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戦えない俺がなぜか最強扱いされてるんだが、バレたら死ぬらしい  作者: Vasy


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3/12

3 パーティ

応接室のような場所を出て、受付嬢のお姉さんと一緒に1階に降りてきた。


すると、いたるところからの視線を感じる。


「おい、アイツが…例の…」

「全然強そうに見えないわよ…」

「ホントにアイツか…?」


疑っている人の方が多いように思う。

それは素晴らしい目の持ち主たちだな。正解だ。


だが、俺の命に関わるので見破るのはやめてください。


「それでは素材の件、お願いしますね」


「あ。はい…」


周囲をグルっと見回してみるが、アイツらの姿がない。

どこに行ったんだ?

大体いつもなら依頼掲示板の前あたりで、あーでもないこーでもないと言い合っているんだが…


とりあえず外に出てみるか。

冒険者協会の扉を潜り、街中へと出る。


すると少し先にティプリたちの後ろ姿を発見した。


「おーい!ティプリ!どこに行くんだ?」


「ラグ…!」


「どこって、俺たちは今から薬草採取の依頼さ!」


「な、何で置いていくんだよ…?」


「……?何を言っているんだ?ラグ…」


「?」


「ラグはAランクになったんでしょ?私たちはFのまま。同じパーティにはなれないわよ」


な、なんだと…!?

ということはアレか?ソロ…!?


ますます終わったんだが。

高ランク依頼のわずかな希望でさえ砕かれた。


「マジですげえ!Fから一気にAランクになりやがってぇ!」


「見てろ!俺もすぐに追いついてやるからな!」


「そういうことだ、俺たちも頑張ってラグに追いつこうと思ってな」


コイツらのおかげで生きて森から帰れた。

…ん?いや待てよ?

こいつらのせいで今の状況になっていると言ってもおかしくないのでは?


…考えれば考えるほど、そうとしか思えなくなってきた。

お前らもこの重圧を味わえ!チキショウ!


「俺を抱えて森から帰ってくれたし、その、報告もしてくれたんだろ?」


「当たり前じゃないか、仲間だろ?」


っくぅ…!

すごくいい奴らなんだけど…!なんだけども!


「?どうしたの?ラグ?」


「お、俺からもお礼をさせてくれ!」


「え?いいわよ、そんなの」


いーやだめだね!

少しでも俺の重圧を感じてもらうぞ!絶対に…!


「遠慮するなよ、仲間だろ?」


「そ、それはそうだけど…」


「フェンリルの素材が余ってるんだ。これでみんなの装備を作りなよ」


「フェ、フェンリルの装備ぃ!?」


「お金は俺の名前で付けておいてくれて構わない。冒険者協会の受付で素材を受け取って好きな装備を作ってくれ」


「……Aランクともなれば太っ腹になれるもんなんだな…」


「フェンリルの装備なんてSランク冒険者でも装備してないわよ…?」


ふっふっふ…!

これでお前たちも、あの装備は何だ!?という視線や、装備の強さによる期待など感じられるだろ…!

これでも俺の感じている重圧には程遠いが…まあこれくらいで勘弁してやる…


「遠慮せず、フルアーマーまで作ってくれよな。本当に余ってるんだ」


「ま、マジかよ…!」


「ラグ…!必ずその装備でお前のいるステージまで駆け上がってくるからな、待っててくれよ!」


いや、俺は今すぐにでもこのステージから降りたいんだが。

…しかし本当にすぐに来てくれたら、俺の不安も少しは払拭されるのでは?


「あぁ、期待しているよ。早く来てくれ。すぐに」


「あぁ!待ってろ!」


こうして、冒険を共にしてきたパーティから事実上の脱退となり、ソロとなった俺。

しかもAランクで。


「生きていける気がしねえ…」


とりあえず、俺の装備もガチガチに固めよう。

幸い、お金と素材は大量にある…


少しでも生き延びる可能性、依頼クリアの可能性を上げておかないと…

アイツらは一旦先に採取依頼をこなしに行くらしい。


冒険者協会の方へ戻ってくると、協会の中が何やら騒がしい。

何か嫌な予感がする…が、素材を受け取らない事には装備の作成依頼も出来ない…


「……はぁ、何もありませんように…!」


ぎィィィィ。


協会の扉を開けると視線が一気に刺さる。

え?何?

いつもは扉の方なんて皆見ないじゃん。


「あ、アイツだ…」

「来た…」

「……私はまだ信じられないわ」


ホントに何なの?

今日はもう仕方ないかと思っていたけど、さっきとは視線の種類が違うような…?


とにかく、サッサと素材を一部受け取って出て行こう。

いやな予感がずっとしてるんだ。


受付嬢のお姉さんの元へ一直線で向かっていると、背後から可愛らしい声がかけられる。


「やぁ。キミが噂の史上最速のSランク候補、伝説の復活、最強のラグール君かな?」


…ちょっと待て。

何か知らない称号がいっぱい付いてきたんだが?


そんな風に言われてんの?

ヤバい、お腹痛くなってきた。


…いや、俺はそんな称号知らない、つまり、俺じゃない。


「ひ、人違いじゃないですかね…?」


振り返りながら答える。

早く素材を貰って撤退だ…!


「いや、間違いない。キミだ」


「な、なんで…」


「さっき受付嬢から聞いたからね☆」


パチン!ってウィンクじゃねえよ。

知っててその話しかけ方かよ!

クソ!可愛いからウィンクが様になっているのも腹立つ!


というかその称号、やっぱり俺なんだ!?

本当に?絶対に間違いない?

あ…そうっすか…はい…


「少し…お話、いいかな?」


「……うす」


嫌な予感、見事に的中したわ。

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