↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
普通の高校生の、特別な日常  作者: しゃー
3章 2学期編
PR
87/107

87.制服に袖を通して

週末、俺のスマホにメッセージが来た。


『服届きました。土日どちらかで試着とOJT兼ねて来られそうですか?』


ついにバイトの時だ。

土日予定はない。せっかくだし、早い方がいい。


『土曜、1日行けます』


『了解。佐伯さんに伝えておきます』


俺のOJT担当は今話題の、玲奈さん。

いや、話題と言っても、うちのクラスの1部だけど。


「頑張るぞ…」


俺は小さく呟き、期待と不安を胸に膨らませた。




土曜日。


10時からの予定となっており、俺はその時間の少し前に向かう。

営業時間は8:00〜23:00営業だが、今日呼ばれたのは10時。

まぁ、朝早すぎてもスイッチが入らない為、このくらいの時間がベストではあった。


店舗の裏手に従業員出入口があり、ゴミ捨て場や、喫煙所が近くにある。


入り口のドアを開け、従業員通路を通っていくと、

事務所らしき部屋があった。

顔を出すと、そこには店長がいた。


「おはようございます!」


「おう!おはよう月城くん」


店長は事務仕事をしていたが、手を止め、机にあった書類を俺に渡してきた。


「とりあえず、仕事の説明するね」


店長から会社の概要や出退勤の仕方、メニュー表などを渡され、仕事の基本をざっくりと教えてもらった。


「よし、ロッカーに案内するよ」


ロッカーは広くはないが、着替えるには十分だし、休憩所としても使われているらしい。

そのくらいのスペースはあった。


「君のロッカーと制服だ。更衣室があるから、こっちで着替えてくれ」


更衣室に入り、着替え始める。

男子の制服は、シャツにズボン。

そしてネクタイを締め、着るのに難しいことは無かった。



俺が更衣室のカーテンを開けると目の前には店長と玲奈さんがいつの間にかいた。


「似合ってるねー」


「おはようございます、玲奈さん。」


「おはよー。朝早いと眠いねー」


と時刻は10時だが眠そうだった。


「サイズはどうかな月城くん」


俺は体を動かして確認する。


「ピッタリみたいですね。大丈夫です」


よかった!と店長はホッとし、玲奈さんを交えて話を始めた。


「よし、月城くんにはとりあえずホールに出てもらう」


「わからないことは佐伯さんに聞いてね、完(・)璧(・)な(・)人(・)だからなんでも聞いてね」


そう言われていた玲奈さんは聞き流していた。


「今後はレジとかキッチンとか覚えてもらうけど、とりあえず基本からだ」


「わかりました。頑張ります」



俺は玲奈さんの後ろにつき、物の場所や机の片付け方なんかを聞いていた。


「これここで良いですか?」


「いいよー」


「俺運びますね」


「ありがとー」


徐々にだが、動けるようにはなってきた。


注文はハンディだがタッチパネル操作で、通常の注文であれば対応できそうだ。

そんな事を思ってると、玲奈さんが声をかけてくれた。


「結構やるねー」


「いや、なんもできてないですよまだ…」


玲奈さん時計を確認し、「休憩しよー」といい、

他の店員さんとバトンタッチ。

玲奈さんについていくと、店舗の裏、物置のような場所に来た。


そこには小さな椅子と、灰皿が置かれていた。


「ここ、休憩場所なんですか?」


「まぁねー。正式な休憩所じゃないけど」


玲奈さんは椅子に座り、電子タバコを取り出した。


「一応、お客さん用の喫煙所は表にあるんだけどね。こっちは昔から一部の人が勝手に使ってる感じ」


「……大丈夫なんですか、それ」


「たぶん。怒られたら撤去されるねー」


玲奈さんは、あまり気にした様子もなく電子タバコを口に運んだ。


「あ、煙…。大丈夫?」


「大丈夫ですけど、吸うんですね玲奈さん」


「まぁねー」


玲奈さんは休憩しながら、俺を見てた。


「相馬くんやるね。普通、お客さんと話すの緊張するんだけどねー」


「いや、緊張してますよ?」


「海の家でも思ったけど、本当に高1?」


