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普通の高校生の、特別な日常  作者: しゃー
3章 2学期編
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89/105

89.焼きそばはあるだろうか

放課後。

生徒会室に集合になった俺達。


「以前伝えた通り、今週末、第一高校の文化祭を見学する。」


橘生徒会長は確認事項を全体に伝達する。


「まぁ、あくまでも土曜日だから無理はするな」


そう言ってチケットを渡してきた。


開催日は金曜日と土曜日

金曜日は生徒や関係者向けで、土曜日は一般開放となっていた。


「まだ先とはいえ、文化祭の枠組みと、予算は昨年度を参考にするんだ。概要は決めておくぞ」


橘会長が、「よろしくね」と言うと、各々が動き出した。


「月城くん、昨年度予算資料はこれ」


渡されたのは分厚いファイル。


「なんか、多いですね…」


「文化祭は、各クラスからの事前申請。それと、事後申請があるからどうしても分厚くなる」


たしかに、やっぱり足らない!みたいなので買い出しに行くイメージがあるな。


「全体の予算内に収まればいいから、そこまで考えすぎなくて良い」


俺は今年度の学年、クラスの一覧表を作成しながら話を聞く。


「無理なものは無理。だけど、どうしても超えそうなら先生に相談ね?」


この学校は体育祭の時もそうだったけど、予算とか備品とかは生徒に任せていない。

その点すごく助かる。


「了解です」



副会長、濱田先輩、里中さんは枠組みをまとめる。


その話を受けて、山村先輩、憂華が資料作成を担当することになった。


まだ文化祭の詳細も、規模感も決まっていない。

課題の解決策だって、何一つ出ていない。


それでも、立ち止まっていては何も始まらない。


とりあえず俺たちは、できるところから文化祭の準備を進めることになった。



生徒会室を出ると、今日も吹奏楽が聞こえる。


特別棟の音楽室から聞こえる音色は、生徒会室にまで届いている。

演奏に耳を傾けながら帰っていると、後ろから憂華が追いかけてきた。


「今日の生徒会、なんか重かったね」


「まぁな、課題解決する前にスタートしてるから、そりゃそうだろうよ」


昨年度の課題。


『奥まった教室、特別棟には人の入りが悪い。不公平を感じる』


『食べ物や飲み物系が少なく、展示やアトラクションメインが似たり寄ったり』


『自由度が低い、すぐに却下されるのでやりたいことができない』


というものだ。


「解決策が思いついてなかったら今日1日その話し合いをして、無駄になってたさ」


「そうだね、その話し合いは後。一高の文化祭を見てからでもいいもんね」


一高の文化祭は、どんな感じなんだろう。

去年の課題を解決するためのヒントが、何か1つでも見つかればいい。


そんな仕事っぽい気持ちと、純粋に文化祭を見てみたいという気持ちが、俺の中で混ざっていた。


「相馬くんは行けるの?文化祭」


「ん?もちろん行くつもりだよ」


憂華は嬉しそうにしていた。


「楽しみだね!」


「遊びに行くんじゃないんだぞ…多分」


「わかってるけど、楽しむ気持ちがないと見えるものも見えないよきっと」


それもそうか。

何かを見つけようとして来る生徒なんかいないわけだしな。


俺は途端に楽しみになってきた。

我ながら自分の単純さに驚く。


「焼きそば…あるかな」


「本当に好きだね…」


引き気味の憂華の顔を見ながら、俺は笑みを浮かべた。


俺達はそのまま一緒に帰る事にした。

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