世間の厳しさを教えます(3秒で)
戦闘描写が大の苦手です(正直者)
とりあえずさっきの少女との剣戟でこのボンクラ勇者様(笑)の大体の実力は掴んだ。
…とは言え、腐ってもゾンビ化しても白骨化しても勇者(笑)というのは大概長引けば厄介になるのは常識中の常識。勝手に「くそっ、僕に力があれば…!」とか言い出して急に神様とかから加護を貰って強くなりかねない。別に構いはしないけど。
まぁ保険をかけておくのもいいかも、と思い立ったが吉日。テレパシー(かどうかは定かではない)で一応女神様に確認をしてみよう。
あ、ちなみにこんな思考を巡らせているまさに今、勇者様(笑)は俺に向かってブンブンと勇者の剣を振り回して攻撃を当てようと頑張ってます。HAHAHA、もうちょっと強く振らねば扇風機ほども涼しくなりませんぞ。
(おーい女神様やーい)
『あ、ふぁい、なんれひょうか?』
天界ではお茶の時間か何かでしたか?
(休憩中すまんね。ちょっとたなびたい事があるんだ)
『変身するところでも見たいんですか?一応あと2回変身は残していますが、残念ながら映像をお見せできないので頼むだけ無駄だと思いますよ?』
(なんで天界の女神様がこういうネタ拾える上に自分からぶっこんでくるんですかねぇ…?)
日本のサブカルチャー理解し過ぎでしょう? そのうち新妻SE入れてきそうで怖いわこのお方。
『カーン!キーン!グワーン!でしたっけ?』
(テレパシーでもないモノローグ読んで答えないでもらえる?)
『一応全知全能の神様なもので。…ところで、頼みたい事とは一体何でしょうか? これ以上スキルを増やせだの、身体能力を上げろだのはお断りですよ? 一体何をしたのか知りませんけど、あなたいつの間にレベルが80近くも上がってるんですから。成長速度がおかしいとかで片付く話じゃなくなってますよ?』
(フラグとかテンプレを全部正面から受け止めてバッキバキかつグッシャグシャにしてやった結果がこれだよ。というか断言するわ、成長速度がホントにおかしい)
だってたった2日だぞ? そもそも地上に降り立った時点でレベルが1から7になった時点でおかしいと思うんだよ。そこからなんやかんやあって、気づいたらレベルが92ですわ。やけに身体の動きにキレが増してきたなーなんて思ってステータス見たらこのザマですわ。
誰だこんなスキル渡してくださいって頼んだヤツ。
(…まぁいいや、その話は。んで頼みたい事なんだけど、ご覧の通り、今俺勇者様(大爆笑)に殺してやるって剣ブンブン振り回されてるんだけど、コイツどう見ても『俺と同じ世界から来た異世界人』だよな? 俺が言うのも何だけど、女神の同僚だか部下ってこんなろくでもないアホを勇者としてこの世界に送り込む程仕事出来ないの?)
『…耳が痛い話です。こちらとしても、その方を送った神を探しているのですが、あなたが助けたあのバカの一件のいざこざで手がつけられてない状態なのです。別に世の為人の為世界を救う人材を送るのは禁則事項では無いのですが、本来ならばしかるべき書類や手続きを通してもらわないと異世界転移を行なえないんです。』
どんどん確実性が増していく『天界=一企業説』。上長の承認印とかが必要になってくるんだろうなぁ…。
『ところが、あのバカがあなたに助けられた一件の際、一時的ではありますが天界が騒然となり、そして私も思わぬ状況に目を離してしまった事もあって、誰かは知りませんが無許可で転移を行なってしまったようです。ちなみに異世界転移における最高責任者は、あのバカです』
あっ…(察し)
(…とにかく、俺が今から勇者様の攻撃を一切合財避けまくって『くそっ、僕に力があれば…!』的な状況まで追い込むから、もしそれに反応して加護を与えようとする神がいれば、有無を言わさずひっ捕らえてくれ)
『願ったり叶ったりですので、そこはお任せください。…あと、人々の創造主、万人に崇められ奉られる存在の私が言うのも非常に罰当たりなのですが、その勇者様はこちらの世界で魔法の力を開花させてしまっていますので、この世界で不要な存在になったとしても送り返す事が出来ません。そして……そして何より、この方はこのまま野放しにすれば、己の力に増長し波乱を起こしかねません。願わくば、無害な存在にするか……』
(存在そのものを消滅させるか、ってか)
『……………』
(そこに何か色々と詳しそうなオッサンがいるから、一応この世界の法律に則ってどうにかするよ。俺は大丈夫、自分の家族を一度手にかけられた体験をしてるんだ……)
(悪を潰すのに何の抵抗も無い)
「……おろろっろrrrrrrrrr!!」
悪人潰すのに抵抗は無くても、クサいセリフ吐くのには慣れてねぇ!!
