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ほのぼのしたい異世界生活のススメ  作者: 伊佐若 早葉
まったりしたい旅の始まり
12/30

事情説明 ~商隊の娘の場合~

邪魔くさい。

それが第一印象だった。


うちの馬車が魔物に襲われて、魔物は討伐したものの馬が逃げ出して困窮してたのは認める。認めるんだけど。


「僕が馬車を引いていきますよ!なーに、お礼はいりませんよ!」


って言って、中身も聞かずに勝手に引っ張るとか、冒険者としても人としてもありえないぐらい自己中だ、と思った。案の定、積荷は全部ダメになった。折角お父さん達が頑張って値切って大量に購入したのに、全部。

後々に王国の近衛兵の人が凄い謝罪して被害分以上のお金をくれたから、まぁよしとしようとお父さんは言っていた。




そんなムカつくヤツが、また私たちの護衛の任務を受けてきた。

正直ギルドに依頼を出すのは控えようってお母さんが言ってたんだけど、傭兵を雇うと高くつくし、無論王国の兵士なんて雇えるハズが無いからってお父さんに言われてた。

そんなに危ない場所を通るワケじゃないけど、移動に数日を要する以上複数人の護衛が必要になる。なのに、この男はソロでこの依頼を受けた。



出発の数日前、王国の近衛兵士団団長を名乗る人が私達の元にやってきた。なにやら、依頼を受けた男が思いのほか役に立たないどころか害悪になりつつある為、私達に協力を求めて捕まえたいのだそうだ。

話を聞いて行くと、どうやらあの男は『異世界召喚された勇者』なのだそうだ。しかしどうも自分を過信し過ぎているらしく、スリの女を改心させたと勘違いしてまた野に放ったり、魔物討伐の依頼で森や岩場を過剰過ぎる程に破壊してしまうなど、私達以外にも迷惑しかかけていないようだ。


…なんだあの男、呼ばれて煙たがられるとか存在意義あるのだろうか?


とりあえず色々と話を進め、一応勇者を確実に捕まえる為に人質を取らせてほしいと言われた。

お父さんもお母さんも困惑していたが、商隊の皆さんには危害を加えませんと念を押された為、私が引き受ける事にした。お父さんだと体格がかなり大きいから人質にならないし、お母さんは…まぁ、お父さんラブだからお父さん以外の男の人と接触はしたくないんだとか。親ながらなんという惚気なのだろうか。





そんなワケで計画通り野獣の森に入り、盗賊団に身を扮した近衛兵士団の皆さんが私達の商隊を襲う。勇者は予想通り、私達を馬車へと隠して盗賊団に突っ込んで行った。前線に勝手に突っ込んで行って、型も何も無い剣を振り回す。


…正直、馬車を引くだけのパワーがあっても、この人は根本的に雑魚だ。

その証拠に、攻撃が真っ直ぐで単調、連携されれば前に踏み込めない、一発強力なのを打ち込もうとしているのがバレバレ。


……なんで詳しいのかって? 私、どうにも商才が無いから冒険者として訓練を受けてきていたからね。一応コレでもそれなりのランクにいるし。




そんなこんなしていると、馬車の後ろの方から団長さんがぬっと出てきた。どうやら戦闘は部下の人に任せて、こっそりとこちら側に来たようだ。


「怪しまれるといけないので、ご両親は命からがら逃げた体であの勇者のところへ行ってください。一応形だけでも娘さんを人質に取りますので、娘を返せだのの演技も多少はお願いします」


…盗賊ルックで物凄く丁寧に言われると、違和感しか覚えないからやめてほしい。というか、正直笑いそうになるから。




「おっとそこまでだ! クソガキ、お前護衛対象をほったらかしにして前線に上がってくるたぁ馬鹿極まりないな。お任せを、だなんて啖呵切っておいてこのザマだ。おおっと剣を置きな! そして地面にうつ伏せになってろ。人質が殺されたくなかったらなぁ!」


この人、兵士辞めても舞台とかで活躍できるんじゃないだろうか、と思う程演技が上手い。

そして、あまりにも的確過ぎる分析。言えるなら言いたい事が全部凝縮されている。さすが近衛兵士団の団長さんだ。


そしてお父さんとお母さんは凄い棒読みだ。『ムスメヲカエセー』の一言が、こんなに感情も無いとは初めての体験だなぁ…。



…ん? あの勇者…何かしようとしている?








は?






え?






……しばらく信じられなかった。まったくもって被害を受けないポジションにあったはずの両親が、護衛を引き受けた本人に、殺された…?



「お前…何をして…」

「あいつ…心底頭狂ってるんじゃねぇのか…?!」

「目の前で…子どもの目の前で親を…鬼畜にも程がある…!」



嘘だ。あんなに優しくてお母さんにベタ惚れだったお父さんが…

時々厳しいけど、いい事をしたら物凄く褒めてくれたお母さんが…


あの男に関わったせいで、殺された……?






殺す。殺してやる。首を斬り落として殺してやる。ハラワタぶちまけて殺してやる。四肢を斬り落として殺してやる。心臓握り潰して殺してやる。

殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやるうううううううううううううううう!!!!

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