俺は感想が聞きたい
モブなので主人公の外見は深く定めておりません。
(すみません、決してイケメンではありませんが)
どうかお好きな姿で、旅立って下さい。
俺は、果支那 夢女子という女を知っている……
彼女とは幼稚園から高校まで、ずっと同じ学校に通っていた。
幼馴染みというやつだろう。
しかし、話しかけた事は一度もない。
何故なら俺は、根暗オタクだからだ……
物心がついた頃から生粋の人見知りで、
人の気配には敏感な癖に話術はからっきし。
いつも教室にひとりぼっちだ。
しかし本と向かい合っている時、
俺は決して孤独ではなかった。
本が大好きな自分に対する誇りだけは、
確かだったからである……
そんな俺は、
いつも教室で本ばかり読んでいるハテシナに親近感を覚えていた。
最初の頃は、ハテシナが俺と同じ本を読んでいて興味が湧いた。
そのうち、ハテシナが読んでいる本を読むようになった。
最終的には、自分が書いた本を
ハテシナに読んで欲しいだなんて思う様になってしまい……
俺は必死に、ハテシナの為に物語を書いていた。
そして俺は遂に小説を書き上げて、
自腹で本を出す事に成功したのだ!!!
まぁつまりは同人誌な訳だが、
こだわり抜いて、出版されている本みたいな装丁にして貰った。
ありがとう、印刷所の方々……!!
それは勇者が格好良く活躍する、王道のファンタジーだ。
俺はその本を手紙と共に、ハテシナの机へと忍ばせた。
読んで感想を聞かせてくれないか、と……
ハテシナは教室でその本を読み耽り、
その姿を眺めているだけで俺は、一日中気が気ではなかった。
そして、ハテシナが最後のページまで読み終えたのを確認した時。
俺は今日こそ、彼女に声をかけようと決意したんだ……!!!
ハテシナが席を立った気配を感じ、
俺は慌てて教室のドアを開けた。
人生18年間で、一番の大勝負である……
しかし俺の意気込みと反して、扉の先に彼女の姿はない。
「あれ、ハテシナ……??」
確かに今、教室の外に出た筈だ。
すぐに追いかけたから、
既に廊下を去っている訳もないだろう。
これではまるで、ハテシナが消えてしまったみたいだ。
不審に思い、
俺が再び教室の中へと視線を戻すと。
ハテシナの席には何故か、知らない男が座っていた……
そいつの名前は、果支那 零。
その姿を見た瞬間、俺は何故か確信したんだ。
こいつは絶対に敵だ、と……




