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普通の高校生の、特別な日常  作者: しゃー
3章 2学期編
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92/106

92.見えてきた文化祭の形

月曜日の放課後、生徒会で文化祭の方針を決める。


授業が終わり、俺は立ち上がる。


「いやー終わったー!」


「疲れたー」


「パンケーキ行こー!」


俺はクラスメイトが話している様子を見る。

疲れた人、何も言わず帰ろうとしてる人、友達と遊びに行く人。


2年になればクラス替えがある。

このメンバーとは最初で最後の文化祭になるはずだ。


俺は鞄を持って歩き出す。生徒会室へ。




「まずは、今日の議題だ」


橘会長が、ホワイトボードに記載していく。


・自由度はどうするか、どこまでやるか

・特別棟、奥の教室への動線

・展示内容、企画の重複について


会長はここまで書いて、こちらを振り向く。


「どうすれば生徒がやりたいことを実現できるか」


「これを今日の議題とする。」と言って会長は椅子に座った。


「一高を見てきて、参考になった点も多いだろう」


「ただし、一高をそのまま真似する必要はない。うちの学校に合う形にする」


副会長が口火を切る。


「自由といってもなんでもやっていたわけじゃないと俺は思う。危険なことは許可するわけにはいかない」


俺は反論する。


「そこは一高がやってた方法が参考になると思います」


「やりたいことを聞いて、ダメかどうかを先に決めるんじゃなくて、どうすれば安全にできるかを一緒に考える」


橘会長が頷く。


「それだな」


「山村、書類にその欄を追加し、危険箇所、そしてどのように対策するかを記入する欄を作ってくれ」


「おっけー」


「原則禁止ではなく、安全対策を含めて実現方法を考えさせる」


「その対策に困ったら私たちが相談にのろう。それでもダメなら先生の判断だな」


原則禁止ではなく、安全対策を含めて実現方法を考える


これで決まりだ。



「次に、動線だ」


会長が全員を見渡し、天沢が話し出す。


「えっと…私は運営側、つまり生徒会で配置を決めるってのがいいと思います」


「人気の出そうなものを特別棟に置くとかできると思いますし」


「いい案だ」


佐藤先輩が今の話を聞いて、話す。


「それだと、本来盛り上がるはずのものが、注目されない。とならないか?」


「たしかに、そうですね…」


天沢は少し下を向いた。

俺は付け加える。


「その案、俺もいいと思いますけど、それだけだと弱い気がします」


「パンフレットの地図をわかりやすくする。というのもいいと思いますし、あとはスタンプラリーとかですかね」


濱田先輩が反応する。


「俺の妹もスタンプラリー好きだし、いいかもな」


俺は頷いて、続ける。


「特別棟に人が来ないのなら、来る理由を作ってあげるのがいいと思います」


里中さんも乗っかる。


「スタンプ全部集めたら、お菓子もらえるとかだと嬉しいね!」


確かに、特に小さな子供達は嬉しいだろう。


「よし、その方向でいこう」


橘会長はホワイトボードにメモをしていく。



「次だ。企画や内容が被るのはどうする?」


俺は去年の内容を確認する。


「去年は確かに被ってますよね… そりゃ手前のメイド喫茶に行ったら、奥のメイド喫茶も行こうとはならない気がしますけど」


「まぁ、だよな。いっその事被り無しみたいな感じにします?」


濱田先輩は言うが、本人もそれは無いなと思ってるみたいだった。


憂華が意見を出す。


「例えば上級生と下級生が被ったら、上級生を優先する」


「3年生は最後の文化祭だからな」


冴島先輩がボソッと言う。


「その代わり、下級生の企画を却下するだけにはしない。別の企画に変えるか、内容を変えて実現できないか、生徒会で相談する」


「同級生同士なら、合同にするのもありだと思います」


冴島副会長が反応する。


「たしかにそれいいかもな。俺達が下級生と一緒になっても、下級生が気を使うだろうし」


佐藤先輩が考えを言う。


「生徒会で集計時にカテゴリ分けするのがいいと思う。合同でやるか、別のに変えるか、それとも差別化するか」


「差別化?」


「メイド喫茶が被ったら、片方は猫耳喫茶でもいいなら変更する。とか」


「いや猫耳は佐藤が見たいだけだろ…」


「いや、人は興味ない」


会長がツッコミを入れて、少し場が和んだ。


会長がホワイトボードに最後の項目を書き込むと、ホワイトボードをバンバンと叩いた。


「よし、今年の文化祭の方針はこれでいく」


北高文化祭方針

・やりたいことを最初から否定しない

・安全に実現する方法を考える

・校内全体に人が流れる仕組みを作る

・企画が偏らないよう調整する


「ここから忙しくなるぞ!みんな!」


会長は笑顔だった。

周りを見るとみんなも笑っていた。



一高で見たものが、少しずつ自分たちの文化祭の形になっていく。


まだ何も始まっていない。

それでも、昨日までよりずっと具体的に、文化祭が見えてきた気がした。

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