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くうきよめないおとな。





私が遠くに座っているお兄さんと、無言のフェイントゲームを繰り広げていたら、リーフさんが戻ってきた。


私の視線を追って、あっちのお兄さんと目が合ったらしいリーフさんは、浅くため息をついた後、そのお兄さんを呼びました。





「リーフ様。お、お呼びですか?」


「ええ。呼びましたよ。セナ。あなたも今から食事でしょう。この子も紹介したいので、同席なさい。」





リーフさんがセナさんと呼んだその人は、茶色い(くせ)のある髪と、少し髪より濃いこげ茶の瞳をしていて、20代半ばに見えるリーフさんよりも年上っぽい。


なのに敬語ってことは、やっぱり長というだけあって、リーフさんの方がえらいんだろうな。





ごはんのトレイを取って戻ってきたセナさんは、私とリーフさんの座る向かいに腰を下ろしかけて、ばっちり目が合ってしまった。


そしたらその視線がどんどん下がっていって、やっぱりしっぽに注目。





ふあふあ。


ゆらゆら。





右・左・右・左・右右。





「っっ!」





・・・・またひっかかってくれたにょ。





このセナさんって人、面白いっ。


今度会いに行ったら遊んでくれるかな?





そんなことを考えていたら、リーフさんの長い指が私の前髪に触れて、クスクス笑う。





「く・・・。ふふ。ユキ。あなたという子は本当に・・・。」





何がツボだったのか、リーフさんは苦しそうに握りこんだ片手を口元に当てて、必死に笑いに耐えてた。





「り、リーフ様が・・・ワラッタ・・・。」





カタコトな言葉で油の切れたロボットみたいに、セナさんがギギギと視線をリーフさんに向けて青ざめている。


んにゅ?リーフさんっていつもニコニコ笑顔だよね?





それからおいちいごはんを頑張ってたべようとしたんだけど・・・。





ぽろり・・・。





「・・・・。」





かちゃんっ。





「・・・・。」





あう・・・っ。


そんなかわいそうな子を見る目はやめてください。


気づきたくないことに気づいた私は、泣きたい気持ちになってた。





だってね・・・だってね・・・っ。


ただでさえ食べるのヘタクソなのに、自分でスプーンとかフォーク持ったことなかったにょおおおっっ!!





すくうたびに、お口に入る前にぽろりとこぼして、プスリとフォークでさしても持ち方がヘタクソでカチャンと落としてしまう。


更には、なんとかお口に入っても、まだこの姿で食べ慣れていないからお口の端からぽろぽろり・・・。





きゅるりぃ~・・・・。





「みぃ・・・。」





ごはん中なのに、おなかの音はとまらないのは食べられてないからで、眉を八の字に下げて今にも泣き出してしまいそうな私に、リーフさんは蕩けんばかりの笑顔になっていた・・・何故。


目の前の席に座っていたセナさんも、テーブルに肘をついて、微笑ましそうにこっちを見てたの。





結局リーフさんのお膝の上に乗せられて、あーんのいつものコースになりました。

かみかみするのに慣れていないから、やっぱりどうしてリーフさんのお膝の上にぽろぽろと落ちていくおいちいごはんたち・・・ごめんなさいなにょ。





「それで、リーフ様。その子供、ユキと言いましたか?どうしてリーフ様がお世話してるんです?たしか報告書ではイフ様のおられる炎の館にいるはずでは。」


「ああ。それはですね。その補佐であるエイルから、王立研究院で食事を取らせてほしいと頼まれたからですよ。」


「エイルがですか?」





おやおや?


セナさんってエイルさんのお名前呼んだ時、すごく気安い感じがしたけど仲良しさんなのかな?





「せにゃあ?」


「っっ!?そ・・・それってもしかして俺のことかい?」


「んにゅ。せにゃ、め?」


「い、いや、駄目ではないよ。まあ、うん。それでなんだい?」





リーフさんの私を抱きしめる腕に力が篭った気がしたけど、とりあえず質問してみることにするの。





「あにょね。せにゃ、えいりゅと、なかよししゃん?」


「俺とエイルが・・・仲良し?ぷっ。あはははははっ。」





何故かお腹を片手で押さえて机をバンバンと叩きながら大笑いしてしまったセナさん。


どうしたのかな?私変なこと聞いちゃったのかな?


ヒイヒイと涙を人差し指で拭いながら、なんとか笑いをおさえたセナさんは、そのまま人差し指を揺らしてニヤリと笑った・・・にゃー、ワイルドっ。





「俺とエイルは同じ時期にこの聖域に来たんだよ。印をもらった日が同じでね。仲良しこよしで熱出して寝込んだ仲だよ。」


「にゃあ♪なかよしなにょっ。」





わぁっと嬉しい声を出した私の上からリーフさんのため息が聞こえてくる。


え?どうして?





「セナ。あなたは肝心な部分を綺麗さっぱりとすっ飛ばしていますね。」


「ええ?!俺何か違うこと言ってますか?」





びっくりして聞き返したセナさんに、リーフさんは水色の水晶みたいな瞳を細めて冷めた声で言った。





「あなたは体力がエイルよりあったがために2日で回復しましたが、エイルは5日の間、熱と激痛に苦しんでいたというのに、あなたはエイルの寝室に押しかけていましたよね?」


「ああー。あれは、俺が治ってもエイルが全然回復しないもんだから、しっかりしろよという叱咤激励(しったげきれい)をしに行っただけですよ?」


「熱で苦しんで身動き出来ない相手のシーツを引っぺがして外に連れ出そうとするあなたの行動がソレだと?あなたはどうか分かりませんが、エイルはあなたと仲良しだなんて思っていないと思いますが・・・。」





うーわー・・・・。


セナさん、やっちゃったんだ・・・やらかしちゃったんだぁ。





エイルさんの前でセナさんのお名前出さないようにしないと・・・。





空気読めない大人ってこあいにょっっ。






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