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普通の高校生の、特別な日常  作者: しゃー
1章 一学期編
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6.委員会と分析

次の日の朝、青山先生がホームルームを始めようとした時「あっ」と声を上げた。


「そういえば、昨日説明するの忘れてた!」


コミカルな動きだった為、教室から、ちらほらと笑い声が上がる。


「委員会のことです。みんなには各委員会に男女一人ずつ入ってもらいます」


黒板にいくつかの委員会名が書かれていく。


図書委員、保健委員、体育委員、文化委員……。


「入学初日に配ったタブレット、覚えてますよね? 今日の休み時間になったら、委員会の希望を入力できる画面が出てくるので、第一希望から順番に選んでください。結果は放課後に通知します」


青山先生はそれと、と続けて


「クラス委員。つまりクラスの代表を決めてもらいます。こちらは話し合いで決める事になってますので、夕方のホームルームで話し合いましょう」


それにしてもタブレットか。


中学までは紙に書いて提出だったけど、今は何をするにもこれだ。


授業だってタブレットで受けて、課題をPDFにして提出したりすることもある。


便利になったというか、時代が変わったというか。


俺は画面を見ながら、第一希望に「図書委員」と入力した。


後は……まあ、楽そうなものを適当に。

委員会にそこまでこだわりはない。


どうせなら、面倒の少ないところがいい。

そんな感じで入力を終えた。


俺はクラスを見渡す。

まだ入学して3日目だが、それでも、なんとなくクラスメイトのことが分かってきた。


特に女子は分かりやすい。


クラスの中心にいるのは、天沢憂華(あまさわ ういか)。

本人はそんなつもりなんて全然なさそうだし、カースト上位 という表現をできるほど周りとの仲が深待ってるわけじゃないが。


気さくで、穏やかな性格に見える。

そして、周りをよく見ているし、気が利く。


誰かに対して態度を変えるようなところもない。

優しい、という言葉が一番しっくりくる。


控えめな印象だが、前に出るべき時、困った人がいる時、率先して前に出る事ができる。そんな雰囲気だ。


本人が何かをしなくても、自然と人が集まってくる。

そういう魅力を持ち合わせた人なんだろう。


それに――


茶色に染めた長い髪に整った顔立ち。

かなり可愛い。



その近くにいるのが、楠木。


楠木と天沢は中学からの仲らしく、お昼もよく一緒に食べている。


ただ、楠木は天沢とは少しタイプが違う。


前に出てグループを引っ張るというより、周りを見ながら人をまとめるタイプ。


大きなグループの中から、自然と別の小さなグループを作っていくというか。


目立つわけじゃない。


でも、こういうタイプがいないとグループって意外とまとまらないんだよな。


縁の下の力持ち。

頼れる人、という印象だ。



そして、もう1人――


柳彩葉(やなぎ いろは)。


赤みのある茶色の長い髪を、まとめている。ポニーテール。


とにかく活気がある。

声も大きいし、よく笑う。


元気。


……悪く言えば、ちょっとギャルっぽい。

でも、怖いという感じではない。


頼れる先輩…いや、姉貴みたいな雰囲気もある。


困ったときに「しょうがないなぁ」と言いながら助けてくれそうなタイプだ。


この3人。


天沢が自然と人を集めて、楠木が周りを見ながら支え、柳が勢いをつける。


それぞれ役割が違う。


だからこそ、このクラスの女子は3日目という異例の早さで打ち解け合っているんだと思う。


…まぁ、なんとなくだけど。



一方、男子はというと。


まだ、そういう「まとめ役」がいない。


誰かが中心にいるというより、それぞれが好き勝手に話している感じだ。


まぁ、まだ3日目だ。

これから変わっていくのかもしれない。


俺はそんなことを考えながら、窓の外へ視線を向けた。


桜はまだ少しだけ残っている。

風が吹くたびに、枝から花びらがひらひらと舞って、校庭へ落ちていく。


俺は癖として、人を見てしまう。


誰が誰と仲がいいのか。

誰が中心なのか。

誰が裏で支えているのか。


そういうことは、なんとなく分かる。


そんなことを考えているうちに、ホームルームが終わった。



そして、放課後のホームルームにて。


結果から言えばクラス委員は天沢と山本になった。


誰もやる雰囲気ではないところに、天沢が手を挙げ、それを見た山本が


『まぁ、天沢さんと一緒ならやっちゃお!』


みたいな感じで立候補したように見えた。


誰も拒否する事はない為、そのままストレートに決まった。そんな感じだった。


その後タブレットを確認すると、委員会の結果が表示されていた。


俺の名前の横には――


『図書委員』


第1希望。


「おぉ」


思わず小さく呟く。


図書委員は、そもそも放課後に図書当番がある。

そのせいか、あまり人気がなかったらしい。

おかげで第一希望がそのまま通った。


仕事もそこまで多くなさそうだし。

何より、楽そう。


高校生活3日目。


授業や委員会がスタートする事によって、学校生活の始まりを感じる。


やらなくてもいい、周りの分析までして。

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