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ふあんなきもち。




イフさんのお気に入りの場所が私のこの世界に来た場所。


そんな場所に連れて行ってもらった私は帰ってからもずっとご機嫌で、お部屋で待っていてくれたエイルさんともたくさん遊びました。




リーフさんも水の館の泉の報告書類を見て『怪我はありませんか!?』と慌てて来てくれて、そのままみんなで夜ごはん食べて、いつもより遅くまでイフさんと夜更かしして、ベッドの中でたくさんお話して、すごくすごく嬉しかった。




おねむになってもイフさんはずっと私の隣りにいてくれて、一緒のおふとんでおやすみなさいできて、しあわせさんだったにょ。




だけど……。




朝方、まだお空も白んでいる夜明け前、王立研究院の副長のセナさんが、イフさんの寝室の扉を慌しくノックしました。




驚いた私は飛び起きちゃって、イフさんは不機嫌そうに扉を開けたけど、セナさんの切羽詰った報告に頷くと、すぐに行くと言ってセナさんを他の守護精さんのところへ送り出しました。




いつもの守護精様用の服に着替えながらイフさんは私の視線に気づいて、ハッとした顔をして。




「ユキ。すまない。すぐには戻れそうにないが、大人しく待っていられるか?」


「……んにゅ。」




不安げに頷いてしまったら、イフさんは安心させるようにベッドの端に腰を下ろすと私をきゅっと抱きしめてくれました。




「大丈夫だ。エイルにはここに残ってもらう。何かあったらエイルに言え。分かったな?」


「……んにゅ。いって、らっちゃい。」


「ああ。行ってくる。ではな。」




イフさんは足早に部屋を出て行っちゃったけれど……。




イフさん、わたしね、さっきのセナさんとのお話、聞いちゃったんだよ。




『現在留まっている翆の宇宙の星に異変が……。長が調査に降りることになりますので守護精様方は王立研究院でそれぞれの力の動きを確認して頂きたいとのことです。』


『分かった。俺もすぐに向かおう。セナ。お前は他の守護精の館へ。』




むずかしいこと、よく分からないけど、長ってリーフさんのことだよね?


リーフさんが危ないところへ行ってしまうのは分かったの。




リーフさん、大丈夫なのかな?


怪我とかしないよね?


たった1人で行っちゃうのかな?




『ユキが無事な姿を見るまで安心できなくて……。私としたことが、はは、無事でよかったです。』




昨日、本当に心配してくれていたんだと感じたおでこに汗に濡れた髪をひっつけて、息を切らせながら眉を下げて困ったように笑ってくれたリーフさんの顔が()ぎる。




いやだっ。


失くしたくないっ。




きゅうっとお胸が苦しくなった私は、いてもたってもいられなくなって猫の姿に戻ると、猫ドアに突進した。




ガンっ!




「みぁっ!」




……い、いたいにょっ。


なんてこと……いつの間にか両開きだったはずの猫ドアが手前にしか開かなくなっていました。




こんな時にっ。


こんなことなら昨日、お外に出るんじゃなかったなんて、今更なことを考えて首を振ります。




カリカリカリカリっ。




必死に爪を立てて爪を引っ掛けようとするけれど、爪が痛い……。




カッ。




「っ!!」




痛みに顔を(しか)めながら、それでも引っかかった透明なドアを私は離しません。




手前に数センチ引き上げたドアを勢いよく鼻先をつっこんで引っかかって挟まっても、しっぽを挟んじゃっても気にしないでグイグイと体を前に進めて、やっと脱出できました。


ジンジン痛む手を無視して、王立研究院に向かって誰かに見つからないように植木の中を走る。


顔に当たる草木や絡む(つる)が痛いけど、気にしない!見えない!感じない!痛くないっ!と自分に鞭を打つ。




王立研究院に向かって走っていたけど、いつもは赤い光の柱が見える転送門のある上空に青白い光の柱が見えて、慌てて方向転換した私は、青白い光を目標に走り出しました。




はぁはぁ。




息をする音が妙に耳に大きく響く。




リーフさんっリーフさんっリーフさんっ!


心の中で叫びながら小さな白い体は跳ねる跳ねる。




リーフさんは調査に向かうだけなのに。


きっとすぐに帰って来てくれるはずなのに。


どうしてこんなにもお胸がどきどきするのかな?


どうしてこんなにも不安になっちゃうの?




ボロボロの体で石造りの階段を転がり落ちるように降りるとドーム状の部屋の中心に見慣れた背中を見つけて、ぐいっと起き上がります。




真っ白なふあふあの毛で覆われているはずの前足がほんのりと湿っていて薄い赤で汚れてるけど、あと少しで追いつける。


でもリーフさんは青白い光に足を踏み入れているところでした。




「みぃあっ!みゃっ!」


「……?なっ!?ユキ!?どうして……?」




力を振り絞って駆け出して、『待って!行かないで!』と叫んだら、リーフさんが光の中に体を収めて振り向いた。




驚いたように目を見開いたリーフさんは、地面をめい一杯蹴ってリーフさんの腕の中に飛び込んだ私を慌てて受け止めてくれたけど、その瞬間、眩い光に視界は包まれてしまいました。






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