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戦闘・・・?

side 赤嶺黒兎



 『牧場』の中を一人で歩く。今俺が居るのは、『宿舎』エリア。最近の俺たちの活動によって、全ての国の『牧場』の警備は大幅に強化されているので、油断しないで慎重に歩いていく。両手には、試作型のマシンガンを装備している。


 これの弾丸はオリハルコンで作られている。更に、”能力付与”という能力によって”空間連結”の能力を付与されている。これにより、実質射程無限で、更に、俺達の本拠地にある倉庫から銃弾を自動で装填することが可能な、実質弾数無限のチート武器だ。


『気を付けて下さい。近くの建物の影に十人ほど隠れています。更に、その奥にある茂みにも十人。こちらは既に、魔術の詠唱を始めているようです。』


 念話によって情報が届く。敵の行動は全て此方に筒抜けだ。何故なら、上空1000mの位置から何十人もの狙撃部隊が監視しているから。今は、狙撃・補給部隊の隊長が念話の能力者の力を借りて通信してきている。


 狙撃・補給部隊の隊長は、蝶野凛子ちょうのりんこという女性だ。何故彼女が隊長なのか?それは、彼女の狙撃技術が優れていることもそうだが、彼女の持つ能力の便利さが大きな理由だ。


 ”空中神殿”という名のその能力は、直接的な攻撃力を持たない。・・・だが、そんなの些細な問題だ。彼女の能力は、集団でこそ真価を発揮するのだから。


 ”空中神殿”は、最大で約5キロにも及ぶ巨大な神殿を作成する能力だ。この神殿は透明で、目の前に存在していてもうっすらと見える程度でしかない。更に、この神殿は彼女の意思通りに動かす事が可能だ。・・・空を浮遊して。


 これが、どれだけ強力な武器になるか分かるだろうか?『制空権』という言葉すら存在しないこの世界において、空を制することが出来るこの能力の有用性は計り知れない。透明だから、誰にも気づかれる事がなく、『狙撃』という概念がない為に、遥か空の上からの攻撃だと気が付ける人間はいないだろう。その気になれば空から爆弾などを落として地上を制圧することだって可能なのだ。


 ・・・だが、今の目的はあくまで此処に囚われている『翼人』の救出だ。救いに来た仲間を一緒に吹き飛ばしては来た意味がない。だから、今回は一人一人個別に狙撃で倒してもらう。


『敵の詠唱がもう直ぐ終わりますよ。危険なので早く倒して下さい。』


 ただ、彼らの部隊はまだ数が少ない為、一度に狙撃出来る数は限られる。そのために、範囲攻撃を持っている俺が、敵が一番多いこの区画の担当になったワケだが。


『了解。・・・じゃぁ、落ちろ。』


 俺が翼を展開して能力を発動させると


「う、うわぁあああああああ・・・・・・!」


「な、何で急に・・・・・・・・・!!」


その瞬間、何十人もの人間が空に浮かび上がり・・・・・・・・・・・・否、空に向かって落ちた・・・。その姿はあっという間に小さく小さくなり、最後には見えなくなる。


『何をしたんですか?』


『簡単さ。重力の落ちる方向を変えただけ。地面は天に、天は地に。まぁ、空にはぶつかる場所なんてないんだから、そのまま大気圏外まで落ちたんじゃね?』


『・・・・・・・・・。相変わらずエグイですね。』


 その言葉に、肩をすくめる。・・・自分でも、酷い殺し方だとは思う。自分では克服したつもりでいたが、やはりこの世界の人間はトラウマになっているのだろうか?だからつい過剰反応をしてしまうのか?


『・・・ま、魂の節約だよ。重力を強くするより、方向を変更するほうが楽なんだぜ?無駄にすり減らす事もないだろう。』


『・・・魂の摩耗、ですか・・・。』


 彼女たちは、魂が摩耗するという話を既に教えて貰っている。だから、トップシークレットであるこの話題も気軽に出すことが出来る。


『でも、今回の敵が多くて助かりましたね。』


 突然話題を変えた彼女。・・・まぁ、あまり気持ちのいい話じゃなかったからな。俺もこの話題変化に乗っかることにした。


『そうだな。これで、目的の大半は達した。』


『これで懲りてくれるといいんですけど・・・。』


『完全にとはいかないだろうが、それでも俺たちと戦う事に尻込みする連中は増えるさ。それだけでも、十分だ。』


『そうですね・・・。』


 今回の敵は、二カ国の混合軍だったのだ。それは、俺たちを驚異だと世界が認めた証であった。つまり、世界は俺達『翼人』にビビっているのだ。


 なら、それを加速させてやればいい。俺たちは魂の摩耗により、長い時間は戦えない。敵が消耗戦を強いてきたら、俺たちは負けてしまうだろう。・・・だから、ここで大量の敵を一方的に虐殺する。出来る限り残酷に、冷酷に。そうすれば、それにビビッた奴らが俺たちの要求を飲む可能性が高まる。


 ・・・まぁ、逆に今回のように幾つかの国が手を取り合って俺達に戦いを挑むかもしれないというリスクはあるんだが。


『そこから百メートル程離れた場所の建物の影に二十人ほど。』


『了解。』


 俺はこの世界の連中に恐怖を与える為に、引き金を引いた。


能力解説コーナー



・”能力付与”


西条千年さいじょうちとせの能力。

これは、単体では全く役に立たない能力である。奴隷時代は、天海翼のように能力の詳細を知ることが出来る人間は居なかった為、どんな能力を持っているのかすら分からずに落ちこぼれ扱いされていた不遇の少女。その経緯から、他の奴隷よりも価値は低く、調教者たちの欲望の捌け口にされたりと、扱いは奴隷の中でも最底辺であった。

しかし、実は非常に強力な能力であり、今は武器防具開発部門の隊長として腕を振るっている。

その能力は、『ランクを若干下げ、他人の持つ能力を無機物に付与する』という、完全に他者に依存した能力である。

作中で語られているように、銃火器に”空間連結”の能力を付与することにより、射程無限、弾数無限のチート武器を作成することが可能。鞄やポケットなどに付与することで、某未来から来た猫型ロボットのような物を作る事が出来る。

他にも、炎や風、光を操る能力を付与したり、使い勝手の良い能力である。ただ、能力のランクが若干下がるので、本家のように無双したりは出来ない。



・”空中神殿”


蝶野凛子の能力。

最大で直径5キロにも及ぶ巨大な空中神殿を作成する能力。

その神殿は、ある程度なら彼女の思った通りに形を変更する事が可能。更に、非常に遅いスピードではあるが空を浮遊して移動することが出来る。

その神殿は目の前にあってもうっすらと見える程度に透明であり、更に影も映らない。流石に、載せている人や物資などは透明にはならないが、この世界には『制空権』などという概念がないため、彼女たちが見つかることはほぼゼロだろう。

その性質上、彼女たちは空から敵を監視し、狙撃したり、その広大な面積を利用して物資を運んだりと重要な役割を持っている。

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