第7話「運命的な水先案内」
投資や株の世界であれば、
買いは家まで、
売りは命まで――
パジェ□「いけません。お嬢さん」
保志宇宙は、周囲を見回した。
季節外れの投人坊には、自分しかいない。
いや、パジェ□がいたな……
パジェ□「その先は、ありません」
知ってるよ。崖を見に来たんだし。
……俺のことっを、お嬢さんって、呼んだか?
宇宙は、自分が男であることをパジェ□に伝えた。
パジェ□はケラケラと笑った。
パジェ□「冗談のうまいお嬢さんだ。それくらいの軽口を叩けるなら、投人坊へ行く必要などないでしょう? おやめなさい」
……えーと?
胸ポケットから、紙コップが顔をのぞかせた。
こいつもいたんだった。
未来茶碗「今日のおとめ座の運勢は、意外な形での報酬があるかも?」
占うなら、疑問で終わるな。
そもそも、おとめ座じゃねえよ。
パジェ□「私が、おとめ座です」
そうか、仲良くしてやってくんな。
じゃあな。
パジェ□「待って、待って、行ってはいけない」
狭い崖の先で急加速、スピンターンなんてするもんだから。
あーあ。
シインビール「僕に、任せて」
戦闘機が俺たちの横をマッハ0.8ですり抜け、つまり、衝撃波で突き飛ばした。
控えめに言っても、あぶねえ野郎だ。
幸い、宇宙は崖の淵に四つん這いになるだけで済んだ。
シインビールはマッハ0.8で飛べる。
あっという間に絶賛滑落中のパジェ□に追いつき、抜き去った。
荒波にドボンと2本の水柱が立った。
飛込競技なら、あまり点数の出ないやつだったな。
あれは、スプラッシュの水柱が小さい方が高得点だっけ?
さて、宣材用に崖の壁面と海面を何枚か撮影して――
未来茶碗「今日のうお座は、直感を信じて動けば、吉」
おみくじじゃねえか。
俺は今日、うお座だ。
直感を信じて、さっさと帰るとしよう――
覆水、盆に返らず。
ただし、崖の上のパジェ□は――
海に返す。




