34.聖のお母さん
俺の全身にブワッと冷や汗が流れるのを感じたのは気のせいだっただろうか? なんでばれた? まさか聖が言ったのか? いや、彼女に限ってそれはないだろう。聖がサキュバスの血を引いているのだ、そのお母さんも血を引いているのは当たり前だろう。ならば、サキュバス同士に感知する能力でもあるのか? いや、ならば、聖からなんらかの忠告があるはずだ。ならばカマをかけているのだろう。
「召喚者……何の事でしょうか? あ、もしかしてゲームの話かなにかですか? すいません、最近ゲームはやってないんですよ」
俺の言葉は震えていなかっただろうか? とっさにしてはうまくかえせたのではないだろうか? 恐る恐る聖のお母さんを見ると彼女は先ほど同じように笑顔でこちらを俺を見ていた。ゴクリと何かを飲み込む音が聞こえたのは気のせいではなかっただろう。
「ああ、ごめんなさい、あの子ったら友達を作るのが、あまり得意じゃないからてっきりゲーム仲間だと思ったのよ。翔君はあの子とはどうやって仲良くなったのかしら?」
無言の中先に口を開いたのは聖のお母さんの方だった。これで誤魔化せただろうか? 俺は警戒しながらも、話を続ける。
「ああ、確かに聖さんはちょっと人と壁を作るところがありますね、でも色々とあって彼女と意気投合したんですよ。あんまり喋ると聖に怒られてしまうので言えませんが……」
「そう、残念ね、翔君はあの子が怖いのかしら? あの子は口は真面目で結構きついかもしれないけど優しいくて可愛いところもあるのよ。ぜひともあなたからみたあの子の事を聞きたいわね。クラスメイトではなく、あの子の友人としての意見をね」
そういって俺に再度問いかける彼女の目が宿す感情を俺は知らない。だけどここは本音で話すべきだと思った。さっきの様に表面ではなく、俺が親しくなって知った聖について語るべきなきがしたのだ。
「聖さんは確かに口がきついところがあるかもしれませんが、とてもやさしい子だと思いますよ。俺が色々とやらかした時も一切俺を責めなかったですし、むしろ俺がこれ以上変な事にならないように色々と注意をしてくれましし、俺の栄養を心配してくれてお弁当を作ってくれてますし、それに可愛いところがあるっていうのは同意ですね。普段はクールだけど、可愛いもの好きだったり、意外とツッコミどころがあったりして、そこをいじると可愛い反応をしてくれますし、仲良くなったのは最近ですけど、彼女の意外な一面をどんどん知っていけてこれからも仲良くやっていきたいと思ってます」
「そう……ちゃんと見てくれているのね……」
俺の言葉を聞いた黒川のお母さんは一瞬目を見開いたあとに、柔らかい笑みを浮かべた。その笑顔は先ほどまでのニコニコとした笑みとは違ったけれど不思議とこっちの笑顔が本気なような気がしたのだ。
「翔君がちゃんと聖ちゃんの友達をしてくれるのがわかって安心したわ。変な事を聞いてごめんなさいね。もう一つだけ聞いていいかしら?」
「ええ……なんでも大丈夫ですよ」
どうやらお母さんの信頼を得ることに成功したようだ。よかった……俺は一安心とばかりに一息つくとなぜか彼女は俺の隣に座った。うおおおおお、胸が近いよぉ!! 聖のお母さんってのはわかってるんだけど、美人さんだからか、むっちゃどきどきするんだが?
「その魔印が一つ減ってるみたいだけど、何のために聖ちゃんを召喚して、何に使ったのかしら、教えてくれるかしら? ね、召喚者さん」
俺は服を押し上げられて消費した魔印を指さされて、言い逃れができなくなるのであった。
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