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かみさまのおくりもの。




とくとくとく……。




イフさんのおむねの音が聞こえる。




少しだけ速い音に、イフさんも緊張してるのかなって思ったら、嬉しくなったよ。

そんなこと考えていたら、優しい優しいお声が聞こえた。




「すまなかった。そうだな。ユキは約束を破っていないんだよな。俺が悪かった。」


「いふ、しんぱい、した?」


「ああ。してた。」


「いふ、しゃみしかった?」


「ああ。そうだな。寂しかった。」


「ゆき、いふと、いっちょ、いても、いいにょ?」


「ん。いてもらわないと、困る。」




イフさんは、ひとつひとつの質問に欲しい言葉をくれる。




わたし、いらなくないんだ。


イフさんと一緒にいてもいいんだね。




「ゆき、も。しゃみちかったにょ……。ふぇ……っ。」


「ああ。そうだな。エイルも心配している。……マナ、ルイ。迷惑かけたな。」


「いいんですよ。思わぬ楽しい時間を過ごせました。」


「……いつでも遊びにきてください。」




よしよしと、マナさんは頭を撫でてくれて、ルイさんはプイとそっぽを向いていましたが、照れくさそうにまた来てもいいよって言ってくれました。




イフさんは、わたしをだっこしたまま炎の館に向かおうとしたけど、水の館の泉はあのままにしていいのかな?


そう思ってイフさんにお願いして、わたしのやらかしちゃった惨状を見に行くことにしたけど……。




「これは……。派手にやらかしたなぁ。」


「にゅ……。ごみんなしゃい。」




イフさんは怒るというよりは、感心したような感じでした。




「いや、いい。後でなんとかしておこう。」


「どろんこ、にゃおりゅ?」




オロオロしているわたしの頭をイフさんはあったかくて大きい手でなでなでして頷いてくれた。


よかったぁ……。




それから炎の館に帰ったら、エイルさんが門のところでそわそわしながら待っていてくれました。




「ユキちゃんっ!ああ、よかった。心配していたんだよ?泉に落ちたと聞いたけど、怪我はしていない?」


「んにゅ。えいりゅ。しんぱい、かけて、ごみなしゃい……。」




エイルさんは、首を振って『いいんだよ』と笑ってくれる。


ほんとに、ほんとに、いっぱいごめんなさい。




「エイル。もう目を通す書類はないな?」


「え?ああ、はい。イフ様が今朝終わらせておられた書類でおしまいです。緊急で星の異常がない限りは今日はもう何もないかと。」




エイルさんの返答に満足したように頷いたイフさんは、だっこしているわたしに視線を落として、口の端っこを持ち上げてニッと笑った。


にゃあ?




「ということだ。ユキ。俺の気に入っている場所があるんだが。一緒に行ってみるか?」


「っ!にゃぁっ。いきちゃいにょ!」




イフさんとお出かけっ!




嬉しすぎてお耳がピクピク震えちゃったけど、イフさんが笑ってくれたからいいんだもん。




エイルさんは、イフさんから泉のお片づけを言い渡されて、ちょっぴり拗ねてました。


ごめんなさいっ。




****




イフさんに連れてきてもらって来たのは広いひろぉい大草原でした。


しかもしかも、お空を飛ぶ真っ白な翼を持ってるお馬さんでっ。


これってペガサスっていうんだよね?ね?




前の前のご主人様がこのお馬さんが出てくる絵本っていうのを見てたのを覚えているにょ。


お馬さんのお名前はシリウスっていうんだって、お星様のお名前だよね。




「いふ、しゅごいにょっ。ひろぉいにょっ。しりうしゅも、きれーなにょっ。」


「気に入ったみたいだな。ほら、あそこに大きな大樹(たいじゅ)が見えるだろう?」




パタパタ動く真っ白な翼からイフさんの指差す方に視線を向けたら、大きな大きな樹がありました。


大きな広い草原の1番向こうには、若草色の葉を気持ちよさそうに揺らす大樹、その向こうには大きな森が広がっています。




大樹の下にシリウスは下降していくと、ヒヒンとひと鳴きして、ゆっくりと地に足をつけました。




イフさんは私を下ろして抱きなおしてくれると、大樹の後ろまで回って森に視線を向けます。




「俺はここに来て散歩をしたりするのが気に入ってるんだが、ほら、あの森の入り口に小さな小川に橋がかかっているだろう?あの橋を渡ると森に入れるんだが、あの入り口でユキ、お前を見つけたんだ。」


「にゅ?ゆき、あしょこに、いたにょ?」




驚きの事実ですっ。




シリウスに乗せてもらってから、30分くらいは飛んでいたから、こんなに離れたところで倒れていたわたしを、イフさんが見つけてくれなかったら、わたし、きっとびしょぬれで、寂しくて、苦しくて、きっと死んじゃっていたと思う。




きゅうっとイフさんのお胸の服を掴むと、イフさんは『どうした?』と優しく目を細めて首を傾けてくれる。




「……いふ。ゆき、みちゅけてくれて、ありあと。あにょねっ。だいしゅき。」


「っ!あ、ああ。どういたしまして、だな。」




一瞬、イフさんは目を見開いて驚いたお顔をしてたけど、その後、ククっと喉を鳴らして微笑んでくれた。




ここが、あの世界のかみさまが、わたしをこの世界に送ってくれた場所。




ずっと、ずぅっと、覚えています。




生きていいんだよって、言ってもらえた気がするにょ。





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