7話 11度目のスライム狩り
食事を済ませた士は、カールたちとともに王都の南の平原にいる。
歩いて30分もするとスライムが出現し始め、更に少し進めばスライムに加えてモグラの魔物であるモーグルが出現する森もある。
どちらも初心者用の狩りの練習としてよく戦うことになるモンスターだ。
士は単独でうろついているスライムを見つけると王城で支給された鋼の剣で斬りかかった。
5匹ほどスライムを倒すと午後3時をまわった頃合いとなり、小休止を取る。
士につきあってくれていたカールたちはどこから出したのかお茶を楽しみながら雑談をしていた。
士はあと少しでレベルが上がることを知っているので、カールたちにもう少しスライムを狩ることを告げ、森の方向へ進む。
今まで難なくスライムを屠っていた士の様子に、任せても大丈夫と判断したのだろう。特に引き留められることもなく「周囲に警戒して気を抜くなよ」と念を押されただけだった。
「ああ、わかっているよ油断はしない」
士は自分を戒めるように返答すると歩を進めた。
そう、士は知っている。
このまま進むと森との境界近くの窪地でスライムの集団に遭遇することを。
それこそが2度目の士の死因であり、異世界からの召喚者である士が死ぬと、遺体は残らず光の粒となって消え失せることを認識した最初の経験だった。
それは、士が召喚者であるためなのかリピートライフスキルのためかは分からないが、自分の手足が徐々に光となって消えていく体験にはぞっとしたものである。
そんなことを考えていると目的の窪地が見えてきた。あの中には8匹のスライムが森の木の落ち葉の下に重なるように隠れている。
士は窪地の縁まで来ると、ここまで温存してきた魔力を使って呪文を唱えた。
「ファイヤーショット」
士の指先からはレベル9の火魔法がレベル99の全魔法適性で増幅され、火の玉よいうより青白い光弾と表現したくなるような閃光となって飛び出し、窪地の枯れ葉とともに8匹のスライムを火葬した。
力がみなぎる感覚に士は包まれる。
「ステータスオープン」
名前 ツカサ
性別 男
レベル2
体力111/111
魔力101/108
攻撃力35
防御力35
機動力33
思考力48
運57
ステータスボードには上昇率10倍の効果で大きく上昇した士のステータスが表示されていた。
これだけ魔力が上がればかなり大きな魔法も使用できる。
士は残りの魔力のほとんどを込めて、森へ向かって地属性の呪文を唱えた
「ディレクティビティーアースクエイク」
幅10mに渡って地面が大きくうねりながら地中の魔物モーグルを押しつぶしていく。
およそ200mほどの地面が胎動したところで呪文の効果は切れたが、目的を達するには十分だったようだ。
20匹を超えるモーグルを殲滅できたのであろう。
士のレベルは再び上がった。
この世界ではレベル上昇と同時に体力は満タンとなり、魔力は上昇分のみ補給される。
士は再び上昇した己のステータスを確認する。
「ステータスオープン」
名前 ツカサ
性別 男
レベル3
体力212/212
魔力102/210
攻撃力70
防御力75
機動力63
思考力88
運107
レベル2の最大魔力が108だったので、先ほどの地魔法で一旦魔力を使い果たしたのであろう。
現在の魔力はレベル3にアップしたときに増えた分のみとなっている。
しかし、十分だ。
ステータスをよく見ると、今回の転生ではどうやら思考力と運の伸びがいつもより大きいようである。
それがどういう理由か、あるいは偶然かは分からないが、考えるべきことが多い現状で思考力が上がりやすいことには素直に歓迎したい。
とりあえずこれ以上のレベルアップはここでは効率が悪い。士はカールたちと合流して今日のところは引き上げることとした。
現在の士のステータスはレベル3であるにもかかわらず、一般的な戦士や魔法使いのレベル10の数値に勝るとも劣ることはない状態となった。
『初日の成果としては十分だろう』
誰が聞くともないつぶやきを残し、士は午後の時間を日本への帰還法調べに費やすべく、王立図書館へと立ち寄るのであった。
次回は途中をすっ飛ばして、レベリングが終わった5ヶ月の時間軸からスタートします。
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