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普通の高校生の、特別な日常  作者: しゃー
1章 一学期編
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5.妹と過ごす家での時間

家に着いた頃には、外はすっかり夕方になっていた。


玄関を開ける。


「ただいまー」


「おかえり」


リビングから葵の声が返ってきた。


靴を脱いでリビングへ向かう。

葵は既に制服から部屋着に着替えていた。

俺は葵が転入生として大丈夫だったか心配だった。


「学校初日どうだった?」


葵はソファに座りながらスマホをいじりながら答える。


「別に、普通」


俺は葵に近づく。


「いや普通ってことはないだろ」


「特に何もなかったって」


もし、妹がいじめにでもあっていたらと思うと。


「変な奴いないか?悪い事されてないか?お兄ちゃんぶん殴りに行ってやるからな?」


と腕を回す。


「……そういうのキモい」


俺はブレザーをソファーの端にかけ、妹と離れた位置に座る。

絶賛反抗期なんです。うちの子。


葵がスマホを持ったまま、顔だけこっちに向ける。


「ご飯どうするの?」


「……あ」


俺はそこで思い出した。


「俺、今日外でラーメン食べてきた」


「は? ずるじゃん」


いや、ずるではない。


「なんでだよ」


「私も食べたかった!」


「知らんよ」


というやりとりの後、葵がスマートフォンを置いた。


「1人で?」


「いや」


「もう友達できたの?」


「まあ」


「高校2日目だよ?」


「そうだけど」


「……どうせ毛むくじゃらの変な男でしょ」


どんなやつだそれ。


「まぁ…そんなところ」


ごめん楠木。と心の中で謝る。

バレると面倒だと思った。


「ふーーん」


葵の目が少しだけ細くなる。


「2日目にラーメン屋行くってやばいね」


「言いたい事は分かるが、趣味が合ったんだ」


「へぇ」


葵はしばらく俺を見た後、スマホを手に取った。


「まぁ、お兄の友達なんて興味ないけど」


「ひどいやつだ」


俺は冷蔵庫の中身を確認しながら葵に話しかける。


「何か作ろうか?」


しばらく悩んだ後、葵は答える。


「オムライスが良い」


「おーけー」


結局、俺が葵の分を用意することになった。


両親が帰ってくるのはまだ先だ。


月城家では、夕食も基本的には各自で用意する。


親が作り置きしてくれている日もあるし、俺が作ることもあるし、葵が作ることもある。


その日の都合次第だ。


「ほら」


「ありがと」


「いただきますくらい言え」


「いただきます」


「よろしい」


葵が食べ始める。


俺は自分の部屋へ向かおうとして――ふと、今日のことを思い出した。


ゲームの話から始まり、ラーメンを食べに行くことになった楠木夕。


入学してから二日目で隣の席だからと声をかけるのは勇気がいったはずだ。

俺がやばいやつだったかもしれなかったし。


感謝しないとな、いろいろと。

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