96.変わっていく自分
生徒会室には、各クラスから提出された文化祭の第一希望用紙が揃っていた。
思ったより被ってるのは少なく、2-Aと1-Cのクレープ屋。3-Aと2-Bのメイド喫茶が被っていた。
「山村先輩今年はメイド喫茶できるじゃないですか」
「嬉しいよー!でも2年B組には悪い気もするけどね…」
3年優先とはいえ、3年側も申し訳なくなってしまうのか…。
来年はもう少し考えた方がいいのかもしれないな。
俺たちは資料をまとめ、山村先輩と憂華に書類を回した。
「相馬くん、資料確認できたよ。次はこれお願い」
「了解ー。佐藤先輩これってーー」
俺たちは文化祭の第一希望を確認しながら、企画の配置を考えていた。
「ステージで何かやりたい人の紙できました」
「了解です。全員に配れるように印刷してきますね」
俺は立ち上がり、印刷室へ向かう。
「私も手伝う!」
里中さんがついてきた。
「ありがと!助かる」
里中さんと印刷室に入り、印刷を開始。
コピー機が奮闘して、紙を吐き出していく。
そんな中、里中さんが話しかけてきた。
「ねぇ月城くん…」
「栞とデートしたってほんと?」
ぶふっ!
俺は吹き出してしまった。
「いや…してないけど…」
「そうなの?」
一体何を聞いたんだ…いや、見られたのか?
「おう…勘違いする要素としては、古本屋行ったのと、図書館で会ったくらいだと思うけど」
「それ、栞も言ってた!」
「それ、デートって言ってたか?」
「ううん、言ってなかったよ」
……なら何故聞いた。
「鎌をかけたのか」
「ごめんね…」
「いや、常盤さんがデートと勘違いしてると思ってるなら一大事だったから、鎌かけで良かったよ…」
「そっか…でどう思ってる?栞の事」
「いや、どうとも思ってないって言ったら失礼か…本の趣味が良い、友達だと思ってるぞ。」
「そっか!」
里中さんって結構グイグイ来るんだなと認識を改めた。
俺達は印刷し終わった紙を段ボールに詰め、生徒会室へ持っていく。
「これ全クラスのやつです」
「ありがとう!」
橘会長は返事をして、自分の仕事へと戻った。
俺たちもそれぞれの作業を終え、今日の生徒会は終わりとなった。
「かー疲れたー!」
「疲れたね相馬くん」
俺は伸びをしながら、憂華と一緒に帰る。
「明日から準備開始か…」
「楽しみ?それとも、大変?」
「半々かなぁ、俺たちはクラスの出し物準備と生徒会だろ…?」
「クラスは疎かになっちゃうかもね、仕方ないと思うけど」
確かにクラスよりも生徒会だ。
学校全体の管理の方が大切だと思うけど。
「俺たちは来年もあるとはいえ、1-Aでやれるのは今回きりなんだ…」
「俺はクラスを疎かにはしたくないんだよな」
憂華は少し驚いた顔を見せた。
「そんな風に思ってくれてたんだ…」
「いや…入学当時は無かったかもな…この感覚」
前にも出ず、平穏に何もなくこのクラスを終える。
そのくらいにしか思ってなかった。
「入学当時はあんまり人と関わってなかったもんね相馬くん。夕と彩葉くらいじゃない?」
「まぁな…」
「変わったね。……いや、多分今の相馬くんが本当の相馬くんなんだろうね」
「なにその真の姿みたいな感じ、かっこいいじゃん!」
「照れないでよ…!」
俺と憂華はその後もくだらない話を続け、帰る事になった。
自分が変わってきたのか、それとも熱に浮かされてるだけなのか。
それはわからないけど、前向きになれてきたのは間違いないはずだ。
俺は文化祭、クラスと生徒会の両方で支える。
そう、気持ちを決めた。




