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ききたい?ききたくない?




おねえさんの視線が痛いです。





リュウキさんはお店の中で待っていてくれてるんだけど、私は店員のおねえさんと試着するための小部屋に入ってて、目の前にいるおねえさんはいろんな服を着せてくれてたんだけど・・・。



キラキラキラ・・・。




どうしてほっぺが赤いんだろう?


嬉しそうに注がれてる視線は私のぴくぴく動く耳とゆらゆら動くしっぽに釘付けなの。


まだ決めてない内から、おねえさんの口からは「しっぽの穴はあけた方がいいかしら。」とかぶつぶつと聞こえてくる。


穴はあけてもらえるとうれしいかも。


だって下着っていうのもしっぽがあるとうまく履けないし、お洋服の下にあると押さえつけられててちょっぴり窮屈なんだもん。





「まあ・・・。とっても可愛いですっ。お連れの方にも見ていただきましょうね。」





そう言って最終的におねえさんが選んでくれたのは、薄い桜色のワンピースでよちよち歩く私に合わせて膝上丈でふりふりとした柔らかいフリルがついてた。


白くて可愛い靴を履かせてくれたけど、わたし、靴っていうのはあんまり好きになれないかもなの。


だってぺたぺたって音もしないし、すごく歩きにくいんだもん。





やっとリュウキさんのところに連れて行ってくれるおねえさんに手を引かれて戻ると・・・とんでもないことになってた。


リュウキさんの足元には、お買い物用の大きな籠があったんだけど、その中にはこんもりと私のサイズだろう服が積み上げられていて、その数は籠6個分くらい。

靴とかパジャマみたいなのもあるみたいだけど、その量買っちゃうの・・・?


というか、おねえさんに任せるとかなんとか言ってたような?




私の手を引いてくれてたおねえさんも足を止めて固まってる。





「りゅうぅ。」


「っ!?あ、ああ。もう終わったのです・・・か・・・?」





びくりと肩を揺らしたリュウキさんは、振り向いてまたよそ行きの言葉を使ってるけど、私のこと見た瞬間に固まった。





大きく目を見開いたリュウキさんに、コテリと首を傾げてよちよちと近寄ってズボンの裾をきゅいきゅいと引っ張ってみたら、ハッと我に返ってくれたけど・・・どうしたのかな?





「あ、ああ。すごくよう似合っとるよ。・・・驚いた。」





あ・・・地が出ちゃった・・・。




結局その場でリュウキさんが選んだというか、詰め込んだ物は後から神殿に運んでもらえるらしい。


神官長さん大変だなぁ。





もっと時間がかかると思ってたお買い物は、リュウキさんがこれでもかーっていうくらいひょいひょい選んじゃってあっという間に終わっちゃったの。


まだお昼くらいだよね?





「ええ買い物できたなぁ。・・・。」


「?」





一言そう言うと、リュウキさんはだっこしている私を見下ろして、無言になっちゃった。





聖域を出てからここまで目的があったから、なんとなく会話が出来ていたけど、全部の用事も終わっちゃったから、何を話していいか分からない。


そしたらリュウキさんは、1度目を閉じてゆっくりと深呼吸すると、次に目を開いた時には何かを決意した目をしてた。





「・・・ちょっと。俺に時間くれへんやろか?話したいことがあるんや。」


「にゃ・・・?」





ドクンと大きくお胸が鳴った気がして、何かを探るようなリュウキさんの視線に、私も小さく頷くしか出来なかった。





***





リュウキさんと私は大通りの屋台でいろんな食べ物を買って、静かな広場まできた。





大きな木の下にレジャーシートを敷いて、おいちいごはんをぽんぽこりんになるまで食べて、はふっとひと息。


食べるの下手だから、もちろんリュウキさんにお口を拭いてもらったりいろいろ迷惑かけちゃったけど・・・。


デザートにって買ってもらった苺みたいに甘くてひと口サイズの実をつまみんでいたら、リュウキさんは突然口を開いた。





「あんね。聞きたぁなかったら・・・途中で止めてもろうてもかまわへんねやけど・・・。」


「う・・・?」





私の顔から視線を下に落としたリュウキさんは、深呼吸した後、ぽつりぽつりと話し始めた。





「ユキ・・・は。生まれる前の記憶を持っとるいうのは、おかしい思うか?」


「き、おきゅ?うまえる、まえ?」


「ああ。俺は何度も・・・いうても、そうやね。最低でも今の自分と、前世の俺、その前世の俺の記憶がすべてあるんや。・・・不思議なもんやろ?」





ドクン・・・。





顔を上げた真っ黒で綺麗な瞳が私の視線とぶつかった。





聞きたい。


聞いちゃいけない。





どうしていいか分からない気持ちがぐるぐる回って、とても不安になる・・・。





「俺はね。この世界とは別の世界で暮らしとった記憶があるんよ。・・・お前も、・・・そうやないの?」


「りゅ、う・・・?」





リュウキさんの目は、探るような曖昧な目じゃなくて、確信してる目で、私がずっと気になっていたことに触れようとしている。


じゃないとこんな会話になるはずない。





「俺の覚えとる前世、リュウキに生まれる前はなぁ。地球いう星の小さな島国にある日本いう国の京都いうとこで生まれ生きとった。」


「っ!?」





やっぱり・・・そうなんだね?





でも・・・ご主人様は江戸っていうところで生まれたんだから、京都は暮らしていた場所、しかもその時代の京都は『京』って呼ばれてた・・・。


だから、もしかしたらリュウキさんは【猫】っていう存在を知っているだけかもしれない。





そう思ったけど、リュウキさんの口から出た言葉は、私の考えを否定する言葉だった。






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