「年齢偽ってないですよ俺。高1です」


玲奈さんは電子タバコを口に運び話を続ける。


「バイト初めてであれだけ動けてたら十分。私の目は間違ってなかった」


俺はその話を聞き、嬉しく思う。

ふと、気になった事があり聞いてみる。


「芦屋…弟の方は、誘わなかったんですか?」


「んー?サッカー部でしょあの子」


「気にしてましたよ芦屋」


玲奈さんは、笑っていた。


「気にしそうなタイプだねー。『なんで相馬なの!?俺は?』って言ってそうだねぇ」


結構的を射ているな…と思い、俺も少し笑った。

玲奈さんは吸い殻を捨て、立ち上がる。


「まぁ、誘っても土日入れない。とかだと店長に悪いしねぇ」


「それは、そうですね」


玲奈さんに俺もついて、ホールへと戻った。



それからは俺の後ろに玲奈さんがつき、フォローしてくれた。

バイト初日とか関係なくお客さんは来る為、忙しかった。


「いらっしゃいませ、2名様ですね。少々お待ちください」


「どうぞ、こちらに」


「あ、奥の方がいいねー」


玲奈さんは奥から詰めた方がいい事を俺に伝達。


「了解です。すいません、こちらにどうぞ」


奥から詰めた方が効率がいいらしい。玲奈さんは空き状況を見ながら俺にアドバイスをする。


料理を運び、片付け、オーダーを聞く。

俺は繰り返し、海の家を思い出す。

こんな感じだったな。


その後、2組のお客さんが来た。

俺は店内を見回し、奥の席が空いているの確認した。


「こちらへどうぞ」


俺はさっき玲奈さんに教えてもらった通り、奥の席へ案内した。


「お、覚えてるねー」


玲奈さんが後ろから声をかけてくる。


「教え方が上手い人が後ろにいるんでね」


と返しておいた。



そんな事を繰り返し、俺はバイトの時間を終える事になった。


時刻は昼過ぎ。

今日はここまでという事になった。


「月城くんお疲れ様」


「お疲れ様です」


店長が俺の隣の玲奈さんを見る。


「佐伯さん、月城くんはどうだった?」


「よく見えてますよー。緊張も感じないし、いい感じです」


嬉しい。普段褒められる事は少ないから、こう言ってもらえるのは嬉しい。


「そうか、これからも頼むね月城くん。あ、シフトの事なんだけどーー」


バイトのシフトはLINEで伝達するらしい。

一覧表にそれぞれの名前と日付、時間が記載されている。


「入れる日わかったら、すぐ連絡してね。調整もできるから」


「わかりました。確認しておきます」


俺は頭を下げ、玲奈さんと店長に挨拶をした。


「お疲れ様でした。ありがとうございました」


「またねー」


「気をつけて帰るんだよ」



俺は着替え、帰路に着く。


初日のバイト。

周りを見る余裕は無かった気がする。

新しい仕事を覚えるのは結構疲れる。数時間しか働いてないけど、ずっと気を遣っていた感じだ。


「唐揚げ買って帰ろ」


俺はコンビニでご褒美の唐揚げを買って帰る事にした。



家に帰ると、両親と葵がいた。


「今日は2人ともいるのか」


「おかえり相馬。バイトだったんだろ?」


「ただいま。疲れたよ」


「それにしてもロイポってすごいわね。私達でもあんまり行かないのよね」


親父と母さんが俺のバイトに反応してきた。


「やってる事は普通のファミレスだと思うけどね。対面接客意識してるから、結構接客頻度が高いくらいかな」


葵は俺の持ってる唐揚げを見ていた。


「あげないぞこれは」


「……なんも言ってないけど」


「言いそうだったから、止めたんだ」


リビングのソファに座り、唐揚げを取り出した。


俺はご褒美の唐揚げを食べる。


「うまいな、これ」


妹の鋭い眼差しを感じながら。



自室で予定を確認しながら、シフト希望日を提出。


店長から、『ありがとう。シフト組んだら送るね』と返信が来た。


当分は玲奈さんのシフトと同じ日に入り、ペアで動く流れらしい。

玲奈さんもバイトのはずなんだけど、バイトリーダーみたいなポジションなのかな。


早くホールを覚えて、1人でも活躍できるようになりたい。

そう思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。