表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/57

ゆれるひとみ。

お待たせ致しましたっ。

なんとかスローペースですが更新出来たことにホッと胸を撫で下ろしております^^;





【リーフ視点】




腕が(きし)んで感覚が遠のいていくほどの重労働をするのは軍にいた時以来でしょうか。


聖域に選ばれておきながら、王立研究院の長でありながら、なんてざまでしょう。




先程救出された少年の方をチラリと窺うと、ユキと泥色に染まった少年が手を繋いでいて、それに驚いた少年がユキの手を振り払っていました。




私の可愛いユキになんという手荒なことをしてくれやがっているのでしょう……後でみっちりと女性の扱いについて調教して差し上げなければいけませんね。


その為にも、今もこの瓦礫と岩と土砂に埋まっているであろう保護者、あの少年の母親には生きて出て来て頂いてもらわなければいけません。




そんなことを考えながら必死にこの星の民たちと作業を続けていると、折れて倒れた柱の隙間に女性のものらしき細い手が見えました。


その手はダラリと力なく、ピクリとも動かないことに焦りを覚えた私は、気づいた時には叫んでいました。




「聞こえますかっ!すぐに救出しますから、しっかり意識を保ちなさいっ!」


「っ!?おおいっ!!いたぞーっ。みんな来てくれっ!!」




私が叫びながら泥と木片を掻き出していると、近くにいた男性がそれに気づいて救援を呼びます。




手前に木の杭を打ち込み布を被せて土砂や岩がこちらに落ちないようにしながら必死に数人で掘り出すと、女性の泥に汚れた背中に細長い木片が刺さっていて、その小さな背中が赤黒く染まっていることに気づいてザッと血の気が引きました。




「しっかりしなさいっ!息子の成長を見守りたいでしょうっ!?あの子の無事を確認したいでしょうっ!?」




叫んだ私の声に、ピクリと女性の指先が微かに動いたことを私は見逃しませんでした。




大きなシーツに女性をうつ伏せに寝かせると首を横に向けて呼吸の確保をし、シーツをタンカのようにして数人で開けた場所に移動させると、ユキがこちらにヨタヨタとおぼつかない足取りで、それでも必死に向かってきたので私は汚れた服にも気づかないで思わず抱き上げてしまいました。




後はこの村の医者に任せればいいと思っていたのですが、私の腕の中にいるユキはジタバタと暴れます。




「りぃふ。やにゃっ。おりょちてっ。」


「っ!?ユキ……?」




あまりにも必死な訴えに思わず降ろしてしまったのですが、ユキは怪我人の女性の傍に行くと、ぺたりと座り込んでしまいました。




「っ!すまない嬢ちゃん。そこに居られると治療の邪魔になるっ。おいっ!医者はまだかっ!?」


「おいたん。おみじゅ。たくしゃん、くだしゃい。」




その女性の夫である男性が慌ててユキを遠ざけようとしましたが、ユキは聞こえないかのように、じっとその男性を見て言いました。


ユキのチェリーピンクの瞳は、幼児の幼げな瞳ではなく、強い意思のようなものが宿っています。




バケツに汲んだ水が運ばれてくると、ユキは女性の服を近くにいたその女性の夫に裂いてもらい、傷口をその小さな手で必死に洗い流すと、チラリと私の方に不安げな視線を向けました。


その大きな瞳はユラユラと揺れていて、涙など流れていないのに、まるで泣いているかのようでした。




きゅっと唇を噛んだユキは、女性の傷口に視線を落とすと出血を押さえていた布を取って傷口に両手を置きます。


ユキの小さな手が赤に染められていくのを周りの大人たちは息を飲んで見守り、その静寂がその場を埋め尽くしてしまいました。




すると、突然ユキの両手から黄色がかった光が漏れ出し、女性の背中はふわふわと柔らかな光に包まれました。




一体何が起こっているのでしょう……。




ユキの顔は苦痛に歪むように、硬く瞳は閉じられていて、ユキの手から溢れた光はユキの体全体へと移り、その黄みがかった色を青から緑、そして赤み掛かったピンクへと変化していきました。




「っ……!はっ……。ごほっ。」




その時、息も浅く意識がなかった女性が突然酸素を欲したかのように息を吸い込む音と、咳き込む音が聞こえたかと思うと、次の瞬間には堅く閉じられていた(まぶた)が震え、薄っすらと目を開きました。




「っ……!お母さんっ!」




近くで見守っていた少年が駆け寄って膝をつくと、女性は僅かに口元に笑みを浮かべて近くに置かれた少年の手の上に自身の掌を重ねます。




「お前が……。無事で……よかった……。」


「ぅ……っ。お母さん!ごめんなさいっ。危ないって言われたのに、俺が、家に引き返しちゃったから……っ!お母さんが怪我して……っ!!」




ボロボロと泣き崩れた少年の頭を優しく撫でた女性はゆっくりと身体を起こすと、驚いたように体を捻ったりしていて、私を含め、周りも驚きに目を見開いていました。




傷が……ない……?




ユキに目を向けると、ユキは疲れたように座り込んだまま、私を無言で見つめて悲しそうに微笑みました。




……ユキ?


君は一体……。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