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普通の高校生の、特別な日常  作者: しゃー
1章 一学期編
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55/104

55.俺にできること

昼休み。


柳と話している。


「頼む!相馬!」


「……ごめん。無理だ」


この話になったのは理由がある。



俺はいつも通り、焼きそばパンを食べ終わった後、スマホを出して、RPGゲームの情報を確認する。


夏休みに今やっているゲームの新作が出るらしい。

楽しみだ。


なんて考えていると、柳から声をかけられる。


「相馬!今大丈夫?」


俺はスマホを閉じて柳を見る。


「ん?なんだ?」


柳はちょっと申し訳なさそうな雰囲気を出している。


また勉強会でもするつもりか?

いつもならそんな事気にせず、ぐいぐい来る柳が迷ってる…というか悩んでる。ような感じだった。


「その…弟が…」


「お、おう」


「弟が、野球部の人達に相馬の事話したみたいで…」


「……それで?」


「それで… 夏休み野球部の練習見てくれない?って言われたんだけど…」


「それってコーチって事か?」


「ううん、そこまで正式なやつじゃないよ。練習見てもらって、アドバイスもらう感じで…。」


まじかよ…。

俺はもう野球はやってないし、テレビで野球を見る事は少なくなった。

感覚として鈍くなっている。


「いや、俺はもう野球とは離れているからな…」


「ダメか?」


「あと、うちの高校の野球部には頼めないのか?」


「それじゃだめらしいんだ…。結構相馬の事話題になってるみたいで。」


別に俺が行く分には問題ない。見たりするのも楽しいし、多少のアドバイスくらいならできると思う。

でも、


「いや、それでも無理だ。教える以上その子達を育てる責任が取れない。」


柳は一瞬面食らったような表情をしたが、頭を下げてきた。


「頼む!相馬!」


「……ごめん。無理だ」


「1週間だけでも…ダメか?」


柳のどうしても!という気迫は結構なものだった。


「なんでそこまでしてやってほしいんだ?」


俺が無理だと言えば柳は、そっか!といって引き下がると思っていた。


「……私がやってほしいから」


俺は柳の話を聞く。


「相馬は結構人に伝えるのが上手いと思ってて…」


「ちょっとでも弟のチームの子達の刺激になればいいなって」


まぁ、言わんとする事は理解できる。

普段と違う人に教わり、今までと違う考え方を持つと、急に成長したりする。

そういうのを期待しているんだろう。


「……少し考えさせてくれ」


「ありがと。ごめんね、なんか」


「いや、気持ちは嬉しいよ」


「じゃあ、また連絡してね!」


と言い、柳は自分の席に戻って行った。


野球を人に教える経験なんてないし、俺が考えていた事が今の戦法や戦術に活かせるかなんてわからない。


やっていいのだろうか。俺はそれからも少し考えた。

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