↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
普通の高校生の、特別な日常  作者: しゃー
2章 夏休み編
PR
61/106

61.考えること

「集合!」


と岩本先生が号令をかけ、チームを集める。


「今日から2週間。練習を見てくれる事になった。

月城相馬君だ。」


俺は前に出て挨拶をする。


「初めまして、月城相馬です。呼んでいただきありがとうごさいます。」


と言い、俺は頭を下げる。


「今日は見学しに来ました。いつも通りの練習を見せてください」


野球部メンバーから拍手される。


「じゃあランニングから始めるぞ」


と、岩本先生が声をかけ、走り出す野球部。

俺はその横で、見学する。



練習は普通だ。

キャッチボールをして、ノックが始まり、走り込みやバッティング練習。

悪い意味ではなく、みんな頑張ってるし声も出てる。


「いいじゃないですか」


「そう見えるだろ?だから教えるのって難しいんだよ」


先生はベンチで汗を拭う。


「よく見えるからそのままにする。すると試合では出来なくなってたりするんだ」


この感覚わかるか?と聞いてくる。


「なるほど。わかります」


なんでもそうだと思う。

本番、つまり試合で勝つ為に練習をする。

練習をがむしゃらにやっても上手くならない。

練習が上手くなるだけだ。


俺もがむしゃらにやってた時期があるし、気持ちはすごくわかる。


「ちょっと選手…というか全体に声かけてみていいですか?」


「構わんよ。みんな!集合!!」


全力疾走で集合してくる。



全員が俺を見る。


「みんなはなんで練習ってやると思う?」


全員が顔を見合わせて『?』となっている。


優貴くんが率先して声を出す。


「野球上手くなる為っす!」


「強くなるから!」


「勝つため…!」


とみんなが口を開く。


「そうだね。いい答えだ」


「じゃあどうやったら勝てるようになると思う?」


またみんなは顔を見合わせて、考える。

いいぞ、考えろ。


「練習するしかないっす!」


「特訓とか?」


「練習増やすとか?」


「うん、それは間違ってないと思うよ」


でも、と続けて、


「それだけじゃない」


みんなが黙って俺から答えを聞こうとする。

どうやって?どうすれば強くなれる?何をすればいい?と。


「みんなで相談してもいいし、1人で考えてもいい。俺がいるこの2週間でどうやったら敵に勝てるようになるか。それを考えながら練習してみてくれ。」


「はい!!!」


「もう1回言うね」


「考えて、練習するんだよ」


と、重ねて説明。

俺は練習に戻っていいよ。と伝える。


俺はベンチの後ろにいた、柳にこっそり声をかけられる。


「相馬……今の答えってなんなの?」


「ん?」


言わないから!と念押しされる。


俺は、


「ないよ。そんなの」


と言う。


「え!?ずるじゃん」


俺は説明する。


「俺から言える答えはないよ。」


「でも、今みんなが考えてどうやったら上手くなれるか。どういう練習をしたらいいか、何が足りてないか、長所を伸ばしたほうがいいか?とか」


「色々と考えてるはず。」


「……なるほど」


「考える。練習も、試合もそう。」


「つまり、考える事が大事…?」


「そう、それだけ。言われた通り練習してるだけじゃ野球が上手くなっても勝てない。土壇場で負ける。」


そういうことだと思う。


先生をチラリと見るが、先生は何も言わずグラウンドの練習を見ている。


間違ってないと証明してくれた。


俺はこの2週間でこのチームを強くしたい。

そして、俺自身も何か種火のような小さな火が燃えているような感覚がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。