39.【番外編】生徒会長は見た!
生徒会長の橘穂乃果です。
現在、私はショッピングモールにいます。
今日は小学生の妹と一緒に服を買いに来ました。
「お姉ちゃん、こっちの服どう?」
「うん、可愛いんじゃない? でもこっちの方が似合いそう」
「ほんと?」
そんな平和な休日を過ごしていた。
……のだが。
ふと、少し離れたところに見覚えのある顔を見つけた。
「あれ?」
天沢さん。
そして――月城くん。
さらに、
その同級生らしき女の子が2人。
「……え?」
私は思わず足を止めた。
間違いない。
生徒会で見慣れた顔が2人。
どうやらショッピングモールに遊びに来ているらしい。
別に珍しいことじゃない。
同じ学校の友達同士だ。
休日に遊ぶくらい、普通だろう。
そう思っていた。
……しかし。
よく見てみると…
「…………あれ?」
男女比率がおかしくない?
男1人。
女3人。
…………。
月城くん。
女の子3人を侍らせている。
「………あいつ…」
私は思わず目を細めた。
これは……。
まさか。
不純異性交遊の現場を目撃してしまったのでは!?
いやいやいや。
落ち着こう。
そんなわけがない。
生徒会は健全な組織だ。
月城くんだって、そんなことをするような――
「おねぇちゃん?」
「っ!」
妹の声で我に返る。
「どうしたの?」
「……いや、なんでもない」
危ない。
妹の前で変なことを考えるところだった。
「服、見にいこっか!」
「うん!」
私は妹の手を引いて、その場を離れる。
……まぁ、生徒会で会った時に聞けばいいか。
そう思って、今回はスルーすることにした。
そして、しばらくして。
「……あれ?」
妹が向かった服屋を見て、私は再び足を止めた。
その隣に――
月城くんたちがいた。
どうやら同じ服屋を見ているらしい。
さすがにこれは声をかけるべきか。
そう思っていると、
「これ、どう?」
天沢さんが服を手に取って、月城くんに見せている。
「…いいんじゃないか?」
……。
なんだろう。
月城くん、普通に馴染んでるな。
女の子3人に囲まれているのに、全然動じていない。
むしろ服選びまでしている。
「……あいつ」
結構やるじゃん……。
そんなことを思ってしまった。
一方、私の隣では妹が服を選んでいる。
「お姉ちゃん、これ!」
「ん? ああ、可愛いね」
「こっちとどっちがいい?」
「うーん……こっちかな」
「じゃあこれにする!」
妹の服を見ているうちに、私は完全にそちらへ意識を戻した。
それから少しして。
「……あれ?」
ふと顔を上げる。
月城くんたちがいない。
「あれ、どこ行ったんだろ」
さっきまで確かにいたのに。
「お姉ちゃん?」
「ううん、なんでもないよ」
まぁ、いいか。
私は妹の服をもう一度確認する。
「それ、可愛すぎない?」
「えへへ」
「こっちの方も似合いそう」
「じゃあ両方買おうかな!」
「欲張りだなぁ」
そんな会話をしながら、私は妹と店を出た。
……それにしても。
本当に、あれは月城くん達だったのだろうか。
もしかすると――
私が見たのは幻だったのかもしれない。
そう思うことにした。
……生徒会長として。




