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普通の高校生の、特別な日常  作者: しゃー
1章 一学期編
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43.体育祭準備打ち上げ

体育祭準備、大詰め。


生徒会ではすでに、当日の流れまでほとんど固まっていた。


競技の進行。

役割分担。

備品の配置。

当日の動線。


1度、最初から最後まで通して確認するリハーサルも済ませている。


俺は当日、佐藤先輩と一緒に動く。


ただし、先輩が競技に出ている間は俺が担当だ。


「…………」


今からでも、ちょっと緊張してきた。


ミスしたらどうしよう。

何か足りなくなったら。

予定通りに進まなかったら。


考え始めるとキリがない。


そんなことを考えているうちに、放課後になった。


そして――


「冴島、確認取れたか?」


「あぁ問題ない。山村はどうだ?」


「こっちも大丈夫だよ〜。ね?天沢ちゃん」


「はい。問題ありません。あっ、佐藤先輩ここ見てもらっていいですか?」


「うん。いいよ。月城くんも見て」


「はい、わかりました。」


佐藤先輩が確認し終わり、書類を会長に提出。


そして、会長が最後の書類に目を通し終える。


「…………よし!」


顔を上げる。


「準備は終わりました!」


その瞬間、生徒会室に少しだけ達成感のような空気が広がった。


「ありがとうございました!」


誰かがそう言うと、自然とみんなからも声が上がる。


まだ体育祭は始まってすらいない。


なのに。


妙なやり切った感がある。


会長はそんな俺たちを見て笑った。


「まぁ、本番はここからだけどね」


そして机の上の書類をまとめる。


「よく頑張りました」


「ありがとうございます」


「私は先生に許可を取って、書類を提出してくるから。みんなは今日はもう帰っていいよ」


そう言ってから、ふと何かを思い出したように顔を上げた。


「……そうだ」


「?」


「このメンバーで、これからやっていくわけだろ?」


全員を見る。


「よかったら、このあとみんなでファミレスでも行かないか?」


もちろん、予定が合えばだけど…と後付けしていた。


俺は特に問題ない。


「俺は大丈夫ですよ」


「私も!」


「俺も」


「……大丈夫」


次々に手が上がっていく。


どうやら全員予定は空いているらしい。


「じゃあ決まり!」


そして俺達は駅前のファミレスへ向かうことになった。



「いらっしゃいませ――」


店員に誘導されながら、案内された席へ戻る。

俺の両隣が天沢と佐藤先輩。


……なんだ、この配置。


それぞれドリンクバーから飲み物を持ってくる。


全員が席に着いたところで、会長が話し始める。


「いやぁ、頑張ってくれたね。1年ズ!」


「ありがとうございます」


天沢と俺と里中さんが答える。


「もちろん古株のみんなも、よくやってくれた!」


俺は佐藤先輩を見る。


先輩は小さく、


ぺこり。


と頭を下げた。


相変わらず静かだ。


「まぁ、1年生達は体育祭自体が初めてだからね」


会長が楽しそうに笑う。


「そっちも楽しみだろうけど――」


グラスを置く。


「本番は負けないからな?」


妙に闘志を燃やしている。


ちなみに会長は赤組。

副会長は白組。

俺たち1-Aは赤。

佐藤先輩のクラスも赤。

その他は白組だった。


「……生徒会なのに、普通に敵なんですね」


俺が言うと、


「当たり前だ!」


会長は即答した。


「ですよね」


なんだか少しおかしくなって、みんなで笑う。


そして会長がグラスを掲げた。


「とりあえず、お疲れ様!」


「乾杯!」


カツン。


プラスチックのコップがぶつかる。


それからは、ポテトをつまんだり、ピザを食べたり。


体育祭の話だけじゃない。


生徒会の仕事で苦労した話。


3年生は受験が大変だとか。


普段の学校生活の話。


どうでもいい話。


そんな話をしているうちに、気づけば結構な時間が経っていた。


会長がふと、少し寂しそうに言った。


「そういえばさ」


「ん?」


「9月に文化祭が終わったら、私たち3年は生徒会からいなくなるんだよね」


一瞬だけ、空気が静かになる。


「それまではさ」


会長はみんなを見る。


「みんなで仲良くやっていこうな」


俺はその言葉を聞いて、少しだけ胸が締まった。


まだ始まったばかりなのに。


終わりの話をされると、なんだか変な気分になる。


そんな俺たちを見て、会長は笑った。


「きっと濃い1年になるさ」


「……そうですね」


「よし!」


会長が立ち上がる。


「そろそろ帰るか!」


みんなも席を立つ。


そして会計。


「今日、割り勘で頼むね……!」


会長が申し訳なさそうに言う。


「はなからそのつもりでしたよ」


俺が答える。


それぞれ自分の分を出し、会計を済ませる。


……なんだか、不思議だ。


少し前まで、この人たちのことをほとんど知らなかった。


それが今は、一緒に飯を食べている。


生徒会という場所で。


同じ目標に向かって。


そして――


最初の大仕事。


体育祭が、始まろうとしている。

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