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普通の高校生の、特別な日常  作者: しゃー
3章 2学期編
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99/105

99.文化祭準備

俺は放課後、クラスの文化祭準備に取り掛かる。


生徒会の仕事は佐藤先輩と濱田先輩がやってくれるので、俺は今日はクラスに集中できる。


俺の隣に豊崎さんがいる事を除いては。


「大丈夫そう?」


「な、何が!?」


「……なんでもないよ」


いや、めっちゃ緊張してるよ豊崎さん…。


芦屋が俺に向けて話をしてきた。


「月城は生徒会に入ってるから、班分けしてないけど良かったよな?いつ抜けるかわかんないし」


「ありがとう助かるよ」


「豊崎、月城に教えてあげてくれよ小道具の事」


「あ……うん!」


豊崎さんは少し驚いたように顔を上げ、それから嬉しそうに頷いた。

芦屋に頼られたのが嬉しかったのだろうか。

そんなことを考えながら、俺は輪投げの棒を手に取った。


「よし、じゃあ頼むね、豊崎さん」


「頑張る!」


豊崎さんは、少しだけ前向きになったように感じた。



小道具班は輪投げや射的に使う小道具をメインに作成していく係だ。


「俺、色塗ったりするの苦手なんだよな」


「…そうなの?」


「うん、中学の時の美術2だぜ?」


「私4だったよ」


「え、すごいじゃん」


俺は輪投げの棒を塗っていく。


「相馬ー!」


夕が手に輪投げの輪を持って、話しかけてきた。


「どうした?」


「緑の塗料ある?」


「あるよ、ほれ」


「ありがとー」


夕は自分の班に戻って行った。


「月城くんって…女子と仲良いよね」


「語弊があるな…。でもまぁ、そうだな」


「なんで?」


なんで…か。俺も知りたいよ。


「妹がいるからなのかもな。豊崎さん兄弟とかいないの?」


「姉が1人、でももう社会人で」


「そっか、姉かぁ」


俺の豊崎情報がアップデートされていく。


「よし、塗り終わった。次はどうしようか」


俺は塗り終わった物を乾燥させる為に置き場に置く。


「次は…赤か」


「赤はさっき、芦屋くんが…持って行ったよ」


「芦屋ー!赤貸してくれ!」


俺は芦屋を呼び、塗料を受け取る。


「ありがと、芦屋」


俺は赤の塗料をパレットに取り出して、筆にベタベタつけていく。


「お前、塗り方きったねぇな」


「はぁ?」


芦屋が、俺の塗った緑棒を見ながら呟いた。

確かにムラはあるけど…こんなもんじゃないか?


「見てみろよ豊崎を。綺麗すぎて店で売れるレベルじゃん」


「え……!そんなことないよ!」


「やり直しだ、生徒会」


「生徒会を俺のあだ名にしないでくれ」


そのやりとりを見ながら、豊崎が笑っている。


「ふふ……楽しい…」


俺はその笑顔を見ながら、乾燥させている緑棒を取り、再度塗り直そうと筆を動かした。


「あ!!……赤で塗っちまったよ」


「……ふふ!」


豊崎は笑いを堪えているけど、堪えきれずに笑いが漏れ出てる。


まあ、楽しそうに笑っているなら、それでいいか。


俺は赤く染まった緑の棒を見て、小さくため息をついた。



本日の文化祭準備は終わりとなり、豊崎さんは水野さんと一緒に帰っていった。


「相馬、今日一緒に帰ろ」


鞄を持った俺に、夕は声をかけてきた。


「おう」


一緒に帰っている途中、夕は普通に聞いてきた。


「最近水野さんとか豊崎さんとか仲良い?」


「仲良いってほどじゃないかもな。話すくらいだよ」


「にしてはじゃない?」


「んー…理由がある。と言ったら変だけど」

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