01 超越者
『速報です!! 金沢で正体不明の能力が暴れております。超越者以外はこの場には近づかないでください!! 住人の方は外には出ないように、注意されております』
新幹線の中の夢でこんな告知をされた。似たようなことがこれまでもあった。
超越者とは何なのか。この声は誰なのだろうか。
この正体は今も分かってはいない。
次は金沢か……
間に合うか、これ?
京都で乗り換えるのは確定か……
もう少しゆっくりして行きたいが、そうも言ってられないよな。
京都で観光くらいしたかった。
地方出身の俺にとっては京都なんて中学の修学旅行振り。しかし、観光したいという誘惑を上回るくらい今の金沢には魅力が詰まっている。
さて、夢を見に行こうではないか。
持ち金的にもラストチャンス。
気合いを入れろ!! 俺!!
揺れのない乗り心地の良い新幹線は、空き席が多く、勿体無い程のがらんどうである。
京都に着く前までは、少なくとも会話の音がしていたのだが、京都で大抵の人は下車していった。
『次は終点、金沢です。全席禁……』
「ようやくか……」
アナウンスから数分も経たぬ内、そこは金沢であった。
雲は淀っていた。
黒く赤く染まり、中心へと渦を巻くように唸っている。
まるで、アニメの魔王が出るような厄災の前日だ。
これもきっと超越者とかいう奴と何か関係あるのだろう。
魔王や勇者、魔法使いのようなファンタジーの世界の住人がいて、それを超越者と呼んでいるのだろうか。
だとしたら、それに俺は含まれない。
となると、俺はそれに当てはまらない。あの警告によると、俺は近づくべきではないな。
しかし、夢での告知が無ければ、俺は近づかなかった訳で、ということは、俺は超越者側なのだろう。
「よし、中心部を目指すか」
こういうのは、雲の中心で何かがある。
そう決まっている。
鼓動が激しくなっている。
俺は運動部でもなければ、帰宅も何時間も掛けていたこともない。
だから、走って疲れていたのもあるが、それ以上に……
ドキドキする。
俺は周囲を見回しながらも、今はただ急いで、向かった。
すると、そこは高いビルが乱立する都会のような場所と違い、雲が渦巻く方へ向かうと、歴史的な木造の建築が増えた場所になった。
それからまた進めば、ビルが増えてきた。
本当に合ってるよな。
しかし、そこから日常とは違うものを見つけてしまった。
「うぉえ゛」
下半身が吹っ飛ばされたような死体がそこに倒れていた。
先に進めば、スマホを掲げていただろう人もぶっ倒れていた。
そこら中に死体が倒れている。
超越者の姿がどうなのか、知らないが、
この惨状を見たら分かる。
超越者は、悪者の説が出てきた。
きっと、見ていた者はこうなるのであろう。
戦いの末に巻き込まれたからなのか、見ていた証言者だから、死んだのかは分からないな。
とりあえず見て、危なそうなら撤退するべきだろうな。
なので俺は歩みを止めなかった。
結果として、俺はそこに辿り着くことが出来たのであろう。
そこには相対する者たちから斬撃が飛び交い。視界では見たことのない不明な物体が生まれては、どこかに当たり、破壊している。
科学をも超える、それは魔法のようであった。
これが……超越!!
名前しか聞いたことがなかった。
どこかで流れている陰謀論のようで、嘘だとも思ったが……違ったようだ。
本当にいたんだ!!
――ヒュッ
魔法の弾のようなものがこちらに飛んできた。
と、同時に怯えた少女が俺の方に飛んできた。
「おい、大丈夫か!!」
俺の目の前の少女に、おっさんらしき巨体が話しかけた。
しかしそのおっさんは少女の顔を見て、何だか安心した顔を浮かべていた。
魔法の弾は、少女にぶつかると打ち消された。
カードをしたというより、それは消滅したようだった。
居たことに感動していた場合ではなかった!!
危ない、これでは死んでもおかしくない。
それよりこの状況は何なんだよ……
これが俺をここまで導いた超越者なのか……




