表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法のない異世界で、俺だけが魔法使いでした~世界唯一のカス魔法使いは最弱から成り上がる~  作者: 太田


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/3

第1話 どこですか?ここ

 学校へは行きたくなかった。いつものように憂鬱な月曜日。足取りは重い。


 教室へ入った瞬間、何人もの視線がこちらを向いた。自分の席に座る。


ドンッ


「っ……」


背中に衝撃が走る。


「おはよう」


 振り返ると、そこにはニコニコした顔で八尋英輔(やひろえいすけ)が座っていた。


「お、おはよう」


 返事をした瞬間だった。


 グリグリと。後ろから靴で制服を踏みつけられる。


「なぁ向野(むくの)


 英輔は笑ったまま言う。


「まだ学校来る気なんだ?」


ドカッ


「クセェんだよ」


ドカッドカッ


 何度も蹴られる。


(なんやねんコイツ。死ねよ)


イライラする。


しかし、俺は反抗できるわけもなく、愛想笑いをしながら前を向くことしかできなかった。


 八尋英輔。成績優秀。サッカー部部長。全国大会でも名を知られるエースストライカー。教師のお気に入りで、女子からも人気があるクラスの中心人物。


 対する俺。向野佑磨(むくのゆうま)は、休み時間にライトノベルばかり読んでいる友達ゼロの陰キャ。


 こういった、いじめは、最近になって始まった。理由は簡単。俺が英輔の前の席になったからだ。


 上履きは捨てられる。全裸の写真は撮られる。授業中に行うグループワークや話し合いは、基本はぶられ、それを見た教員は「授業に参加していない」と俺を叱る。この学校に俺の味方はいなかった。


 クラスメイト達もいじめを黙認していた。黙認していたというよりも一つのエンターテイメントとして楽しんでいる節があった。


 また、うまいのが英輔である。あたかも俺の方に問題があるように見せ、いじめを加速させる。


 教師の前では爽やかな優等生。教師がいなくなれば、また俺を蹴る。その頭脳を別のことに活かせよと思った。


キーンコーンカーンコーンッ


 チャイムが鳴る。俺は、灰色に汚れた学ランの背中を払い前を向いた。




 休み時間。

 

 教室にいると、億劫なので俺は毎回、2階のトイレへ逃げ込む。職員室の近くにあるせいか、人は少ない。


(これは、逃げてる訳じゃない。ただ、あのカスどもと一緒の空間にいたくない。だから仕方がない)


 言い訳じみた言葉を脳内で繰り返す。

 

 個室に入り、鍵を閉める。和式便器の上に立ち、スマホを取り出した。


 見るのはいつものアニメグッズ通販サイト。現実逃避にはちょうどよかった。 

 

 その時だった。


バシャアッ!!


「っ!?」


 頭上から大量の水が降ってきた。


「うわっ!」


 スマホが床へ落ちる。全身が一瞬でびしょ濡れになった。


「ギャハハハハ!!」


 個室の外から笑い声。


「おい!向野(むくの)!1人で隠れてエロサイト見てんじゃねぇよ!」


「あははは! 英輔くん最高!」


「サボりはだめだよぉ!」


 英輔の声。そして、英輔とよくつるんでいる山端(やまはせ)門田(もんた)の声もした。


「はぁ……」


 ため息をついてスマホを拾う。画面は真っ暗だった。何度電源ボタンを押しても反応しない。


(水没したか……)


 髪から滴る水が頬を伝う。


(なんなんだろうな。本当に俺の人生って……。

 俺に“特別な力”があれば、あいつらをぶち殺してやるのに……。

 はぁ……。こんな毎日が続くくらいなら、“別の世界”にでも行きたいよ)


 その時だった。


「な、なんだここ!?」


「は!?」


 外から慌てた声が聞こえた。何かあったのか。そう思って個室を出ようとした瞬間。


ゾワッ。


 全身の毛穴が一斉に開く。本能が「出るな」と叫んでいた。


グチャッ


 何か柔らかいものが潰れる音。


「ぎゃあああああ!!」

 

 英輔たちの悲鳴だった。さっきまで笑っていた声とは別人のような絶叫。


 俺は個室の隅で震えた。この扉の向こうに、何がいた。再び音が鳴る。


「く、来るな!! 俺は将来プロになるんだ!! 死にたく──


グチャッ


 声が途切れた。


ドスン ドスン


 重い足音が個室の前を横切っていく。

 

 俺は息を止めた。


(お願いだから、気付かないでくれ)


 足音は少しずつ遠ざかっていく。やがて静寂が訪れた。


(行った……のか?)


 全身から力が抜ける。恐る恐る個室の扉を開けた。


「……は?」

 

 目の前に広がったのは───()()()()()()()()()()()()()()()


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