第2話 異世界に来ちゃった系?
チュンチュンッ
遠くで小鳥が鳴いている。
「ちょ、ちょっと待て……ここどこ?」
さっきまで俺は学校のトイレにいたはずだ。慌てて後ろを振り返る。
「……は?」
そこにあるはずのトイレは影も形もなかった。校舎も、廊下も、コンクリートの床もない。あるのは木々と草花だけ。
「なんで……」
混乱したまま一歩後ずさる。その瞬間だった。
「あっ!」
足が何かに引っかかる。体勢を崩し、そのまま勢いよく尻もちをついた。
ドサッ。
「いてっ……」
痛む腰をさすりながら振り返る。そして、息が止まった。
「ッ……!」
そこに転がっていたのは、首のない人間の死体だった。しかし、着ている服には見覚えがあった。それは、俺が着ているのと同じ学ラン。
「こ、これって英輔の……」
すぐそばにも2つ。山端。門田。
さっきまで俺を笑っていた3人が、物言わぬ死体となって転がっていた。
全身に鳥肌が立つ。
「な、なんで……」
理解が追いつかなかった。ふと、頭の中で、先ほど聞いた音がよぎる。
グチャッ
ドスン
トイレの外で聞いたあの音。
(ヤバいヤバいヤバい)
瞬間的に俺は、化け物の足音が聞こえた逆方向に走った。
枝が腕を引っかき、草が制服に絡みつく。息が苦しい。それでも止まれなかった。
(なんなんだよ……!)
(てか、どこなんだよ!ここ!)
英輔らが死んだことは特段どうでも良かった。逆に嬉しいくらいだ。
だが、あいつらを一瞬で殺した”何か”が、この近くにいる。その事実だけで十分恐ろしかった。
森の中を走る。走る。
その瞬間。
「うわッ!」
木の根に足を取られた。
ズザァッ!
地面を転がり、制服が土まみれになる。
「っつ……」
痛む腕を押さえながら体を起こそうとした、その時だった。目の前の空間がゆらりと揺らぐ。
「……え?」
淡い青白い光が集まり、1枚の半透明の板を形作っていく。まるでゲームのステータス画面だった。
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向野 佑磨 level.1
年齢:17歳
職業:魔法使い
ステータス
HP:15/15
MP:10/10
攻撃:2
防御:3
素早さ:1
力:2
知力:2
運:12
スキル
{火}ファイア 【MP5】
ユニークスキル
縺ェ繧薙□縺薙
────────────────────
「………」
言葉が出ない。
俺は、恐る恐る指を伸ばす。触れようとしても画面にはなんの感触もなかった。
試しにスマホを操作するように2本の指を閉じる。すると画面はスッと縮小し、そのまま消えた。
「消えた……」
今度は指を広げる。
パッ。
再び画面が現れる。
「……マジか」
目の前に起こっていることが信じられなかった。
(これって夢なのか?)
そう思い頬をつねる──が
「いてっ」
痛い。夢じゃない。
(ってことは、もしかして異世界に転移しちゃった系?)
改めて画面へ目を向ける。
(ステータスひっく。攻撃力2って……)
変な笑いが出る。
次に職業という文字に目が留まった
(……魔法使い?)
胸が少しだけ高鳴る。さらに下へ視線を移す。
スキル {火}ファイア 【MP5】
(もしかして……使えるのか?)
右手を前へ突き出す。
「ふぁ、【ファイア】!」
ボッ。
親指の先ほどしかない小さな炎が灯った。
「…………」
数秒見つめる。
「ちっっっっさ」
マッチで火をつけたほどの大きさの炎であった。
慌ててステータスを見る。MPは10から5に減っていた。
ため息をつきながら画面を眺めていると、一番下の項目が目に留まった。
【ユニークスキル】縺ェ繧薙□縺薙
(……なんだこれ)
表示されているのは、文字化けしたような意味不明の文字列。
(……こわ。絶対これ、なんか意味あるやつじゃん……)
俺は、とりあえず画面を閉じ、森を見回した。
静かだった。だからこそ怖い。
深く息を吸う。
(……とりあえず歩くか…)
そして、周囲を警戒しながらゆっくりと歩き始めた。
向野 佑磨 level.1
EXP 0 / 5
年齢:17歳
職業:魔法使い
ステータス
HP:15/15
MP:10→5/10【-5】
攻撃:2
防御:3
素早さ:1
力:2
知力:2
運:12
スキル
{火}ファイア 【MP5】
ユニークスキル
縺ェ繧薙□縺薙




