第2章8話
〜ザジス軍本部天幕〜
アロウに顔面を蹴飛ばされて。顎に包帯を巻いてる貴族風の男は怒鳴り散らしていた。
「まだ、クロウとエミール王女は見つからんのか?」
そこへ兵が1人入って来た。
「報告します。空に浮いた老魔術師が止まりません。大規模範囲型魔術を連発し、被害が止まりません。」
ふんぞり返って居た男は
「えぇーいうるさい!こうなったのも全部クロウのせいだ。奴は戦犯だぞ?早く見つけろ!」
隣に居た、50代の男が
「此度の戦の被害総数は?どうなってる?」
「はっ!総数は5万の兵の内、約3万人を超えそうな勢いで今現在も増え続けています。」
男は頭を抱える。
軍の司令官はエミールをトップとして次がクロウ。
そしてこの天幕で氷漬けになっていた3人だったのだ。
命令系統が1時麻痺した為に、上手く軍が動かせず、尚且つ次いで司令権のある人間はこのふんぞり返ってる貴族の子女ばかり。
軍でしっかりと訓練をしていた人間は平民上がりの司令官ばかりで一切軍の統制を取れてなかったのだ。
「バルク様、ご決断の時です。降伏致しましょう。これ以上被害が出ればこの軍の上層部は全員戦犯になります。」
バルクは顔を真っ赤にして、
「うるさい、奴を引きずり出せ。俺にあの屈辱を与えた白髪のクソ野郎を!」
足をジタバタさせ子供の様に駄々をこねるバルクを見て。
周りは完全に冷めていた。1人を残して全員天幕を出た。
「はぁ、何なんだあれは?我々を何だと思っているんだ。」
頭を抱え考え込む男は決断する事にした。
「伝令を頼む。私の命はもう諦めた。それよりも部下が死ぬのはもう見てられん。各自身を守りながら撤退しろ。俺は今追撃戦を行っている老魔術師に交渉を行う。」
「上官……かしこまりました。そのお気持ちをお伝えします。」
「行け!皆の命を守るのだ。早く行けば行く程、被害を減らずぞ。我々は馬に乗り降伏宣言をするぞ!皆着いて来てくれるな?」
「もちろんですよ!」
そんな事を話し合いながら完全にバルクを無視して。
ザジス軍は降伏を決定したのだ。
〜両軍分断地点〜
アロウが出した。零氷の上に腰を掛け。
王級魔術を、連発する老人が居た。
『グラヴィティ・ホール』『サンダー』
目の前で雷の嵐やブラックホールが複数出現して相手の兵士を屠りまくっていた。
「ふむ、敵の上層部はバカなのかのう?これだけやられて。総大将や精神的支柱の将兵を取られて。士気も無くグダグダ戦を続ける理由がわからんのぉ。
それにしても、小僧の氷これは魔術師にとって脅威じゃのぉ、王級魔術ですらビクともせんとはな。」
「ローデン様、お久しぶりです。」
ギルドマスターのウォー・グレンが老人の横で頭を下げていた。
「ふぉっふぉっ組織のリーダーになる者が簡単に頭を下げるでない。」
そう言うとギルドマスターは首を振る
「此度の戦に参戦義務の無い賢者と名高いローデン様に来ていただいたのです。」
そう言うとローデン老は
「知り合いの小僧と可愛いミーナちゃんの為じゃ!小僧が来なかったらもっと泥沼化してたじゃろ。そんな事になってみ?儂はミーナちゃんに何かあったらこの街を焦土にしとったわい。」
そんな話をしていると。
ザジス軍に動きがあった。
3人組の男達が白旗を上げて近寄ってきたのか。
「グレンよ。後は儂の預かり知らぬ所じゃ。この氷を解除する様に伝令を出す事じゃな。」
「はい、協力ありがとうございました。」
そう伝えると、ローデン老はフワフワと浮かび上がりながら。
「氷の近くは冷えるのぉ。腰が痛い痛い。」
なんて言いながら飛んで行ってしまった。
ギルドマスターは後ろを振り返り近寄って来た。
ザジス兵を見る。
白旗を上げ、
「我々は降伏する。降伏交渉、戦後交渉を願い出たい。」
「その旨、あいわかった。しばらく待ってくれ。会場を設置する後この氷壁を解除する時間をくれ。」
そう伝えると3人はホッとした顔をして、頭を下げていた。
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