7 伝説の再来
それから王都までは襲撃はなかった。
当たり前だよな、街道で頻繁に魔物の襲撃があったら俺は、この国を疑っていただろう。
王都に着くまでは最近のフォルティの活躍について聞いていた。
なんと四大魔王の内の1人、残虐魔王アトロクスの討伐戦線に参加していたという。
この魔王、王都から近くもないが遠くもないという距離に城を構えていたらしく、他の魔王と争っていたらしい。
そして魔王同士の戦争の激しさが増し、消耗して帰還したところを袋叩きにしたみたいだ。
いわゆる漁夫の利ってやつだ。
なので今は四大魔王は3人しかいないのだとか。
いくら消耗していたとはいえ魔王を一人倒していたとは…
もちろんフォルティ以外にも数人のSランク冒険者がいたらしいが、なるほど化物なのも納得である。
それでも、こちらに被害が無かったわけではないらしく、王国騎士団はかなりの打撃を受けたし、冒険者も戦線の半分ほどはやられてしまったらしい。
最後は勝ち切ったらしいけど、フォルティも危なかったそうだ。
そんな強敵を打ち破った王都は今、残虐魔王アトロクスの戦利品を持ち帰っており、討伐を祝して絶賛お祭りムードらしい。
既に1週間ほど経過しているが、盛り上がりが収まる気配はないそうだ。
…これなら俺の噂も霞むかもしれない!
「なんて、思っていた時もありましたよ…」
「ん?何か言ったかい?」
「……いいや、何でもないよ」
王都の入門検査として、馬車が門番に止められている。
フォルティは有名人だから顔パスなのは理解できる。
「紅蓮の白騎士様!よくお戻りに!」
「はは、その呼び方はやめてよ~」
「そちらは…史上最速のSランク候補、”伝説の再来”ラグール様ですね!」
……なんて?
「「お待ちしておりました!!」」
胃が痛い…
なんだよ伝説の再来って。
そして6人ほどいる門番が全員、同じタイミングで綺麗な敬礼を向けてきたのである。
そりゃあ、そんなことされたら目立つよね。
一気に王都の民衆の視線を集め、門番の声が聞こえた者が騒ぎ出したのだ。
「おい!あいつがフェンリルを素手で倒したっていう噂のラグールだってよ!」
素手なわけあるかいっ!!
いや討伐もしてないわ。
「え?ヨルムンガンドを素手じゃなかった?」
「確かどっちもだったような…?」
「なんせすげえ奴が来たんだろ?」
「しかも、あの”紅蓮”とパーティを組んだらしいぞ!」
「アイツが…?本当に…?」
「マジかよ!?まじの最強パーティなんじゃねぇか!?」
瞬く間に騒ぎが伝播していき、王都に入ってすぐ人だかりができてしまったのだ。
「キミは本当に人気者だね、初の王都だっていうのにコレか…少し嫉妬しちゃうなっ」
ウィンクやめろ。
そして俺はこんな人気必要ない。
フォルティに全部あげたいくらいだよ。
「おかげで全然王都の景色を楽しめていないよ…」
好奇の視線、嫉妬の類の視線、尊敬の視線など…
人の視線が痛いとはこういうコトなのだろうか…
好奇と尊敬はまだいいんだけど、妬みの視線…向けられて初めて分かった。
凄く気持ちが悪い。何というか身の危険を感じるというか。
妬みのほとんどは冒険者と思われる者たちからだ。
フォルティという美女が隣にいることも大きいのかもしれない…
「はははっ、じゃあ依頼を達成したら、とっておきの場所に連れて行ってあげるよ!」
「……それ、死亡フラグってやつじゃねぇの?」
「ふっ、ラグくんがいるんだ、死なないでしょ!」
なんだその信頼は。
むしろ俺が先に死ぬが?
「冗談はおいといて、早速王都の冒険者協会に行こうか」
「……そうだね」
気が重い胃が痛い吐きそう。
実はゴブリンよりも弱いとかないかな、なんとかデーモン…




