65.久しぶりの4人
俺は帰宅後シャワーを浴びる。
時間は夕方というにはまだ早い。
俺は髪を乾かしながら、スマホを見ている。
すると、LINEの通知が鳴る。
天沢からだった。
『練習お疲れ様。この後夕と彩葉とファミレスでご飯食べる約束してるんだけど、よければ来ない?』
という文章と場所情報。
そして、可愛い犬のスタンプが送られてきた。
練習について知ってるって事は、俺が野球の練習見ているのを彩葉辺りから聞いたんだろうな。
店は距離も遠くないし、夜ご飯もまだだ。あとせっかく天沢が誘ってくれた事だしな。
『行きます。行かせてください』
と返した。
『ありがとね。嬉しい』
と返ってきた。
天沢ってたまに恥ずかしい事平気で言うよな。
俺は葵に、外で食べてくる事を伝え、準備して家を出る。
電車で揺られながら、天沢とは久しぶりに会う感覚になっている。
正確には楠木も同じだが、ゲームをやっているので久しぶり感がない。
俺は少し、緊張してるかもしれないな。
と思い、駅のホームから改札を抜け、ファミレスへ向かう。
スマホを確認すると、みんなもうついてるみたいで、1番最後になってしまった。
「あ!来た!」
と天沢が俺を見つける。
「悪い、遅れた。入っててよかったのに」
時間には遅れていないが、みんなより遅くなったのは事実だからな。
「みんな今さっき来たばっかだし」
と言い、ファミレスへ入る。
俺達は先に案内され、俺の隣に天沢。
正面に楠木、斜向かいに彩葉だった。
「相馬くん久しぶりだね」
「そうだな、天沢とは久しぶりな感じがしてた」
そう言い、メニューをみんなで見て注文する。
俺はお腹が空いている。
今日はハンバーグとライスだ。
天沢はスープパスタで、楠木はオムライス、
彩葉はハヤシライスを注文。
「最近優貴くんの練習見てるんでしょ?」
どんな感じなのよ?という感じで聞いてくる天沢。
「ん?いや、ただ見てるだけだよ。そんな本格的なコーチじゃないからね」
「いやいやいや」
と彩葉が口を挟む。
「相馬は結構教えてるよ。マジで野球やってたんだ…って感じ」
「彩葉は俺が野球やってないと思ってたのか?」
「いや、ちゃんとしてるんだなって思って…」
と、会話を聞いた2人が、同時にこちらを向く。
「彩葉」
「彩葉」
「え!?何?」
と彩葉が反応する。
「今彩葉って言った」
楠木が、追撃を入れてきた。
「あぁ、俺の呼び方か。野球部で優貴くんがいるから、柳って呼ぶとややこしいんだよ」
だから彩葉と呼んでいる事を説明をした。
「私は夕」
「私は憂華だね」
いや、名前は知ってる。何もなく、下の名前で呼ぶってハードル高いんだよな…。
「私達は結構下の名前で呼ばれてるよ?」
「いや、天沢が人気なのは俺も知ってるけど…」
「憂華」
…呼ばないといけないか。
ゴリ押ししてくる天沢も珍しい。
楠木は俺の目をずっと見てくるし、助け舟を出してもらいたい彩葉は「ご飯まだかなー」と知らんぷりを決めてる。
「わかった」
じゃあ
「憂華に、夕。だな?」
「はい、相馬くん」
「言えたじゃん、相馬」
と2人して笑顔になった。
それから、料理が運ばれて、あま…じゃくて、憂華達はご飯を食べ始める。
「最近3人で会ったりしてるのか?」
スープパスタをもぐもぐ食べている、憂華が反応する。
「ううん、私は石川に旅行行ってたから、みんなとは今日久しぶり」
いや、まだ夏休み入って少しだけど、旅行か。
いいなぁ天沢家。
「私は相馬と練習見に行ってるよ、ほら」
と、俺が野球の帽子を被っている後ろ姿をみんなに見せる。
いつ撮ったんだよ。
「うわ、めっちゃコーチって感じだね」
楠木はまじまじと写真を見る。
そして、奥に映っていた岩本先生を見つける。
「これ、奥にいるのガンちゃん?」
「そう、ガンちゃん!」
「え、ガンちゃん懐かしいね」
と3人は盛り上がる。
「なぁ、3人の中学の写真とかないのか?」
と俺は気になった事を聞き、ハンバーグを口に入れる。
「あるよ、確かね…」
と彩葉がフォルダを探す。
「待って待って待って」
楠木がスプーンを置いて、止めに入る。
「流石に恥ずいって」
「じゃあ盛れてるやつにするね」
「そうじゃなくて…!」
夕は見られたくないんだろうな中学の写真…。
「相馬くんは見たいの?私たちの中学時代」
天沢はフォークでパスタをくるくるしながら聞いてきた。
「いや、あんまり想像できないんだよな。3人とも中学生や小学生。幼稚園児だった時代があるんだろ?」
まぁ、当たり前だけど。
「なんか3人とも高校で人気じゃん。中学でも人気だったのかなって」
「あったよ!これならいい?」
と2人に確認を取る彩葉。
「まぁ、それなら…」
「私は、いいよ」
俺に彩葉はスマホの画面を向ける。
「おぉ……」
「いや、3人ともこの頃からビジュ良すぎだろ…」
「でしょーー?」
と彩葉は嬉しそうにし、それ以外の2人は照れていた。
「で、これが葵ちゃんからもらった相馬の中学の写真ね」
その2人が、彩葉の画面に近づく
「いや…葵のやつ何で送ったんだよ…」
4人で昔の写真を見ながら笑い合う。
……こういう時間も、いつかは思い出になるのかな。
そんなことを、ふと思った。




