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4話 11度目の異世界のはじまり



 つかさの魂の叫びは、彼が再びこの場に召喚されたことに驚いたためのものではない。

 彼がこの場に立つのは11度目だ。

 もう召喚には慣れたと言ってもいいだろう。

 先ほどのつかさの叫びは今度こそ地球に帰れると信じていたことへの慟哭だった。


 スキル『リピートライフ』は今回もその機能を遺憾なく発揮し、つかさを最初に召喚されたときの年齢とレベルで再び……、いや十たび召喚陣の中央で再生させた。


 そんな彼の事情など知るよしもない王国の宰相シュルが、これまでの10度と同じ調子でつかさへと話しかける。


「ようこそ勇者様……

 ここはあなたにとっては異世界、エルドステイトという世界のスタインガルド王国王宮です。

 あなた様は魔王打倒を願う我々の祈りに応え、遙か異世界からこのエルドステイトへ召喚されたのです。

 突然のことで混乱されていると思いますが、どうぞ落ち着いてください。

 今からあちらの接客の間で説明いたします。どうぞご移動ください」


 シュルのこの言葉は毎回ほとんど同じである。


 つかさが召喚されたときに混乱していると、今回のように落ち着くように促され、冷静だとそのまま説明部屋に通される。

 そして、説明部屋ではいつも通り、異世界から召喚されたときに強力なスキルを最低1つは付与されることやステータスのこと、魔王や魔人族、人族と魔人族の争いなど一通り説明された。


 つかさにとってはわかりきった説明が続く。


 士は10度目の世界での最後を思い、これからどうすべきか悩む。


『とりあえず、ここで自分がこの世界のことを知っていることを伝えるのは得策ではないだろう』

『特に今回は、最後に裏切られることまでわかっている。

 前回以上に自分が持っている情報を秘匿する必要がある』


 そう判断したつかさは、熱心に説明を聞くふりをしながら、これからのことに思考を巡らせる。



『逃げ出すべきか……

 やがて自分を裏切る奴らと敵対すべきか……

 何食わぬ顔で従うふりをするか……』


 士の思考は続く。


『まず考えなければいけないのは、このまま魔王討伐の流れに乗るか否かだ。

 魔王を討伐するメリットは次元の壁を越えるための魔力を魔王の魔石から得ることだが、王国の魔方陣にその性能はなかった。

 しかし、召喚があるならその逆も可能で有り、召喚の魔方陣を本気で研究すれば自らの手によって送還の魔方陣に書き換えることが可能かもしれない。

 そうだ、この国に自分を日本へ帰す意志がないなら、自分でその方法を見つけるしかない』


 士はより深く思考の海へ沈む。


 『地球でリピートライフ社が行っていた人生再生も、次元の壁を越えてパラレルワールドへと人を転生させる技法で有り、科学の力で転生を可能にしたのがリピートライフ社であると言える。

 リピートライフ社の転生は電気エネルギーを用いたのに対してこのエルドステイトという世界ではエネルギー源に魔石を用いていると考えることができる。

 つまり、地球に帰るには魔王の魔石かそれと同程度の魔力を内包する魔石が必要と言うことになる。

 それに、現時点で王国とたもとを分かてば、召喚されたばかりの無一文な状態では生きていけない可能性もある。

 ここは王国に従うふりをして、必要な準備を行うしかない』

 士の中で結論がでる。


 そして士は計画の問題点に気がつく。

『準備を行うにしても今の状態で可能だろうか……

 リピートライフというスキルによる人生の再生では、再生開始時に18歳の状態に若返ると同時に、筋力や魔力も一時的に初期状態へと戻る。

 知識とスキルは前回の再生時のものが引き継がれるため、強くてニューゲーム状態になるとはいえ、初期の肉体では十分な能力を発揮できず、結果として死んでしまうことすらあり得る。

 実際初めて再生したとき、2度目の異世界に油断して、最初の戦闘でスライム8匹に囲まれ、あっさりと死んでしまったこともある。

 何度か戦闘に生き残り、レベルさえ上がれば3度目の再生世界の時の召喚時に獲得した固有スキル、ステータス上昇率10倍の効果で、短期間で急成長し、まず死ななくなるだろうが、それまでがたいへんだ』




「……というわけで、この世界にはステータスが有り、ご自身でしか確認できませんので、早速『ステータスオープン』と言って確認してもらえますか」


 リシュの説明が終わり、期待に満ちた目でつかさにステータスを確認するように促したときには、とりあえず魔王討伐までは王国の勇者としてカールたちとともに行動することをつかさは決心していた。







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