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第2話 憧れの名探偵

 23世紀に来てから10年後、私は13歳になっていた。


 私は、23世紀の子どもたちとはうまくなじめなかった。


 9歳の時、特異「念力」が暴走し、小学校のクラスメイトを骨折させてしまったからだ。


 私はその後、しばらく特異更生施設に入れられた。


 この念力は『特異』と呼ばれる能力で、私は特に危険なA級特異者に分類されている。


 更生施設では首に感情抑制リングと感情抑制マスクを付けられ、今でもそれは外せない。


 出所してから、私はずっと部屋に引きこもるようになった。 


 人が怖くて、ずっと外に出られないでいた。


 ある日のお昼。


 神崎美鈴 「沙羅ちゃん、ご飯置いとくわよ。昨日の夜も食べてなかったでしょ。ちゃんと食べてね」


 沙羅 「……」


 この人は神崎美鈴さん。時雨さんのお母さんだ。


 こんな私にも、優しくしてくれる。


 沙羅「私には、ノエルがいればいいんです」


 そんな私にも好きなものがある。


 それは推理小説を読むことだ。


 特に「シャーロック・ホームズ」が大好きだ。


 本を読んでいる間だけは、現実を忘れられる。


 以前、施設で一度だけ推理をして大人たちを驚かせたこともある。


 でも、そんなことはどうでもいい。


 私は普通の子と違うから。


 ある日、いつものように本を読んでいると、外から声が聞こえた。


 住所A「ひったくりだ!」


 おばあさん「誰か!」


 私は心の中で


(私なんかが行っても……)


(怖いでも、放っておけない)


 沙羅は黒いパーカーを深くかぶり、ノエルを持ったまま外へ飛び出した。


 沙羅 「どうしましたか?」


 住民A「おばあちゃんのバッグが盗まれたんだ!」


 住民B「急に消えたんだよ!」


 沙羅「ありがとうございます」


 住民B「おい、君!」


 しかし沙羅はすでに走り出していた。


 沙羅は考える。


 急に消えた?


 そんなことはあり得ない。


 煙に紛れたわけでもない。


 影に隠れたわけでもない。


 なら考えられるのは一つ。


 透過系の特異能力者。


 沙羅は公園へ向かった。


 沙羅「どうしたらいいんだろう……」


 その時だった。


 噴水から、不自然に水しぶきが飛び散る音がする。 


 噴水近くのベンチに水滴がついていた。


 沙羅「え……誰もいないのに、水しぶきが……」


 そして気づく。


 沙羅「そうか……そういうことか」


 沙羅は念力を使い、噴水付近の“何か”を浮かせた。


 犯人の姿があらわになる。


 犯人「な……なんだ!?」


 沙羅「犯人確保です」


 犯人「くそ、小娘が……なぜ分かった!俺たち“辺見兄弟”のトリックを!」


 沙羅「水しぶきです」 


 沙羅「いくら透明になれても、音までは消せません」


 その瞬間、長い舌のようなものが飛んできて沙羅に巻きついた。


 沙羅「カメレオン能力……でしたか」


 辺見(兄)「推理が甘いな、探偵ごっこのお嬢ちゃん」


 辺見(弟)「兄貴!」


 辺見(兄)「助けに来たぜ ブラザー」


 辺見(兄)「ちょうどいい。こいつを人質にするぞ」


 沙羅「やめてください……!」


 力が抜ける。


 念力が発動しない。


 そのまま沙羅は連れ去られた。




 辺見(兄)「ここが俺たちのアジトだ」


 辺見(兄)「人質だからな、騒ぐなよ」


 辺見(兄)「なあ、一つ聞くが……お前、昔学校で起きた念力事件の犯人か?」


 沙羅「やめてください……」


 辺見(兄)「やっぱりな」


 辺見(兄)「犯罪者が探偵ごっことは笑えるぜ」


 沙羅は昔のことを思い出した。


(そうだよ、この人の言うとおり 私みたいな犯罪者が探偵になんてなれないよ)


 その時だった。


 弟が吹き飛ばされる。


 辺見(兄)「何しやがる!」


 辺見(弟)「兄貴、すまん!」


 レギウス・アルカード「ほう、兄弟か」


 辺見(兄)「誰だ」


 アジトが煙に包まれる そこから一人の女性警官が現れる


 アルカード「時空警察ロンドン支部長、レギウス・アルカードだ」



 辺見(弟)「ひぃっ……!」


 辺見(兄)「ビビるな!」


 辺見(弟)「無茶苦茶だ……あの女、強すぎる!」


 辺見(兄)「警察ごときに負けるか!」


 彼女は沙羅を見る。


 アルカード「安心しろ」


 アルカード「私が来た以上、貴様らは終わりだ」


 辺見兄弟は逃げようとする。


 アルカード「その程度でこの私から、逃げられると思うな」


 辺見兄弟は消えた。


 アルカード「カメレオンか……厄介な能力だな」


 電子音が鳴る。


「レジェンドリンク 武則天」


 アルカード「女帝の獄炎」


 炎が敵を包み込む。


 アルカード「確保だ」


 辺見兄弟「くそ……チートが……!」


 沙羅は助けられた。


 沙羅「あの……ありがとうございます」


 アルカード「礼はいらん。仕事だ」


 アルカード「それに、もうすぐアイツが来る」


 沙羅「アイツ……?」




 その直後だった。


 時雨が駆けつける。


 時雨「沙羅!良かった」


 時雨「一人で事件に突っ込むな。あとで説教だ」


 沙羅「すみません……」


 アルカード「貴様の娘、筋はいい」


 アルカード「だがカメレオンと透過の見分けはまだまだだな」


 アルカードは去ろうとする。


 沙羅「あの……」


 沙羅 「私みたいな犯罪者でも、あなたみたいな名探偵になれますか?」


 アルカード「犯罪者かどうかなど知らん」


 アルカード「だが、真実を追う覚悟があるなら探偵になれる」


 沙羅「……はい」


 アルカードは去っていった。


 時雨「帰るぞ」


 沙羅「はい」


 時雨「どうした?」


 沙羅「私……探偵になりたいです」


 沙羅「私も、人を助ける側になりたいです。」


 沙羅は少し前向きになっていた。


 時雨「そうか」


 時雨「その言葉が聞きたかった。」


 それが、私が“探偵”を目指したオリジンだ。

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