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普通の高校生の、特別な日常  作者: しゃー
3章 2学期編
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97/105

97.準備開始

夕方のホームルームで青山先生が発表する。


「1-Aの出し物、『射的と輪投げの縁日』で通りました」


「おおー!」


「やったぜ!」


クラスメイトは喜んでるようだ。

俺は知っていたが、公言するなと言われている為今日は言わなかった。


「それとは別件なんだけど、ステージでやりたい事がある人は記入して出してね」


先生は紙を全員に配る。


「それじゃ、実行委員あとよろしく!」


と言い先生は教室の隅の椅子に座った。


「じゃあとりあえず班を分けるか?」


「そうだね!」


芦屋と彩葉が相談し、班分けを行う事になった。


小道具や大道具、衣装やレイアウト担当など、様々な役割分担をした。


「なぁこれって射的の銃も作るのか?」


芦屋は俺に聞いてきた。


「どこまでやるかはみんなで考えよう。作ってもいいし、借りてきて別のところに時間をかけてもいいしな」


「…結構むずいな」


どこまでやるか。どこを目指すか、どんな方法で。

というのを考えるのがこの文化祭の趣旨でもあるはずだ。


「みんな!どうするよ」


と言い、みんなで確認し、進めている。

いい感じだ。


班分けや役割が決まり、準備を始める。

最初はみんな戸惑っていたが、徐々に慣れていくはずだ。



俺と憂華は一旦抜け、生徒会室へ向かう。


「月城くん」


「佐藤先輩、どうしました?」


机の上には、事前申請用紙の山があった。


「……早いっすね、さすが上級生」


2、3年はすでに事前申請で何が必要か、必要なものを購入する申請書が届いていた。


「事前申請はまだいい。この後事後申請が来るから、今のうちにまとめておくよ」


「わかりました。やりましょう」


俺は佐藤先輩の隣に座り、会計の仕事を手伝った。

今回会計補佐には濱田先輩も同席した。


「佐藤と月城だけじゃ、この量はきついからな」


「ありがとうございます」


俺たちは、資料を見てノートパソコンに入力。

資料をまとめていった。


作業を進めていると、冴島副会長に呼ばれた。


「月城、来てくれ」


「はい、行きます」


俺は入力済みのリストを佐藤先輩に送付し、副会長の元へ向かった。

紙を一枚渡され、確認する。


「その件なんだが」


「……市長が来るんですか」


「そうだ」


市の広報でも取り上げられるらしい。

その関係で、市長も視察に来るとの事だった。


「去年は来なかったんですか?」


「去年は代理の人が来て、挨拶して帰って行ったが今回は本人直々ということだ」


「なるほど、いいものを作らないとですね…」


「まぁそうだな。特に何かをする必要はないが、念頭に置いておこう」


俺はその話を聞き、今日の生徒会は終わりとなった。


生徒会メンバーと共に、生徒会室を出るが俺は鞄を教室に忘れていた。


「やべ、鞄忘れた」


「どうせ中身何も入ってないだろ」


濱田先輩に見抜かれていたが、認めるのも嫌なので。


「勉強道具と参考書とゲーム機が入ってます」


「いや、ゲーム機は校則違反だろ…」


生徒会らしい事を言われてしまった。



また階段を登らないといけないのか、と少し億劫になりながら階段を登り教室へ到着。


日も落ちかけていた教室に夕が1人。

俺の席の机に座って、外を見ていた。


「みんなは帰ったのか?」


夕は俺に気づいて一瞬、安心したような顔をしたが、すぐにいつもの調子に戻った。


「遅かったじゃん相馬」


「まだ、残ってたのか?」


夕は少しむっとした表情になる。


「相馬鞄置きっぱなしだったから」


「待っててくれたのか。悪い事をしたな」


「憂華は?」


「帰ったよ」


「そっか」


俺は夕が少しだけいつもと違うような雰囲気、表情をしていると思ったが、何を考えているかまでは読めなかった。


俺は鞄を持ち、「帰るぞ」と夕に言って、一緒に廊下を歩く。


「クラスの様子はどうだった?」


「ん?まぁ、普通?」


「普通ってなんだよ…」


「まだ買い出し行ってないから、話し合いメインだったよ」


「そうなるよな…」


夕はローファーにスポスポと足を入れ、俺も靴を履き替え歩き出す。


校門付近に来た時、夕が口を開く。


「相馬はクラスにはあんま顔出さないの?」


「いや、行くよ。生徒会は最初だけ忙しいらしい」


「ふーん」と夕は呟いたあと、少し下向いて歩いていた。


俯き気味の夕の表情は見えなかった。


夕とゲームする時間は夏休みに比べ、減っていた。

隣同士だった席も離れ話す頻度も減った。


もちろん俺達は話すし、仲も悪くなってない。


でも、だからこそ、文化祭を一緒に回りたい。

俺はそう思った。


「なぁ、よければだけど、文化祭一緒に回ろうぜ」


夕は顔を上げて、俺の方を見た。


「え?…いいの?」


「もちろん」


「…生徒会とかは?」


「何とかなるだろ。多分」


「何とかなるだろって…」


夕と俺は駅に向かって歩く。


「…約束だからね?」


「おう」


夕と駅で別れ、俺は電車に乗った。


文化祭の準備は始まったばかりだ。

生徒会の仕事もあるし、これから忙しくなるだろう。


それでも、楽しみが1つできた。


文化祭当日、夕と何を見て回ろうか。


そんなことを考えながら、俺は電車に揺られていた。

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