88.女子会の秘密
日曜日。
俺は家でスマホを見ながら、ゴロゴロしていた。
グループLINEに通知が来てる。
確認すると、写真が送られてきていた。
「ふふ…あいつら…」
俺は思わず笑った。
背景は…憂華の家…なのかな。
夕と彩葉も映っており、3人でピースしていた。
『映画鑑賞会+お菓子パーティ』
そう、銘打たれた会らしい。
俺は少し、ふざける事にした。
『俺も行くわ、待ってて』
すると、夕と彩葉が反応した。
『いいよ!』
『お菓子追加ね!』
俺は憂華がなんて言うか、少し待つ。
『ごめん…相馬くん。今日親いるから。また今度でもいい?』
いや、いない時の方がまずいだろ…。
『冗談だよ、憂華。楽しそうでなによりだ』
と返しておいた。
そういえば、女子って家で何して遊ぶんだろうな。
俺は不思議に思っていた。
妹も友達を家に連れてくる事はあるが、ジュースとお菓子を持ち込んで話してるイメージしかない。
男友達だと、漫画読んだり、ゲームしたり、野球したり。文字通り『遊び』になる。
機会があったら聞いてみる事にしよう。
そう思いスマホを閉じた。
次の日、校門を潜った俺と偶然会い、話しかけてきたのは水野さんだった。
「おはよ月城くん」
「おはよー。眠いな」
「いつもでしょ」
間違いない。
水野さんも相変わらずテンションが低い。
校門から2人で歩く事になった。
特に離れて歩く理由が無い為、隣を歩いているだけだが。
「最近ちょっと元気ないんだよね、豊崎さん」
「そうなのか?」
「そうだよ、ちゃんと見てる?」
不機嫌そうに言ってくる。
「俺も気にはしてるけど、いつも通りに見えるけどな」
「芦屋に聞いてくれない?豊崎の事どう思ってるか」
俺は少し悩む。
豊崎は、そこまで動いてほしいのだろうか。
勝手に動かれるのを嫌がる性格にも見える。
「まぁ、機会があれば聞いてみるよ」
「…まかせるよ」
俺は言うほど芦屋と接点が無い。
本当にそこまでやらないといけないのか、豊崎さんに確認を取りたい。
だけど、豊崎とも接点が無い。
俺は変な事に巻き込まれつつある。そう思い始めていた。
3時間目。
体育の時間は室内。
体育館を半分に分け、男子はバスケットボール。
女子はバレーボールだった。
体育の時間は、基本男女は別れる。
俺は芦屋と体育館の端で話をしてた。
「バイトいつからなん?そろそろだろ」
「土曜日行ってきたよ」
「マジかよ!どうだった!」
「いや、普通に覚える事多くて大変だった…」
「そうかぁ…。いいなぁ……玲奈さん」
「お前まだ言ってるのかよ…」
俺のバイトの事が聞きたいんじゃなくて玲奈さんが気になるだけだろ。
「だって、玲奈さんみたいな人なかなかいないだろ」
「それはそうだけど…」
俺達は反対側の女子バレーを見ていた。
芦屋は男子達に話しかける。
「山本、お前女子だと誰が1番可愛いと思う?やっぱり天沢か?」
「まぁ、そうだな。天沢さんが1番可愛いと思うけど」
「藤堂はどう思うよ」
「…俺?うーん……楠木さんかなぁ」
「相馬、お前は?」
「いやぁ、難しい質問だなそれ」
「お前は柳さんとも仲良いんだから良いよな。羨ましい変わってくれよ」
と山本が言ってきた。
お前クラス委員だろ!と心の中でツッコんでおいた。
俺は芦屋に鎌をかけてみる。
「豊崎さんとかどう思う?」
「「「おお…!」」」
3人が同じ反応をした。
「お前そこいくのか」
「芦屋はどう思うよ」
「いや、確かに可愛いと思ってるけど、大穴だな」
芦屋は、特に気にした様子はなかった。
可愛いと思う。
その程度の反応だった。
それから俺たちの番になり、話は終了。
バスケをして汗をかいた。
昼休み、俺は憂華達に誘われ、食堂に行く事になった。
夕は昨日見た映画の話をしていた。
「泣けたね、あれ」
「わかる…先輩…死んじゃうの辛すぎた」
彩葉は今にでも思い出し泣きしそうになっていた。
憂華は、昨日俺を誘ってなかったのを謝ってきた。
「ごめんね、流石に家だったから」
「いや、まじでいいよ。俺が行ったらややこしいし、女子会みたいな感じだろ?」
本当に気にするなと念押ししながら、俺はアジフライ定食を食べていた。
そういえば、昨日思っていた事を食堂で憂華達に聞いてみる事にした。
「女子って家で何して遊ぶんだ?」
憂華達は頭にクエスチョンを出している
「男ってゲームしたり、漫画読んだりするんだけど」
その話を聞いて、彩葉が答える。
「あー…確かに違うかもね。優貴も友達連れてくるとすごい騒いでるし」
「そうそう、そういうイメージだ。遊ぶって」
憂華は昨日の話をする。
「んー…昨日に関しては、映画見て、お菓子食べて話してたかな」
「めっちゃ笑ったなぁ…面白かった」
夕は昨日の事を思い出して笑っている。
「へぇ、話がメインって事か」
「うん。昨日はそんな感じだったね」
俺には、やっぱり不思議だった。
男友達と集まれば、ゲームをしたり、漫画を読んだり、何かしら目的がある。
でも女子は、集まって話すこと自体が楽しいらしい。
「それで、なんの話してたんだ?」
『……』
夕がため息混じりに言ってきた。
「そういうところだよね。相馬」
「え?」
彩葉がサラダのトマトを箸で転がしている。
「クラスで誰がかっこいいかとか、イケメンの先輩の話とか、聞きたい?」
トマトに箸が刺さる。
「いや…すみませんでした」
「よろしい」
トマトを口に入れた彩葉に、憂華が話す。
「……いやそんな話してないけどね?」
「そういう可能性があるから、女子の密談は危険なんだよ。って子羊に教えてあげていたのさ」
子羊なのはともかくとして、確かに踏み込んではいけない領域だったのかもな。
「で?相馬達。男子はそういう話すんの?可愛い女子ランキングとかさ」
夕は意趣返しで俺に聞いてくる。
「まさか。するわけないだろ」
「怪しいよね」
「怪しい…」
「私もちょっと怪しいと思った」
なぜか俺は、3人から疑いの目を向けられていた。
……俺、何も悪いことしてないよな?




