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普通の高校生の、特別な日常  作者: しゃー
2章 夏休み編
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73/105

73.今日はゲームの外で

「うおおおファイアーボルト!」


「何!?何?キモいよ普通に」


いや、テンション上げすぎて妹に絡んでしまった。



俺は今日、人生初のコラボカフェデビュー。


俺が遊んでいるMMORPGと期間限定でコラボしているカフェでは、限定メニューやグッズが販売されている。


その中でも俺が狙っているのは、魔導士の紋章ピンバッジ。これはグッズ販売で、在庫が残っていれば購入できる。


それとは別に、コラボメニューを頼むとランダムでコースターがもらえたり、アクリルスタンドが付いてきたりするらしい。


正直、かなり楽しみだった。


今日の服装は魔導士っぽく、黒い印象にしてみた。

まぁ、黒い服を多く持ってるってのは別にして。


「今日、楠木先輩と行くんでしょ?」


「そうだよ」


「まじ、そのテンションで行かないほうがいいよ」


「いや、夕もこのテンションだよ絶対」


「そんな風には見えなかったけど…」


確かにゲームをやっている夕を知らないと、そういう印象にならないよな…。


「じゃあ行ってくるわ」


「ん、いってらー」


俺は玄関のドアを開け、ログインする。

そういう気持ちになっていた。



コラボカフェがあるのは東京。

電車で30分ほど揺られ、駅に到着。


駅前のモニュメントで集合してから行くことになっている。

時間はお昼時。

駅前はかなりの人がいた。


「おーい相馬!」


少し離れた所から、夕が近づいてきた。


「おう!」


「ごめん待たせたね」


「全然、さっき来た所だよ」


夕は青を基調としたファッションをしてきた。

前にショッピングモールで見た時より可愛いに寄っている感じだ。


「いい感じ?」


夕はスカートをちょっとだけ持ち上げて、服を主張してきた。


「いい感じ!戦士と青のイメージが合ってる」


でしょ〜!と言いながら夕はご機嫌だった。


「それじゃ行きましょっか」


「行こう。楽しみだ」


俺達は目的のカフェに向かう。

夕は俺の隣を歩きながら話しかけてくる。


「2人で出かけるのって、学校帰り以外で初だよね」


「そう言われれば、そうだな…」


学校帰り、ラーメン食べて、ガチャ回しに行ったりしたが、休みに2人で出かけるのは初めてだ。


「エスコートは任せたからね?」


「出たよ…。マジで勘弁してくれ…」


夕は笑顔で俺についてくる。


「戦士なんだから、前歩いてくれよ」


「それ今関係なくないー?」


と、冗談を言い合いながら歩いていると、目的のカフェに到着した。


看板には『コラボ実施中!』の文字があり、

見た目はおしゃれなカフェという感じだった。


「じゃあ入るぞ」


「うん!」


中に入ってみると、驚いたことはまず、音だ。

ゲーム内で流れている、ギルドの酒場の曲が流れていた。


「これ、酒場の曲じゃん」


「夕がずっと受付嬢見てたから、覚えてるわ」


そんなやりとりをしていたら、店員さんが気づいてくれた。


「いらっしゃいませ!」


「12時から予約した、月城です」


「月城様ですね。少々お待ちください」


と言われ、すぐ席に案内された。


中には人が多く、女性が多い印象だった。


「女の人多いんだな」


「こういうカフェは女子人気高いからねぇ」


夕はカバンを置き、メニューを見る。


頼むものはすでに決めてきているが、今一度メニューを見て確認する。


「ここで、グッズ系も頼むんだな」


「珍しいね、メニュー頼まないとグッズ貰えない感じなんだ」


俺は、ハンバーグプレートにコーラ。デザートにチーズタルト。

夕は、クリームパスタにレモンティー。デザートにイチゴパフェを頼んだ。


それと、2人は戦士と魔導士のピンバッジを注文した。

在庫があってよかった。



料理が到着し、俺達は驚く。


「ハンバーグ再現度高いな」


「パスタもすごい!ゲームからそのまま出てきたみたいに見えるね」


夕は来た料理に目を輝かせながら、写真を撮っている。


「ねぇ、2人でも撮る?」


「ん?いいよ」


夕はスマホをインカメラにして、料理が映るようにカメラをこちらに向けた。


「相馬くんも寄って」


俺も夕に顔を近づけて、写真を撮る。


画面には、料理と俺達2人が並んで映っていた。

こういうのは慣れないな。


「いい感じに撮れたか?」


「…いいじゃん」


「そう?後で送ってくれ」


「うん。わかった」


今日の記念だね。そう言って、夕は写真を保存した。



さて、料理が冷めてしまう前にいただこう。

俺達は手を合わせる。


「じゃあ、いただきまーす!」


「いただきます」


夕の挨拶に聞き、俺も続く。



2人ともコラボメニューを味わう。

ハンバーグは思ったより肉肉しく、胡椒が効いており美味しい。


食べながら、俺達は話をする。


「いや、でも相馬とはこんな感じの仲になると思ってなかったな」


「まぁそうだな。最初はラーメンだし」


夕は笑う。


「懐かしいことに感じるね」


「まだ、4ヶ月前のことだけどな?」


2人で、楽しくご飯を食べる。

やっている事は学校帰りと変わらない。

でも、休みにお出かけして、おしゃれして、コラボカフェに来る。


そのちょっとだけ特別なイベントに俺は嬉しい気持ちになった。



「よし、じゃあ開けるか…」


「うん…」


俺達は料理を頼んだ時に貰った、ブラインドのコースターを開封する。

夕は先に開け、中身を確認する。


「やった!戦士だ!」


「まじかよ…引き良すぎだろ…」


「これで相馬が魔導士だったら完璧だね」


頼む…。出てくれ…。


俺はブラインドを開け、中身を取り出す。


俺が取り出したのはーー。



俺達は会計を済ませた後、武器を持って写真撮影する。

店員さんが、スマホを持ってくれて撮影してくれる。


俺は長い杖。まだ見たことないがきっと強い武器なんだろう。

それに比べて夕は斧。

見た目は大きいが、かなり軽く作られている。


俺達はポーズを決めて写真を撮る。


「せっかくなら手に入れたコースターも」


「いいね」


夕は戦士のコースター。


俺は魔導士のコースターを手に持ち、写真を撮った。



俺達は店を出て、歩く。


「楽しかったね!」


「いや、思った以上だった。すごいなコラボカフェ」


「見て、さっきの写真」


と言い、俺と夕が武器を持った写真を見せてきた。


「相馬めっちゃ笑顔じゃん」


「いや、夕もニコニコじゃん…!」


と笑いながら、駅に向かう。


カフェにいた時間はそう長くはない。

だけど、物足りなさはなかった。


ゲームで遊んでいる延長線のような感覚。

俺はゲームで遊んでいる時と同じように笑っていた。


俺は不思議だなと思い、夕から送られてきた写真を見る。

2人とも満面の笑顔だった。

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