おかたしは、いふまかせ。
夜ごはんの前に目が覚めたイフさんに起こされて、腫れぼったい目をくしくしと擦りながら起きると、目の前にはこんもりとした山があった。
うん、山。
お洋服とか・・・いろんな山。
これって今日買ってもらったやつだよね?
イフさんのお腹の上でぽかんと驚いていたら、エイルさんが慌しくとなりのイフさんのお部屋から出てきた。
「あ。ユキちゃん。おはよう。よく眠れましたか?」
「おはよお、ごじゃましゅっ。」
いっぱい泣いて、いっぱい眠ったから、ちょっぴり元気でたっ。
元気いっぱいにごあいさつしたら、私の下でイフさんがフッと笑ってくれて、ゆっくりと私を支えながら起き上がって、部屋の様子にまた眉間の皺がふえたよ。
「これは・・・。今日買い物した荷物か。」
「んにゅ。りゅう、かってくえたにょ。」
頷いた私を地面におろしてくれながら、イフさんは小さくため息をついた。
「あはは。確かに、僕もイフ様とユキちゃんが起きる前に少しでもと思って整理してたんですが、これでも3分の2は片付いたんですよ?」
「この量で3分の1なのか・・・。やってくれるな。」
エイルさんの疲れた笑いと、イフさんのため息に、思っていた以上の荷物が届いていることを知って、買い物に出かけていた私も、こんなに買っていたのかと驚いちゃった。
ちゃんとパジャマも下着もそろえられてて、人間が履く靴もおでかけ用とか楽にはけそうなものとか靴下とか全部そろってる。
その中には、いつ入れたんだろうって思う白猫のぬいぐるみもあったけど、これは白猫じゃないってなんとなく分かった。
だって、シマ模様なんだもん。
これ、前にイフさんが言ってた『てぃが』っていう動物なのかも?
猫っぽいそれをもちあげたら、私の体の半分くらいの大きさだったよ・・・おおきいにょっ。
でもさわり心地はばっちりふあふあ~。
「イフ様。隣りの自室の方にユキちゃんの荷物を運んでおきましたから、後はよろしくお願いしますね。僕はユキちゃんのごはんの時間なので食事の間に先にユキちゃんと行ってきます。」
「食事には俺が連れて行く。」
エイルさんの言葉においちいごはんの時間だと知ったら、私のおなかは素直で、きゅるぅと音がした。
「イフ様。寝室の隣りの着替えの部屋を僕に開けさせたいんですか?さすがに同性である男の僕でも下着は見たくないんですけど・・・。」
「・・・俺もそんな目で訴えられるのはごめんだ。」
げんなりした顔をしたイフさんは、不機嫌そうにしぶしぶ隣りのお部屋に入っていった。
私のお洋服なら私がおかたづけするのがいいんじゃないのかな・・・?
「えいりゅ。ゆき、おかたし、できゆにょ。」
「いいんですよ。たまにはイフ様もお世話する側に回るべきです。ね?」
ふふっと優しくはちみつ色の瞳を細めたエイルさんは、ちょっぴり子供みたいで私もつられて笑ってしまった。
きゅるりぃ・・・。
「みぃ・・・。ぽんぽん、しゅいたにょ。」
「はは。じゃあごはんにしましょうか。おいで。」
エイルさんが両手を広げて膝をついてしゃがんでくれたから、ぽてぽてと歩いてその腕の中に移動したんだけど、みんなだっこ好きなんだね。
いくら軽いっていっても、ずーっとだっこしてたら疲れちゃわないのかな?
エイルさんに抱き上げられて、クスクスと笑っているエイルさんを見上げてみたら、だっこしてる私を上から下まで見て。
「うん。とっても可愛いらしいよ。よく似合ってます。」
そう言って、新しいお洋服をほめてくれた。
えへへ。
靴はきゅうくつだけど、そう言ってもらえたらとってもうれしい。
「えいりゅ。いふ、すぐ、これりゅ?」
「うーん。そうですねぇ。うん。きっとすぐに来ますよ。イフ様はやる気を出すとあっという間に執務も終わらせられる人ですから。ユキちゃんはそんなこと気にせず、ごはんをいっぱい食べていようね。」
にっこり笑顔のエイルさんにコクコクと頷いて答えたら、ごはんのお部屋についた。
「ユキっ。はぁ、やっと会えましたね。」
扉を開けようとしたところで後ろから声がかかって、エイルさんの肩越しに覗くとリーフさんが早足で歩いてきた。
朝ぶりだけど、なんだか長い1日だったから、久しぶりに会った気分。
「りぃふ。いっちょに、おいちいごはん、たべれゆにょ?」
こんなに急いでごはんのお部屋に来たんだから、きっとすごーくおなかがすいてたんだ。
そう思ったけど、リーフさんは小さく首を横に振った。
エイルさんも首を傾げて、リーフさんと私を交互に見たんだけど、私を見ても私もわかんないにょ。
「い、いいえ。少し時間が空いたもので、ユキも聖域に戻ってきたと耳にしまして、様子を見に来たのですよ。」
「そうだったんですか。今からユキちゃんは食事の時間ですが・・・。ああ、そうだ。よければ王立研究院の方たちにもユキちゃんのことを知っていただかないとって思ってたんです。」
エイルさんは何かを考えこむように、ふむんと頷いてから、リーフさんに私を抱き渡した。
「おっ・・・と。・・・エイル?」
リーフさんは不思議そうに私を支えてエイルさんに視線を戻すと、エイルさんはにっこりと清々しい笑顔でそのとろりと蕩けるようなはちみつ色の瞳を細めた。
「ユキちゃん。今日は王立研究院でごはんを食べてきたらどうです?まだお会いできていない研究員もいるんでしょう?イフ様には僕から言っておきますから。」
そう言って小さく手を振ってくれた・・・けど、最後に。
「夜はきちんとイフ様のお部屋まで戻ってくるんですよ?じゃないとあの人、寝不足で倒れてしまいますから。」
と、苦笑いして送り出してくれた。
イフさんがきけんなにょっ。




