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おあしゅみ、なしゃい。





【リーフ視点】






私の寝室へ誰かが足を踏み入れることなど使用人くらいしかありえませんでしたのに、ましてやベッドを共に使用するなど・・・。




この聖地に骨を埋める覚悟をしてから、色恋はもちろん婚姻も、女性との関係さえも、もう有りはしないと思っていました。




このような幼子を腕に抱くなど、一生有りえないと思っていたのに、聖地で生きることの覚悟や凝り固まった思考、自らの意思で必要ないと判断して凍りつかせていた心が、この小さき獣で小さな幼子にいとも簡単に溶かされる。


私はユキをだっこしたまま、私1人では大きすぎるベッドへ向かうと、上のシーツを捲りそこにユキをおろしました。


私もベッドに腰をおろすと、ユキはじっと私の顔を見上げてきます。





イフ様がご自身の屋敷へ戻られている今なら、伝えてもいいのでしょうか。


いえ、遠慮はいたしません。


先手必勝という言葉があるとリュウキ様が仰っておられました。





「ユキ。お願いがありますす。」


「みゅ?」


「その・・・ですね。ユキの熱が下がって、元気に動けるようになった時には・・・。ユキの身の回りの物を今留まっている星の拓けた街へ買い物に行く予定なのです。イフ様もきっとそうお考えかと思いますが・・・。」


「おきゃいもにょ?」




ユキは大きなチェリーピンクの瞳を輝かせて首をコテリと傾けた。





・・・ああ、可愛らしい。





「ええ。ユキは華虫の蜜も気に入っていましたから、甘い物も好きでしょう?美味しいお菓子も買いましょう。美味しい魚を扱うレストランもあるのですよ。」


「っ。おきゃしっ。おしゃかにゃっ。」


「ええ。そうです。もちろんイフ様の許可を頂きますし、王にお伺いを立ててからになりますが、私とお出かけしてくださいませんか?」


「んにゅ。おできゃけ、すりゅ♪」





やはり女の子というよりは、元は動物であり今は小さな幼子ですから、可愛らしいものより食べ物の方にユキは興味を持つようですね。





「ふふ。では、早く熱を下げないといけませんね?もうおやすみしましょう。」


「・・・んにゅ。」


「もうあのアルフ様の作った薬湯は飲みたくないでしょう?」


「ぴっ!?やにゃぁ。」


「ぴっ・・・くっ。いえ、こほんっ。ではおやすみなさい。ユキ。」


「おあしゅみ、にゃしゃい。」






く・・・っ。




私としたことがユキの一々可愛らしい言葉に悶えかけるとは・・・っ!





私は平常心を保ちながら、ユキにシーツをかけてやり、(こぶし)2つ分開けて横になりました。




やはり熱が高かったのでしょう、すぐに隣からは可愛らしい寝息が聞こえてきました。


シーツの上からユキを生まれたての赤子にするようにポンポンと一定のリズムで寝かしつけた後、ほのかに感じるユキの暖かな体温を感じながら私も眠ることにします。




煩わしいと感じていた人の気配もユキが相手だと穏やかな気持ちになれる自分に内心驚きながら私は夢の世界へと引き込まれていきました。





***





深夜まで起きていたに関わらず、毎朝早朝に目が覚めた私はフリーズしています。




いえ、寒いわけではないのです。


むしろ・・・。





目が覚めた私は相変わらず寝相はよかったらしく、ユキを寝かしつけた体勢のままでした。



ですが少し離れた位置にいたはずのユキが見当たらず、一瞬体を起こしかけて気づいたのです。





「・・・・っ!?」





ユキは横向きで寝ていた私のお腹と胸の中間あたりにぴったりとくっついて眠っていました。


身動きしたくとも、すぴー・・・と可愛らしい寝息を立てて私のシャツを小さな手でしっかりと握っています。





はっ・・・固まっている場合ではありませんでしたっ。




私はユキを起こさないように気をつけながら、小さな額へ手のひらを当ててみましたが、アルフ様の作った薬湯が効いたのか、すっかり熱も下がっていることが分かってほっとしました。



そして名残惜しくもユキの体の変化についてすぐに城へ報告へ行かなければいけないことを思い出して舌打ちしたい気持ちになるのを抑え、ゆっくりとユキの小さな手から私のシャツを離させると、ユキが起きてくる前に戻ってこなければと思い、急いで出かけることにします。




私は王立研究院の長ですから、宇宙や星などのことで緊急報告を伝える時などもあるため、謁見の手続きを踏まなくとも王やリュウキ様へお目通り出来ることになっているのです。



こういう時には自分の立場はとても助かると心の中で苦笑いを噛み殺して城へ入城しました。






使用人に王とリュウキ様の場所を聞き大きな扉をノックした後、私はその部屋へと足を進めます。


どうやらお2人は少し早めの朝食をとっておられるようですね。





「お食事中失礼いたします。おはようございます。王立研究院・長・リーフでございます。」


「ああ。おはよう。いつもは朝食が終わる頃に報告を読み上げにくるのに今日は随分と早いんだね。」


「・・・おはよう。」





朝食のためテーブルについていたリュウキ様と王は、何事もないように返事をくださいましたが、いつもながら王は王子という感じの爽やかなスマイルで対応し、リュウキ様は朝が弱いためいつもよりご機嫌は悪そうですね。




そう思いながらも私はユキのことを伝えるために口を開くことにしたのでした。







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