51.次回はみんなで
放課後。
俺はいつも通り生徒会室へ向かい、扉を開ける。
全員揃っていた。
「お疲れ様です」
「お疲れー」
「お疲れ様」
……なんだ?
なんとなく視線を感じる。
俺が席に着こうとすると、濱田先輩が声をかけてきた。
「おい、月城」
「はい?」
「今日2年で、すごい話題になってたぞ」
「話題?」
俺は特に心当たりもなく、首を傾げる。
「何がですか?」
すると濱田先輩がわかってないのか?という顔をしながら言う。
「朝、佐藤と話してただろ?」
「はい…」
「それを見てた2年がな、『佐藤が告白された』だの、『歳下に持っていかれた』だの、『あの佐藤があんな顔してた』みたいになってたぞ。」
横を見る。
佐藤先輩が、ほんの少しだけ頬を赤くしている。
「……」
俺は何も言えなくなる。
すると会長が、わざとらしくため息をついた。
「また君は無垢な女性に手を出そうとして……」
「また、とかはよく分からないですが!?」
というか、俺はただ、気持ちを伝えただけだ。
普段なら、この手の話になった時に佐藤先輩は黙っている。
だが今日は違った。
「……気持ちは伝わったから」
「……え?」
俺は固まった。
周囲の視線が一斉に集まる。
佐藤先輩は少しだけ意地悪に笑う。
「……冗談」
「いや俺、先輩の冗談初めて聞きました」
俺はその件について説明する。
「いや、普通に悔しくて、思ったことを言っただけです」
俺は少しだけ真面目な表情に戻して話す。
「俺がもっとちゃんと見ていればよかったって、それだけで……」
すると、みんなが俺を見る。
会長が少しだけ笑う。
「月城の気持ちは、分かっている。みんな同じ気持ちさ」
そして、と続けて。
「まだ、私たちには文化祭がある」
会長は全員を見渡す。
「そこはみんなで、成功させよう」
一瞬、静かになった。
俺は会長を見る。
「はい、必ず」
自然と口から出た。
他のみんなも頷く。
そうだ。
体育祭は終わった。
けれど、この生徒会の一年はまだ終わっていない。
文化祭がある。
それに、その先だってある。
俺たちはまだ、始まったばかりなんだ。
「……とはいえ」
会長が言う。
「体育祭が終わってから9月までは、そこまで大きなイベントもないからね」
「はい」
「集まる頻度は、少し減らすけど」
「……」
「まぁ、今までが多かっただけだな」
副会長が淡々と言う。
確かに。
体育祭に向けて、かなりの頻度で集まっていた。
それがなくなると思うと――
少しだけ、寂しい気もした。
俺は生徒会室を見渡す。
柳会長。
冴島副会長。
山村先輩。
佐藤先輩。
濱田先輩。
里中さん。
天沢。
そして俺。
また、このメンバーでやれる。
そう思うと、なんだか少し楽しみだった。




