、かなり実用的な機会だった。


その発想は、ずっと彼の中に引っかかっていた。アヤノには実戦がある。ホウセイ。戦い。血。選択。恐怖。そういう現実をすでに知っている。だが、カイラとリラにはほとんどない。二人とも、力は大きく伸びている。だが、本当の命のやり取りとしては、家への刺客を退けた一度しか経験していない。あれだけでは足りない。足りないというのは、二人が弱いという意味ではない。力が、まだ実戦の中でどこまで自分を保てるか、知らないという意味だ。


山は、その機会をくれた。


厄介で、危険で、決して気楽ではない機会を。


狩りへ行く理由。


三人を全員連れていく理由。


現実の場で、力を試させる理由。


いきなり大戦争ではない。だが、十分に現実の危険の中で、学んだことを肉へ落とし込む場にはなる。


その考えが、政治の側と私的な側の両方から、ほとんど同時に彼の中へ入った。そこでまた、あの嫌な感覚が戻った。


――俺は、正しすぎないか。


山。


魔物。


口実。


現実での訓練。


あまりにも、次に必要なものが、そのまま向こうから差し出されてくるようだった。


だが今回は、その疑いを膨らませすぎなかった。


自分の正しさを疑うことが有益な時もある。だが、それが過ぎれば、ただの麻痺になる。そして今、麻痺は失敗より悪い。


彼が家へ戻った時、もう外は夕暮れに沈みつつあった。窓は内側から暗くなり始め、部屋の中には灯りが入り始めている。リラは卓のところで、暖かな布を肩へ巻いたまま、何かを食べていた。その顔は、妊婦だけが時々見せる、「この食べ物については誰も口を挟むべきではない」と言いたげな集中をしていた。カイラは長椅子に仰向けで転がっており、顔を見る限り、もうすでに退屈へ噛みつき始めている。アヤノは窓辺で本を読んでいた。いつものように。だが、彼が入ってきた時に顔を上げた一瞬で、彼女はもう彼が何かを持ち帰ってきたと分かったらしかった。


「何?」と最初に言ったのはカイラだった。


「山だ」と彼は答えた。


リラが目を上げる。


「悪い山?」


彼は少しだけ間を置いた。


「使える山だ」


その一言で、カイラはもう身を起こしていた。


アヤノは本を閉じた。


リラはゆっくりと匙を置いた。


三人とも、すぐに分かったのだ。彼が「使える」と言う時の声が、ただの問題ではなく、次の段階を意味していることを。


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