…あ、ごめんね勇者様。ご自慢の勇者の剣がゲロまみれになっちゃいましたね(大草原)。
「だ、大丈夫か?! いきなり吐くなんて病気を患ってるのか?!」
お、ちょうどオッサンが反応してくれた。これぞゲロの功名ってヤツか?
「あぁ、うん、ダイジョブヨー」
「なんで最後がカタコトなんだ?!」
「それは置いといて。オッサン、コイツは一体どういう処分にすればいいんだ?どういう経緯か知らんけど人一人殺してるし、いたいけな少女に剣を振るいまくってたし、挙句第三者も甚だしい俺に殺意持って襲い掛かってきてる始末だし」
「…正直、国としても最早目の上のたんこぶでしかない。若気の至りでは片付けられないレベルの増長をしてしまったしな。…たまたまギルドの護衛任務の際に盗賊団によって殺された、と報告をする予定になっていたんだが……まさか護衛対象を殺すとは思いもしていなかっただけに、この二人には申し訳が立たない」
異世界という環境に酔いしれた結果がコレか。明日は我が身、俺も気をつけなくちゃならんなぁ。
そしてコイツは国からも見捨てられた重罪人、か。異世界系のラノベを知ってて、そして自分が同じような境遇に立たされたもんだから、『俺が主人公だ!』って思い上がったツケが今来てるワケだ。
世の中、謙虚ってやっぱり大事なんだなぁと思うと同時に、俺に向かって立てられるフラグの勢いが凄いってのを改めて実感したわ。
「じゃあサクッと殺っていいんだな? 俺個人としても、コイツをこれ以上野放しにするとろくな事が起こらなそうな気がしてならないんだけど」
「…ただの旅人に頼むのは気が引けるが……頼む」
「かしこまりっ!」
というワケで、取り出したるはブラッドイーター。
…あ、別にコレでズバーっと斬って終わり!閉廷!ってワケじゃないゾ。
先の性能紹介の時には言ってなかったんだけど、どうやらこの剣、元々は『魔剣喰らい』って言う、武器を喰らって基本性能を上げるとかいう『魔剣だけじゃねぇのかよ!』とツッコミたくなるようなチート性質がある。
それを誰が改悪したか知らないけど、斬りつけた相手の体力を奪って蓄えるとかいうスタミナイーターさん(笑)に変えられてたというね。
…後付じゃないぞ? 俺だってこの剣を解析するまでそうなってるのを知らなかったし、あんまりにもチートだから任意で発動させるタイプに変更した上で、血液操作っていう相手に厳しく自分に優しい、対人対魔物用の武器に変えて……
ソードイーターより悪質なチートだって? そうだね、俺も思った。
…まぁそれはいいとして、とにかくこの魔剣を、ブラッドイーターからソードイーターに切り替えて…
さぁ、ココからは瞬き厳禁だヨ☆
手順はこう。
1.とある格闘家から教わった『瞬動』という特殊な歩法を用いて懐に入り込み、嫌々ながら自分の汚物まみれになった勇者様の聖なる剣(笑)を、これまたとある剣術家から教わった『一閃一殺』という抜剣術で砕き割って吸収。(1秒)
2.勇者様の聖なる剣(笑)を吸収したのを確認し、魔法空間にソードイーターを収納、魔力と気を同一に握り締めた右拳に練り上げて待機させ、左の掌底で軽く小突いて1m程距離を空けさせる。(2秒)
3.身体に当たるか当たらないかというギリギリ目掛けて右拳を撃ち込んで寸止めし、同時に練り上げた魔力と気を一気に前方に放つ。
性質上反発しあう魔力と気が指向性を持たされて直進して物質に激突、かつ大気中で霧散することにより、激突した場所で大爆発を起こし、相手は粉砕☆玉砕☆大喝采!
そして俺は魔道具によって魔力のダメージは反射されるので更に1.5倍ダメージを追加させ、気は取り込む事により消費を限りなくゼロにした上で俺に来るダメージを無効化する事に成功。(3秒)
後には塵も残っていませんでしたとさ。
HAHAHA、汚ねぇ花火だZE☆
そしてふと気づいた。
(俺に力があればパターンやらせてねぇ!!)
『あ、大丈夫です。1秒目の段階でヤバいと思ったのか、力を送り込もうとしてたボンクラを見つけましたから』
…結果オーライだゾ。




