俺の生活環境がこんなフラグだらけなワケがない
「…なぁにコレェ」
某カードゲームの主人公みたいな、呆然と語尾についてもおかしくないぐらい自然に出た俺のセリフ。
例の剣戟が聞こえた野獣の森かっこ意味深かっことじるにやむなく突撃し、目にした光景でもう言わざるを得なかった。
「意味☆不明!」
コレも言わざるを得なかった。後悔も反省もしていない!実にすがすがしい気分であるッ!
…いやぁ、だってさぁ…
「殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる…!」
「お前もあいつらの仲間かぁぁぁぁぁ!ふざけやがってぇぇぇぇぇぇ!僕は勇者なんだぞぉぉぉぉぉぉ!!」
厨二臭い格好をした自称勇者とかいう男の子と、目から完全にハイライトが消えた女の子が、結構な速度で剣を打ち合っているんだもの。
テンプレだフラグだとずっと思ってたけど、まっさかこんなカオスな事態に対面するなんて思いもしませんでした。人生ってやっぱり怖い。
「…そ、そこのキミ!ココは危険だ、この戦いは人智を超えている!巻き込まれるぞ!」
「は?」
うっわ怖っ、なんてありふれた感想を抱いていると、どったんばったんと盗賊っぽい人がこちらに向かってきた。ただし、言っている事は至極一般人…よりもどっちかと言えば兵士みたいだなコレ。
「よしおっさん、事情を三行で説明するヨロシ」
「おっさ…!? って三行!? いやいやいやそんな簡単じゃないのだ!」
「ハハハ、ワロス」
「お前なんなんだ本当に!? とりあえず
あの男があの女の子の両親を殺してしまって
女の子が錯乱というかガチ切れしだして
俺の剣を奪ってあの男と戦い出したんだ!」
説明出来るじゃーん!
しかしまぁ…自称勇者を名乗っておきながら、この盗賊染みたおっさんじゃなくてあの女の子の両親を殺した、ねぇ…?
ふーむ、女の子の方はメッチャ筋がいいな。まだ荒いけど磨けばかなり光る優秀な剣士になれそう…というのとは裏腹に、あの自称勇者(笑)はアレだ、自分の力を過信して鍛錬を一切してないタイプだな。どこまでもテンプレの力に溺れてるクソ勇者じゃないか。型も何も無いし、太刀筋も雑過ぎて完全に見切られてる。ただ体力と腕力にモノを言わせて数でゴリ押ししてるなぁ…。きっと、コレまではコレで何とかなってたんだろうなぁ…。
「…とりあえず、亡くなったっていうご両親さんの元に案内してくれるか? どこらへんまで余波に巻き込まれるか分からないからな、離しておかないとどうなるか分からないぞ?」
「わ、分かった……じゃない! いいからキミはココから離れるんだ! それに女の子のご両親は私がそこに既に移動させておいた!」
「あ、そこにいるの? じゃあちょうどいいや、ちょっと試したい事があったんだよねぇ」
「……は?」
移動させたと指差した場所にてこてこと歩いて行くと、あー…男性の方は頭と体が別れちゃったかぁ…。さすがにコレは難しい……おっ?
「……女性の方はかろうじて心臓が動いてる。すぐに処置できれば死なずに済むぞコレ」
「なにッ?! い、いやでも、完全に腹部に風穴が開いてしまってるんだぞ!?」
「結構主要な血管も持ってかれてるけど、さっさとやれば大丈夫っぽいな。よし、今からやる事は一切他言無用。いいね?」
「アッハイ」
話してしまったら、ツキジめいたトロになるであろう。
さて、何をやろうかと言うと。
皆さんはソラを覚えているだろうkすいません覚えてらっしゃいますよね覚えてないと俺の頭皮が抉られてしまいます。
とまぁソラと出会った時に、こいつ罠に嵌ってたって話ししたかと思うんです。その時の罠が、まぁありきたりだけど見た事は無いの代名詞で有名な『トラバサミ』だったワケです。
結構ガッツリ食い込んでた罠を外してはみたものの、酷い怪我だったワケですよ。んで、それがまだ昨日の話なのにどうしてソラはこんなに元気なのか?と言われれば。
「…超回復・超成長を一時譲渡、体力を三割譲渡、鮮血喰らいの特殊能力発動。『急速造血』を対象者の傷の修復を確認後発動」
なんと俺のスキル、一時的に譲渡する事が可能なんです。そしてそのスキルの中の『超回復』と『超成長』を組み合わせると、特殊スキルである『超高速回復』というモノが発動するらしいのである。
更に、以前ゲロ吐きやがった村長がいた村を襲ってきたヤツが持ってた『スタミナイーター』とかいうクッソ笑えるネーミングの剣があったと思うんだけど、村を出てから最初の夜に女神様(笑)のそれはそれはすんばらしい啓示がありまして、魔力を流すとどうやら魔術回路とやらが出てくるらしく、そこのスタミナの部分をいじれば好きなように出来るよーという非常に重要なのに軽いお言葉のおかげで、『斬ったら失血死させられる』というチート性能を持たせた鮮血喰らいを完成させましたと。
ただせっかく血をどうこう出来るんなら、自分が失血死しそうになった時の事を考えて、魔術回路に少し隙間があったから『急速造血』って書き込んでみたらなんかそれも能力になってまして。
つまり、この女性は今『超高速回復』と『急速造血』という、即死じゃなければ死なないわというチートな状態になっているのである!
うん、なんだこのチートスキル。
シリアスは長続きさせられません。




