02 超越の戦い
超越者―――
名前しか聞いたことがなかった。
どこかで流れている陰謀論のようで、嘘だとも思ったが……違ったようだ。
本当にいたんだ!!
――ヒュッ
魔法の弾のようなものがこちらに飛んできた。
油断した!?
すぐに逃げるべきだった。
と思うと同時に怯えた少女が俺の方に飛んできた。
薄い金髪の小柄な少女だ。
特に重装という訳ではなく、スカートを纏った制服であった。
「おい、大丈夫か!!」
俺の目の前の少女に、さっきから戦っていた巨大のおっさんが話しかけた。
しかしそのおっさんは少女の顔を見て、何だか安心した顔を浮かべていた。
魔法の弾は、少女にぶつかると打ち消された。
腕をクラスに交わせて、守りの体制に入っていたが、カードをしたというより、それは消滅したようだった。
居たことに感動していた場合ではなかった!!
危ない、これでは死んでもおかしくない。
俺は非日常感に包まれていた。
ゲームの中にいるような感覚、まるでファンタジー世界。
「だ、大丈夫ですぅ?」
少女がこちらに問いかけてた。
想像よりも優しそうだな。
「砕けろ!!」
どこから現れたか分からない男が金槌を握り、大きく跳びながら俺を目掛けてきた。
大きさは一般的な掌に柄が収まりそうな大きさだ。
そいつは俺の方に攻撃していたが、俺の方というだけで、目指していたのは俺ではなく、これ本当の目的は目の前の少女だった。
「ヤバい!!」
叫んだのは、俺だった。
咄嗟に声が出た。
「おらいよ」
飛んできた男の攻撃を横から入ってきた塊が防いでみせた。
そいつはさっきこちらを見て余裕の表情を浮かべていた男だった。
両腕を混じ合わせた簡易的な盾でいとも簡単に防いでみせぎやがった。
タフ。
この二文字に過ぎる。
衝突の瞬間から風が発生する威力だった。
それ故か防いだ後、威力のせいか吹き飛ばされていたが、地面が這いつくばっていた男はまるで何事もなかったように立ち上がてみせた。
「ちょいと、おまえさん誰だか知らねえが、さっさと逃げた方が良いぞ」
その塊が良い終わる頃にはまた、金槌を持った男が再度攻めてきた。
死ぬ……
俺は逃げた。
せっかくここまで来たのに、土壇場でびびってしまった。が、そもそも逃げても良いと思ってたから何も問題はない!!
とりあえず、俺はビルにでも隠れて、斜線を切ろう。
「君ぃ、どこに行くんだい?」
黒い翼を纏った女の子が、ビルの真上に立っていた。
俺を助けてくれた奴らの仲間かと、思ったが、彼女の目と、その翼には悪意が詰まっていた。
口から少量の息が漏れる。
しかし、その速さが次第に早くなっていく。
俺、ビビってるのか。
こんな……
「やぁ、やぁ、君は超越していないねぇ」
翼を広げて、落ちてくる彼女。
まるで死が近づいてくるようであった。
彼女は悪魔だ。
あ、俺殺される、
ヤバい、逃げろ!!
逃げろ、逃げろ。殺される。
「逃げないで、君。僕は君を殺さないよ」
彼女は、そう言うと、俺を抱きしめた。
鼓動が鳴り響く。
破裂しそうで、こいつにも聞こえているのだろう。
息が荒くなる。目の前に胸があるというのに、恐怖しか考えにない。正常なら、喜びもあっただろうけど、そんなのあるはずがない。
「そいつに近づくな!!」
彼女の背後から一発の爆発音が鳴る。
グシャぁ
「あぁ゛うぅ」
彼女の翼が俺の腕に突き刺さった。
腕が引きちぎれることはなかったが、腕が変な方向に曲がっていた。
血も垂れていた。ポタポタ足元に血が溢れていた。
意識が遠のくような気分であった。
「ごめんね。わざとではないの」
すると、また背後にネズミ花火のような爆発音が鳴り響いた。
その爆発も何事もなかったように、彼女は平然な顔をした。
「ごめんなさい。一度引かせてもらうわ」
そうして、彼女は羽ばたいっていった。
支えを失った俺は腰から崩れ落ちた。
血の海に顔面から飛び込んでいき、血の匂いが口の中に広がった。
「おまぇ……」
熱い血が広がっている。
あぁ、こんな匂いなんだ。
死んじまう。
駆け出す音だけが聞こえる。
誰だ……
「あらら、倒れてる」
緑色の髪を垂らした笑い顔の少女が、俺の顔を覗いてきた。
肩を少し超えるくらいの髪で、目を尖らせた長身の少女だ。
こいつ……も敵か……
「大丈夫? 運が良いわね。私に会えるなんてね。助けてあげよっか」




